SBI証券は4月20日に、国内初となる一般投資家向けSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)を実施することを明らかにした。19日、SBI証券がプレスリリースで発表した。
発表によると、今回のSTOはSBI証券が発行体となる社債型セキュリティトークンを、SBI証券自らが顧客に対し取得勧誘し割当てる公募の自己募集の形態で行われる。
STOとは、有価証券等であるセキュリティトークンにより資金を調達するスキームである。セキュリティートークンは、株式や社債等に代わりブロックチェーン等の電子的手段を用いて発行される。従来の株式や社債といった有価証券に比べて小口で即時発行が可能だ。
日本においては2020年5月1日の金融商品取引法及び関連する政府令の改正施行により「電子記録移転有価証券表示権利等」として規定され、法令に準拠した取扱いが可能となった。
今回SBI証券が発行する社債型セキュリティトークンでは、従来の証券保管振替機構での管理に代わり、ブロックチェーンコンソーシアム「ibet for Fin」により発行・管理を行われ、発行から償還までの業務プロセスが電子的方法により完結される。「ibet for Fin」は、野村HDと野村総合研究所の合弁会社、株式会社BOOSTRYが運営している。
今回のSTOでは1億円分の社債をセキュリティトークンとして発行。期間は1年で、利率は0.35%となっている。募集は10万円以上、10万円単位で行う。また、セキュリティトークンを取得した顧客には10万円分につき暗号資産10リップル(XRP)を特典として付与する。
SBIグループは、北尾吉孝社長主導の下、STOをはじめとするブロックチェーン技術をフィンテックの中核技術と位置付け、事業開発、ファンド出資、実証実験等を通じてビジネス領域の開拓に注力してきた。また2019年10月には、金融商品取引法に基づく自主規制機関である一般社団法人日本STO協会の設立に参画し、STOに関するルール作りやビジネス環境の整備を進めてきた。2021年1月には、次世代のデジタル証券市場として新設する予定(時期未定)の「大阪デジタル取引所」にてSTOを取り扱う方針を明かしていた。
SBI証券は先月26日に金融商品取引法における電子記録移転有価証券表示権利等の取扱いに係る変更登録を完了し、STOの取扱いが可能となった。
今回の一般投資家向けSTO実施について「今後、我が国において STO が普及することで、資本市場がより活性化し、ひいては実体経済のさらなる発展に貢献できるものと期待しています」と述べた。(提供:月刊暗号資産)