2021年6月10日10時時点に神田卓也さんに直接聞いた最新の相場観と戦略をご覧下さい。(提供:羊飼いのFXブログ※チャート付き)

現在の為替相場の傾向や相場観

羊飼いのFX突撃取材
(画像=PIXTA)

昨日9日(水)の米ドル/円は終値ベースで約0.1%の小幅高。米10年債利回りが1.5%を割り込んで低下する中、一時109.23円前後まで下落したものの、下値の堅さを再確認すると109.60円台へと反発した。これで3日続けて109.20円付近で下げ止まった格好だ。市場の関心は、本日10日(木)に発表される米5月消費者物価指数(以下CPI)に集まっており、市場予想によると前年比+4.7%に伸びが加速する見通し。CPIが予想以上の伸びとなればドルが上昇する公算が大きい。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)は、足元のインフレ上昇は一過性との姿勢を維持しており、金融政策を運営する上で重視しない方針を表明している。CPIが多少上ブレしても米長期金利やドルの上昇余地は限られそうだ。米ドル/円はひとまず109円台前半で値固めを終えたように見受けられるが、110円台に定着するのは難しいかもしれない。

現在の為替相場の戦略やスタンス

本日10日(木)は他に欧州中銀(ECB)の金融政策にも市場の注目が集まりそうだ。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の取り扱いが焦点となる。購入規模(買い入れ枠)は1.85兆ユーロに据え置かれる公算が大きいが、現行の買い入れペースを続ければ来年2022年3月のプログラム終了前に枠を使い切る可能性が高い。一方で、買い入れを減速させれば、市場が「テーパリング(量的緩和の段階的な縮小)」と受け止める可能性もある。ECBは難しい舵取りを迫られており、ラガルドECB総裁の市場との対話に関する手腕が試される事になりそうだ。いずれにしても、ユーロは本日10日(木)のECB理事会を無風で乗り切る事は難しいと見られ、乱高下する公算が大きいだろう。

神田卓也
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長上席研究員。1987年福岡大学法学部卒業後、第一証券(株)(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社)を経て、1991年(株)メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年7月(株)外為どっとコム総合研究所入社。

羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
羊飼いのFXブログ」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。