紳士のためのフットウエアブランド「J.M.ウェストン」といえば、シンプルなローファーの代表作「180 シグニチャーローファー」を思い浮かべる方も多いと思います。

すっかり定着した有名ブランドですが、その歴史は古く、創業は1891年にさかのぼります。その時代の専属デザイナーの手で製作する、伝統を受け継ぎながらも決して古くならない靴の数々は、今もなおその創業の地、フランスのリモージュで職人たちの手によって生み出されています。

この記事ではJ.M.ウェストンの定番であるローファーである180 シグニチャーローファーを中心にブランドの魅力に迫ります。

J.M.ウェストン ブランドヒストリー

紳士靴の名門ジョンロブが成功者に愛させる理由
(画像=alenazamotaeva/stock.adobe.com)

J.M.ウェストンは1891年エドゥアール・ブランシャールが創業しました。創業の地、フランス・リモージュ地方は磁器で有名ですが、皮のなめしと加工の歴史も深いものがあったのです。

1904年エドゥアール・ブランチャードの息子、ウジェーヌはアメリカ・マサチューセッツ州ウェストンに渡り、最新の靴の生産技術を学んで帰国しました。そして1932年パリ・シャンゼリゼ通りに「J.M. Weston(ジェイエムウエストン)」の名のショップをオープンします。

これが、第2次大戦前のパリで、大好評になりました。パリの名士たちがよく訪れるようになり、その名声は遠くまで届くようになったのです。

そして、第2次世界大戦後、ウジェーヌの手によって完成されたのが、あの名作180 シグニチャーローファーだったのです。

永遠のフレンチアイコンを生んだ180 シグニチャーローファー

1946年に誕生したこのローファーは、当時他にはない独自のシルエットで一世を風靡。時代やスタイルに左右されることなく履きこなせるため、ファッション誌でも大きな反響を呼びます。

1960年代になって、シャンゼリゼ通りのドラッグストアにたむろする若者たちが、こぞってこの「180ローファー」を履き始めるという現象が起こります。彼らはジーンズにあえて素足で彼らの父親が履いていた「180ローファー」を履いたのです。このスタイルが既成の社会規範に反抗する若者の典型的スタイルとなって、フランスの学生たちのマストアイテムとなっていきました。

180 シグニチャーローファーは、ウジェーヌが戦後200以上の試作をした末に生み出されたモデルです。使用されている木型「#41」は、気の遠くなるような試作の末にたどり着いた、普遍的な足の形状に沿ったカーブを描きます。驚くべきことに、この木型と製法は、70年以上たっている現在もこのモデルで使い続けられています。

パリの名士たちから大統領、政治家、はては若者たちにまで浸透し、愛用された180 シグニチャーローファーは、フレンチトラッドのアイコンとして世界中に愛される存在となっています。

J.M.ウェストンが世代を超えて愛される理由

180 シグニチャーローファーはグッドイヤーウェルト製法にわりに柔らかいです。これは中底にリブテープを使わないという、独特の製法により、足の動きについてくるためです。このため履き続けることによってフィット感が増していくことが支持され続ける理由だといえるでしょう。

なによりも、180 シグニチャーローファーは既製靴ですので、顧客のサイズに合うものを用意するため、通常5mmピッチサイズで用意するのが一般的なのに対し4mmサイズで用意されています。横幅に関してはA~Fまでの6種類が用意されているという行き届き様。

それに、ジーンズでもスーツでも合わせることのできる自由度の高いデザイン。

考え抜かれたデザインとサイズの究極ともいえる普遍性、それとここまでフィット感にこだわっているということが長く多くの人に愛され続けている理由だと言えます。

オリヴィエ・サイヤールがアップデートした180 シグニチャーローファー

2018年にJ.M.ウェストンのアーティスティック・ディレクターにオリヴィエ・サイヤールが就任しました。サイヤールは、パリで数多くの美術展のキュレーションを手掛けた経歴を持ち、アートとモードで活躍してきた人物です。

サイヤールによるファーストコレクション「コレクション パピエ」は、リモージュの工場で目にとまったクラフトペーパーから着想を得たものです。180 シグニチャーローファーと、名作「641 ゴルフ」の2型にクラフトペーパーに付いたインクのシミや退色の様子をプリントして、ブランドの歴史を表現しています。

美術キュレーターがJ.M.ウェストンの歴史をモダンに刷新しています。サイヤールの手によりアップデートされたモデルは注目です。

パーフェクトなローファーは180 シグニチャーローファー

J.M.ウェストンの180シグニチャーローファーが人気の理由は、そのオーセンティックなデザインと品質であることを説明してきました。

よく考えてみますと、世の中にたくさんあるファッションアイテムのうち、こんなに世代を超えて愛されている靴はあまり例を見ません。

何かの記念に購入して、いつまでも大事に履いていたい一足です。

(提供:JPRIME


【オススメ記事 JPRIME】
超富裕層が絶対にしない5つの投資ミス
「プライベートバンク」の真の価値とは?
30代スタートもあり?早くはじめるほど有利な「生前贈与」という相続
富裕層入門!富裕層の定義とは?
世界のビリオネア5人が語る「成功」の定義