新築RC(鉄筋コンクリート造)物件は、数ある物件ジャンルのなかでも空室リスクが低く高い収益性が見込める物件として初心者から不動産投資家まで幅広く人気のある投資先です。しかし実際に他の築浅物件や木造とは、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、新築RC物件の特徴について投資先としてすでに多くのプロ投資家に選ばれ続ける理由を交えながら解説します。「新築RC物件への投資を検討している」「中古物件との違いを知りたい」といった方は、ぜひご一読ください。
目次
利回りの最低は10%、この定説の真偽について
不動産投資では、物件選びが成否を分けるといわれており、「利回り10%以上が最低ライン」との定説もあります。この定説は、はたして本当なのでしょうか。
利回りの最低ラインが10%とは限らない
最初に結論を述べると利回りの最低ラインが10%というのは、少々雑な定義といえます。なぜなら不動産投資には、投資家の意向や事情でさまざまな投資方針があるからです。大都市圏では、利回りが低くなりがちな半面、堅実性が高くなります。地方の格安物件の場合、利回りは高くなるかもしれません。しかし入居率をどれだけ上げられるのかは疑問です。
選ぶ不動産の場所だけでもこれだけ傾向が異なるため、ひとくくりに利回りを定義するのは難しいでしょう。
築年数によって異なる利回りの最低ライン
不動産投資には、投資先となる場所以外にもさまざまな分類があります。例えば、投資初心者が取り組みやすいジャンルであれば都心の駅近です。また中古物件の条件が整っている場合、築年数で利回りの最低ラインが異なってきます。
利回りで物件を選ぶと失敗する可能性大
条件や投資方針で利回りの目安は、大きく異なるため、利回りだけで物件を選ぶことはおすすめできません。全く条件が異なるジャンルにもかかわらず「10%が最低ライン」という利回りの定義だけで物件選びをすると失敗する可能性が高くなります。失敗例としてよくあるのは、地方の不人気物件です。
都心の物件に比べて価格が安いため、入居者がつけば高利回りとなります。しかし肝心の入居者がつかなければ利回りはゼロです。利回りだけを追求する物件選びは、不動産投資そのものが絵に描いた餅になってしまう恐れがあります。
物件の種類と利回りの関係を理解できる3つの法則
上述した通り不動産投資の利回り目安は、物件の種類や場所など条件によって変動します。ここでは、不動産投資の利回りを決める3つの法則について確認していきましょう。3つの法則を押さえておくことで物件選びにおける利回りの適性を判断しやすくなります。
法則1. 大都市圏の利回りは低く、地方は高い
「大都市圏は地価が高い」「地方は場所によっては地価が安い」といった傾向が見られます。そのため大都市圏の物件は総じて高く、逆に地方では安く買える物件を見つけやすいでしょう。不動産価格は、両者に大きな差がある一方で賃貸住宅の家賃が数倍も差があるということはありません。不動産投資の利回り(表面利回り)は、「年間の家賃収入÷物件の購入価格×100」で算出します。
そのため分子となる年間の家賃収入がそれほど大きく変わらない場合、分母の購入価格に大きな差があると利回りに以下のような影響を与えます。
- 都市部の物件:分母の物件の購入価格が高くなるため利回りは低くなる
- 地方の物件:分母の物件の購入価格が低くなるため利回りは高くなる
法則2. 中古物件の利回りは高く、新築は低い
収益物件には、新築と中古の2つの選択肢があります。一般的に物件価格は、新築よりも中古のほうが低くなるため、上記の計算式に当てはめると新築は利回りが低くなり、中古は高くなる傾向です。新築物件には「新築プレミアム」といって市場流通価格ではなく物件を建設して販売するための費用が上乗せされているため、その分価格が高くなります。
一方で中古物件は、築年数に比例して価格が安くなる傾向です。仮に新築直後の物件でも誰かが一度購入して中古物件として流通すれば「新築プレミアム」が剥落するため、その分安くなります。
法則3. 建物が強くなるほど利回りは低くなる
収益物件には、建物の強度による分類もあります。建物の強度が高い順に並べると「RC造>鉄骨造>木造」です。このことは、国税庁が定めている法定耐用年数にも以下のように表れています。
【法定耐用年数】
- RC造:47年
