現在は、あらゆる分野でAI(人口知能)技術が使われています。投資の世界でも、AIが投資判断をしてくれるロボアドバイザーが人気です。ロボアドバイザーには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。その仕組みや運用成績、始める方法について解説します。
ロボアドバイザーの仕組み
まずはウェルスナビを例に、ロボアドバイザーの仕組みを確認しておきましょう。始めに、目標金額とリスク許容度を設定します。用意された質問に答えるだけで顧客のリスク許容度が診断され、目標金額から達成の可能性をシミュレーションして顧客に伝えます。そして、金融アルゴリズムから顧客に合ったポートフォリオが構築されます。
クイック入金の対象金融機関からであれば、24時間365日リアルタイムでウェルスナビの口座に入金できます。運用資金が入金されると、最短でその日の夜に自動でETF(上場投資信託)の買い付けが行われます。
分配金は自動で再投資されるので、「複利効果」で資産を効率良く増やすことができます。ポートフォリオは継続的にモニタリングされ、バランスが一定以上崩れた場合や前回のリバランスから半年以上経過した場合にリバランスが行われます。
ロボアドバイザーには、投資アドバイス型と投資一任型があります。投資アドバイス型はポートフォリオの提案やアドバイスを行い、運用は自分で行うため投資経験者に向いています。投資一任型は、アドバイスだけでなく運用まで一任できるタイプです。
主なロボアドバイザーのサービス利用手数料は、以下の表のとおりです。この他に、信託報酬などETFを保有するためのコストがかかります。
サービス名 | 手数料(年率、税込) |
---|---|
ウェルスナビ | 1.1%、3,000万円を超える部分は0.55% |
THEO | 0.715~1.10% |
楽ラップ | 固定報酬0.715%または固定報酬0.605%+成功報酬運用益の5.5% |
FORIO | ROBO PROの場合1.1%、3,000万円を超える部分は0.55% |
ON COMPASS | 年率1.0075%程度 |
ロボアドバイザーのメリット・デメリット
ロボアドバイザーのメリットは、手間なく資金を運用できることです。投資一任型の場合、銘柄選びから分散投資による運用まですべて任せられるので、仕事が忙しく投資の勉強をする時間がない人に適しています。
少額で始められることも、ロボアドバイザーのメリットです。富裕層向けの資産運用サービスである「ファンドラップ」の契約金額は300万円以上(三菱UFJ信託銀行)ですが、同じように資産運用を一任できるロボアドバイザーはずっと安価で利用できます。ウェルスナビの最低投資金額は10万円で、積立投資は1万円から始められます。
自分の感情に左右されず、ロボアドバイザーが売買を判断してくれるのも大きなメリットです。自分で判断すると、上がるときは「もっと上がる」、下がるときは「もっと下がる」と感情に流されて、売買タイミングを誤ることがあります。売買のタイミングに悩んでいる人は、利用を検討するとよいでしょう。
ロボアドバイザーのデメリットは、株式投資に比べて運用コストが高いことです。株式投資であれば手数料が無料の証券会社を利用することもできますが、ロボアドバイザーではサービス利用手数料や信託報酬がかかるため、収益に影響します。
ロボアドバイザーは長期運用を前提としているため、個別株のように短期的に利益を上げるのが難しいこともデメリットです。短期間に大きな成果を望む人には向かない投資商品といえるでしょう。
ロボアドバイザーの運用成績は?
気になるのは、「ロボアドバイザーの運用成績」でしょう。運用成績は、どの程度リスクを許容するかによって大きく変わります。楽天証券の「楽ラップ」が、リスク許容度別の運用成績を公表しています(2016年7月4日を運用開始日として設定)。
▽楽ラップの運用コース別騰落率 DRC=下落ショック軽減機能
リスク許容度 | 株式比率 | 1年間の騰落率 | 設定来の騰落率 |
---|---|---|---|
保守型DRCなし | 22.82% | 14.70% | 22.00% |
やや保守型DRCなし | 37.26% | 21.66% | 33.46% |
やや保守型DRCあり | 37.26% | 18.67% | 29.27% |
やや積極型DRCなし | 51.83% | 27.91% | 45.53% |
やや積極型DRCあり | 51.83% | 24.18% | 39.12% |
積極型DRCなし | 66.66% | 34.72% | 57.33% |
積極型DRCあり | 66.66% | 29.88% | 49.62% |
かなり積極型DRCなし | 79.98% | 40.91% | 67.55% |
かなり積極型DRCあり | 79.98% | 34.99% | 57.68% |
出典:楽天証券公式サイト「楽ラップマンスリーレポート」より作成(2021年3月31日基準)
運用成績を見ると、騰落率はすべてのコースで高く、元本割れはありません。膨大なデータを解析して最適なポートフォリオを組むロボアドバイザーは、有利な運用先であることは間違いなさそうです。
運用成績を見てはっきりわかるのは、リスク許容度が高いほどリターンが大きくなることです。「かなり積極型」の株式組入比率は約80%とかなり高くなっていますが、約5年間の設定来騰落率は57%以上です。年率に換算すると約11.4~13.4%と高く、普通の投資では得ることが難しい成果を上げていることがわかります。
間接的に不動産に投資できる
高いパフォーマンスを見ると、「ロボアドバイザーで不動産投資ができたら」と考える人もいるでしょう。実は、ロボアドバイザーが作成するポートフォリオには不動産も組み入れられています。例えば、紹介した楽ラップの「保守型DRCなし」では、REIT(不動産投資信託)の組入比率が10.00%で、国内株式(7.29%)を上回っています。
個別でREITに投資した場合は不動産市場の影響を受けやすいのですが、ロボアドバイザーは不動産だけでなく株や債券、金などさまざまな商品に資金を分散するため、少ないリスクで不動産に投資できます。「不動産を中心に投資しているが、株式の魅力も捨てがたい」という人に向くサービスといえるでしょう。
ロボアドバイザーを始める方法
最後に、ロボアドバイザーを始める方法をご紹介します。ネット証券で口座開設数が最も多いSBI証券でウェルスナビを始める方法は、以下のとおりです。
- SBI証券で総合口座を開設します。
- ログインし、「WealthNavi for SBI証券」の口座開設申し込みに進みます。
- 「WealthNavi for SBI証券」の口座開設に関連する承諾事項を確認し、「同意する」をクリックします。
- メールアドレスや出金先口座などの顧客情報を登録し、本人確認書類をアップロードします。
- 口座開設手続きが完了すると、登録したメールアドレスに完了通知が届きます。
- 「WealthNavi for SBI証券」にログインし、リスク許容度を設定した後10万円以上を入金します。
- 最短で入金当日に運用を開始できます。平日の20時までに入金があった場合はその日の夜にETFが購入され、翌日の朝にポートフォリオを確認できます。
AI技術を駆使したロボアドバイザーの優秀な運用成績を、改めて確認できました。ロボアドバイザーは特に投資初心者に向いていますが、自分では冷静に判断できず損失を重ねている中級者も、ロボアドバイザーの利用を検討することをおすすめします。
※本記事は2021年4月20日現在の情報を基に構成しています。申し込みにあたっては各社のホームページ等で最新情報をご確認ください。
(提供:YANUSY)
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