英市場調査会社カンターなどが2020年6月に発表した「世界ブランドランキング」。総合首位はAmazonでしたが、急成長ブランドのトップには「Moutai」という聞き慣れないブランド名が掲載されました。この記事では急成長ブランドに着目し、最近のトレンドを紹介します。

世界市場で急成長を遂げたブランドが見られるTHE TOP 10 RISERS

金融
(画像= YiuCheung/stock.adobe.com)

カンターなどが発表した世界ブランドランキングにおける「THE TOP 10 RISERS」(急成長トップ10)は以下の通りです(※2019年ランキングと2020年ランキングからブランド価値の成長率を算出し、ランキング化したもの)。

1位:+58% Moutai(537億5,500万ドル)
2位:+47% Instagram(415億100万ドル)
3位:+40% lululemon(96億6,900万ドル)
4位:+35% Costco(286億7,700万ドル)
5位:+34% Netflix(458億8,900万ドル)
6位:+32% Amazon(4,158億5,500万ドル)
7位:+31% LinkedIn(299億3,600万ドル)
8位:+30% Microsoft(3,265億4,400万ドル)
9位:+29% Adobe(359億400万ドル)
10位:+27% Meituan(239億1,100万ドル)
※()内はブランド価値額

1位の「Moutai」は中国の白酒製造最大手

1位の「Moutai(マオタイ)」(貴州茅台酒)は中国の白酒製造最大手です。出荷量を抑えることで希少価値を高める戦略で、近年ブランド価値を急速に高めています。業績も好調で株価も上がり、トヨタやコカコーラの時価総額を抜く企業にまで成長しています。

3位の「lululemon(ルルレモン)」はカナダ発のヨガウェアメーカーとして価値を高めており、売上高は10年で10倍以上(2008年約2億7,000万ドル→2018年約26億4,900万ドル)に増えたことで話題となりました。

Amazonを首位とする総合ランキングでは、2位がApple、3位がMicrosoft、4位がGoogle、5位がVISAと、誰もが知っている企業ばかりが登場しますが、「急成長ブランド」のランキングに注目することで、まさにいま勢いのある企業を知ることができます。

どんな業種でも急成長企業が登場する可能性

Moutaiもlululemonも、事業を展開するマーケット自体の拡大というよりは、マーケットのシェア争いで独自のポジションを保つことで、ブランド価値を急速に高めているといえます。そう考えれば、今後どのような業種・業界においても、こうした急成長企業が登場する可能性は大いにあるでしょう。

文・岡本 一道
政治経済系ジャーナリスト。日本の国内メディアと海外メディアの両方でのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会・文化など幅広いジャンルにおけるトピックスで多数の解説記事やコラムを執筆。ニュースメディアのコンサルティングなども手掛ける