- 鉄骨造:34年
- 木造:22年
ただし実際には、法定耐用年数を過ぎたからといって建物が使用不能になるわけではありません。しかし、おおむね建物の強度に比例すると考えてよいでしょう。強度が高い建物は、それだけメンテナンスのコストも高くなるため、長い目で見ると資産価値を維持しやすいメリットがあります。しかし投資利回りの観点からは「建物が強くなるほど利回りは低くなる」ことを押さえておいてください。
そもそも新築RCとは
新築RCとは、建築後1年未満の鉄筋コンクリート構造の物件です。国土交通省は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で新築物件を次のように定義しています。
2この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう
引用:住宅の品質確保の促進等に関する法律 第2条(定義)第2項
またRCとは「Reinforced Concrete」の頭文字をとったもので、和訳すると補強されたコンクリート(鉄筋コンクリート)という意味です。鉄筋コンクリートで柱・小梁(床や屋根の荷重を支える梁部材)・大梁(梁の中で比較的大きな断面の梁)・スラブ(床版)・壁を造りすべての部分を一体化した構造を指します。
つまり新築RCは「過去にその物件に誰も入居したことがない建築後1年未満の鉄筋コンクリート造の物件」と言い換えることができるでしょう。
新築と中古の違い
不動産投資において新築物件と中古物件の大きな相違点は「家賃収入が発生するまでのタイミング」です。入居率によっても異なりますが、一般的に中古物件はすでに入居者がついている傾向のため、買ってすぐに家賃収入が発生します。
一方で新築物件は、投資計画がうまくいかないと収益が安定するまでに長い時間がかかるケースも少なくありません。なぜなら新築物件は、土地の購入や建物の建築、入居者の決定など家賃収入を得るまでに長い年月を要する可能性があるからです。
しかし新築物件が収益を得るまでに時間を要する点は、単に物件があわせ持つ特徴の一つで価値判断のすべてではありません。新築物件への投資は、家賃収入の発生までに時間はかかるものの運営が安定すれば空室リスクや運用コストを抑えられることも期待できます。
そのため、自分の目指す投資戦略や資産規模、融資の状況など総合的に勘案しながら最適な投資手法の選択が大切です。
首都圏では「新築or築浅」の一棟マンションがプレミア化
首都圏では、新築もしくは築浅という条件のRC一棟マンションが不足しプレミア化していることをご存じでしょうか。いくつかの理由があるため、以下で解説していきます。重要なのは、プレミア化している状況を不動産投資家としてどのように受け止めるかです。
東京中心部で収益一棟RCマンションが不足している
東京23区内など東京の中心部では、投資向けの新築RCマンションが供給不足となっています。特に駅近で立地条件のよい物件が不足しているため、購入したい人がいても物件の供給が追い付いていないのが実情です。
東京中心部の土地は無限にあるわけではなく、開発が進むごとにマンションを建設する好適地は少なくなっていきます。また、建築資材の高騰や東京オリンピックの特需によって建設に要する人的資源を確保しづらかったことも供給不足に拍車をかけているのです。
供給不足の原因は相続対策と海外投資家の旺盛な需要
上記の事情に加えて、相続対策と海外投資家の旺盛な需要も市場環境に影響を及ぼしています。富裕層の相続対策としてマンション投資は人気ですが、2015年の相続税改正はこうした動きを加速させました。法改正に伴い相続税の基礎控除額が引き下げられて課税対象になる人が増えていることも、多くの人を不動産投資に向かわせる要因となっているのです。
また、海外から見ると東京の不動産にはまだまだ割安感があります。海外の主要都市として比較して東京の割安感に目をつけた海外投資家も存在感のある買い勢力となっています。
不動産のプロからも高い人気を誇る新築一棟RCマンション
東京の新築一棟RCマンションは、供給が不足している一方で不動産投資のプロからも高い評価を得ており実際に多くのプロが購入している傾向です。しかもこのジャンルは、不動産投資の初心者にも適しているため、その理由もあわせてプロが買っている理由を解説します。
