デジタルガレージと大和証券グループは26日、ブロックチェーンを活用した有価証券発行の実証実験を開始し、「大和証券デジタル社債」および「大和F&Aデジタル社債」をそれぞれ発行したことを発表した。
今回の実証実験では、デジタルガレージの子会社でブロックチェーン金融サービス事業を展開するCrypto Garageとの連携を通じ、短期間でデジタル社債発行の環境構築を実現。Crypto Garageは、国内外59社の金融関連企業が参画するブロックチェーン基盤「Liquid Network」におけるアセット発行およびDvP(Delivery Versus Payment)決済などの技術を保有している。
同社の技術により、大和証券デジタル社債と大和F&Aデジタル社債の投資家の情報はLiquid Network上に記録され、発行体は投資家の保有状況を、投資家は自身の社債の保有状況を確認できる。これにより、将来的な管理コストの削減が期待できるという。
大和証券の発行する「大和証券デジタル社債」は大和証券グループ本社に対して自己募集形態で発行され、投資家である大和証券グループ本社は、Fintertechが前払式支払手段としてLiquid Network上に発行したデジタルコインを対価として払込みを行っているとのこと。また、同社債の利払い、買入消却においてもデジタルコインが対価となる予定だ。
一方、大和F&Aの発行する「大和F&Aデジタル社債」は、大和証券が私募の取扱いを行い、大和証券グループ本社の役職員に対して発行された。
同社債は、投資家間での売買が可能なほか、償還時に保有している投資家に対しては、大和F&Aが資本参加する「株式会社みらいの畑から」が生産する農産品を特典として付与する予定としている。
実証実験の背景には、ブロックチェーン技術を活用した権利移転や、デジタル通貨を活用した有価証券の発行・譲渡・利払い・償還等が行われるようになることで、これまで証券化されてこなかったアセットの証券化や、有価証券流通市場の効率化につながるとの考えがある。
また、ブロックチェーン技術を活用し、発行会社が投資家情報を直接管理することで、所有期間や所有数量によって施設やイベントへのアクセス権、特典・ポイント付与などの多彩なサービスを提供することが可能になると両社は説明した。(提供:月刊暗号資産)