米金融機関State Street(ステート・ストリート)は8日、機関投資家向けの暗号資産(仮想通貨)取引プラットフォームに対し技術提供を行う契約を結んだと発表した。
今回の取り組みはステート・ストリート傘下でFX関連事業を行うCurrenexが、暗号資産関連企業のPure Digitalと提携したことで実現。CurrenexがPure Digitalに対して技術提供を行い、OTCプラットフォームを開発する。
ユーザーへのサービス提供は今年半ばを予定しているとしており、全ての取引参加者にとって効率的な資本利用と管理を可能にするとステート・ストリートは説明した。
またこのOTCプラットフォームでは「マルチカストディ方式」を採用するようだ。ステート・ストリートによると、この方式では取引参加者が希望するデジタル資産のカストディ・ソリューションを自由に活用し、リスクを管理することが可能だという。
さらにFX業界標準のAPIと最良執行を採用し、参加者のテクノロジーコストを最小限に抑えると説明した。
Pure Digital創業者のCampbell Adams氏は、「デジタル通貨(暗号資産)市場の将来に対して同じビジョンを抱いているステート・ストリートとともに、この分野を開拓できることを嬉しく思う」とコメント。
さらに、「FX業界のリーダーであるCurrenexと提携し、大手銀行が主導するコンソーシアムを通じてFXのインフラを暗号資産市場に用いることができることに嬉しさを感じると」続けた。
ステート・ストリートは1792年に設立した米国で2番目に古い大手金融機関で、約340兆円の資産を管理している。
同行は今年3月、過去9年間に渡ってビットコインを研究してきたと発表。2019年末には暗号資産取引所Geminiと共同プロジェクトを発表するなど、暗号資産領域での取り組みを進めている。
近頃、大手金融機関による暗号資産業界への参入が相次いでいる状況だ。
世界的な金融緩和を受けリスクオンの流れが強まっていることから、暗号資産や株式市場は大きな盛り上がりを見せている。そういった中で、機関投資家の投資環境を整備するというのは急務であったと言える。
今後、金融機関による暗号資産市場への参入がさらに加速していくことが予想される。(提供:月刊暗号資産)