新築一棟RCマンションが初心者向きといわれる理由
東京の新築一棟RCマンションは、プロだけでなく不動産投資の初心者にも適しています。なぜなら小規模な物件であれば一棟マンションのなかでも比較的購入しやすい価格帯かつ運用リスクが低めだからです。
新築物件は、空室や修繕費が発生するリスクが低くシミュレーション通りの賃貸経営を実現できる可能性が高くなります。新築なので利回りはあまり高くなりませんが、低リスクとなる点は初心者向きといえるでしょう。
プロが新築一棟RCマンションを買う2つの理由
プロが東京の新築一棟RCマンションに注目し買っていることには、主に以下の2つの理由があります。
・銀行融資の有効活用
新築RCマンションは、耐用年数が長いため、有利な条件で融資を引きやすく不動産投資のレバレッジ効果を上げやすい点がメリットです。自己資金に対する収益率は、CCR(キャッシュ・オン・キャッシュ・リターン)といいますが、CCRが高いことは投資の資金効率が高いことを示します。
・将来における価値
国が提唱しているような職住近接のニーズが今後高まることを見越して東京のマンションを所有することは、家賃収入の安定化や資産価値の保持につながります。
新築一棟RCマンションは活用方法も多彩
新築一棟RCマンションには、家賃収入の安定化や将来に向けての資産価値保持だけでなく多彩な活用方法があります。
例えば社員を雇用している企業が所有する場合は、購入したマンションを社有住宅にすることも活用法の一つです。税務上のメリットだけでなく社会保険料の負担増を抑制する効果も期待できます。
現金資産を不動産にすることでインフレヘッジをしながら、税金や社会保険料などのメリットを享受できる点は魅力的です。
新築RC物件に投資する8つのメリット
新築RC物件への投資には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、代表的な8つのメリットを確認していきましょう。
メリット1. 投資効果が高い
新築RCは、物件価格が高いため、まとまったキャッシュフローを得やすい点がメリットです。またRC造の物件は、一棟そのものが大きく部屋数も多い特徴があり投資効果は他の物件と比較しても高いといえます。
メリット2. 減価償却がとりやすい
新築RCは、法定耐用年数が47年と長いため、減価償却がとりやすい点がメリットです。また建物しか消費税がかからないため、消費税還付を受ける際も大きなリターンがあります。
メリット3. 出口戦略を立てやすい
新築RCは、法定耐用年数が47年と鉄骨造や木造と比較して長いため、融資期間をとりやすい点がメリットです。例えば30年という長期間にわたって物件を所有していた場合でも、売却時には17年の耐用年数が残ります。投資しやすいだけでなく出口戦略を立てやすいこともメリットです。
メリット4. 細かい修繕が不要
RC造は、主要な構造部に鉄筋が入っているため、屋根などの細かい修繕があまり必要ありません。これは、木造物件と大きく異なり修繕コストを抑えることが可能です。
メリット5. 防音性が高い
RC造の建物は、コンクリートを流し込んで建築されているため、隙間ができにくく防音性が高い点もメリットです。コンクリートは、密度が高く特に遮音性に優れているといわれています。
メリット6. 災害に強く耐用年数も長い
木造物件と比較して災害に強い点もメリットです。RC造は、引っ張る力に強い鉄筋と圧縮力に強いコンクリートを支えている構造のため、耐久性に優れています。また先述した通りRCの耐用年数は47年と木造の22年より25年も長い点が特徴的です。
メリット7. 火災保険料が安い
一般的にRC造は、木造よりも耐火性が高いことが多いため、火災保険料が安くなる傾向です。物件の火災保険は、建物の柱が何でできているかで料金が変わります。「建物の主要部分が木材なのか」「鉄筋コンクリートなのか」「鉄筋なのか」などで火災や災害時の損害に大きな差が生じるためです。
メリット8. 狭い土地でも戸数を確保できる
狭い土地でも容積率(延床面積の敷地面積に対する割合)や建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合)の条件が良いと、ある程度の戸数を確保したマンション建設ができる点もメリットです。なお狭小地でのマンション建設では、専用部分の面積が侵食されるため、エレベーターを設置しない造りにすることもあります。
