「富裕層の愛車は、メルセデスベンツやBMW、フェラーリなどの高級ブランド」というイメージは、先入観であることが、複数の調査結果から明らかになっています。米国においては、高級ブランドは年収1,000万円の世帯に人気があり、3,000万円の世帯の6割以上は大衆ブランドを愛用しているといいます。

富裕層の愛車はホンダ、トヨタ、フォードなど

金融
(画像=琢也 栂/stock.adobe.com)

この調査は2011年、信用調査企業エクスペリアンの自動車部門であるエクスペリアン・オートモーティブが、年収10万ドル(約1,088万円)以下、10万~24万9,000ドル(約1,088万~2,709万円)、25万ドル(約2,720万円)以上という3つの所得層を対象に、実施したものです。(1ドル=108円で換算)

自社データに登録されている米国とカナダの6億台以上の車が、どの所得層に属するかを分析したところ、意外な結果が報告されました。

25万ドル以上の層に最も人気のブランドは、メルセデスベンツEクラス、レクサスRX 350、BMW 5シリーズ・3シリーズと高級車が上位を独占したものの、61%がトヨタやホンダ、フォードなど、比較的手ごろな価格の車を所有していることが明らかになりました。

近年のNo.1はピックアップトラック

近年の調査でも、同様の傾向が見られます。市場調査会社のMaritzCXが2017年に実施した調査によると、年収20万ドル(約2,176万円)の層に最も人気のブランドは、フォードF-150のピックアップトラック。

この調査結果には、米国における、近年のピックアップトラック人気が反映されているものと思われます。その証拠に、富裕層間では従来の高級車ブランドとともに、ジープやランドローバーなど、他のピックアップトラックも人気が高まっています。

国土が広く、大型の家具や家電製品、ボートなどを自分たちで運ぶ文化のある国では、洗練された高級車よりピックアップトラックのほうが便利というわけです。

そもそも、富裕層が高級車を購入する目的は「投資」であり、見栄やステータスを誇示するためではありません。頻繁に乗ることを考慮し、「普段使いに向いた車を選ぶ」という合理的な考えは、健全な経済観念に基づくものといえるのではないでしょうか。