新築RCに投資する際の6つの注意点
新築RCには、多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。ここでは、新築RCに投資する際の注意点を6つ確認していきましょう。
注意点1. 建築コストが高い
RC造の物件は、コンクリートを固めるための型枠や鉄筋施工に時間を要するため、工事期間が長くなりがちです。そのため建築費や人件費が高くなる傾向があります。また軟弱な土地の場合、RC造の建築は不向きです。地盤改良が必要な場合は、さらに建築コストがかかる点に留意してください。
注意点2. メンテナンス費用がかかる
RC造の耐用年数は、他の物件構造と比較すると長めですが定期的なメンテナンスは必要です。特に「コンクリートのひび割れ」「中性化を遅らせる処置」「ASRや塩害、凍結誘拐による凍害」などの対策は重要となります。
ひび割れが生じると「コンクリート内部に雨水が入り込み鉄筋の腐食を招く」「コンクリート欠落の危険性がある」といったRC造ならではのトラブルに発展しかねません。
注意点3. 大規模修繕時の費用が大きい
先述した通りRC造は、細かい修繕の必要性はあまりありません。しかし大規模修繕の費用が大きくなる傾向にあります。物件によっては、足場を組むだけで数百万円ものコストがかかるケースもあるため、しっかりと修繕費用を積み立てておくことが重要です。
注意点4. 固定資産税が高額になる
RC造は、建物にかかる固定資産税が高額になります。なぜなら原則として固定資産税は建物と土地にそれぞれ課税されますがRCは建物の評価が非常に高くなることに伴い固定資産税も高額になるからです。
注意点5. 建物比率が大きいため減価率も大きい
建物比率が大きいため、建築年数が経過するにつれて減価率も大きくなる傾向にあります。つまり建築年数が長くなるにつれて物件資産価値の減少する割合が高いということです。
注意点6. 年間の経費率が木造よりも高い
物件の規模が大きいため、年間の経費率が木造物件と比較して高くなります。エレベーターなどの機械設備が充実している点も経費がかさむ要因の一つです。
まとめ
今回は、新築RC物件とは何かについて物件構造の特徴や他物件との違いを交えながら解説しました。「新築RC」と「中古物件」とでは、一概にどちらが投資先として優れているとは言い切れません。なぜなら、どちらも一長一短があるからです。不動産投資を専業とするプロが新築RCを投資先として選ぶ背景には、投資戦略としてのさまざまな要因があります。
特に近年は、東京中心部の物件が供給不足となっており、相続対策や外国人投資家による旺盛な需要などを背景に高騰している傾向です。そのため投資によるインカムゲイン(家賃収入)だけでなくキャピタルゲイン(売却益)も期待できる状況も生まれています。物件のみならず立地の将来性やかけられるコストなど総合的に自分の投資ステージをご検討ください。
新築RCの利回りに関する良くある質問
Q1:新築RCの利回りはどれくらい?
物件の所在地など条件によってケース・バイ・ケースですが5%前後が相場です。中古物件と比べると若干利回りは低いですが「賃貸経営のリスクが低い」「キャピタルゲインも期待できる」など新築一棟RCマンションには、利回りだけではない魅力があります。
Q2:新築RCのメリットは?
新築の建物なので空室の発生や家賃引き下げのリスク、修繕の必要がほとんどないなど低リスクの賃貸経営が行えます。また東京中心部の小規模新築一棟RCマンションに限っていえば、供給不足となっている一方で相続対策や海外投資家などからの旺盛な需要を背景に価格が高騰している傾向です。そのため、資産性を維持しやすくキャピタルゲインも期待できるでしょう。
Q3:新築RCの注意点は?
建物の強度が高くなるほど建築および維持コストは増大します。最初の建築コストが高くなることはもちろん、その後のメンテナンスや大規模修繕の費用などもRC造の建物は高い傾向です。またRC造の建物は評価額が高くなるため、その分固定資産税も高くなる点も押さえておきましょう。全体的に高コストとなることは、新築RCの注意点です。
(提供:YANUSY)
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