シボレー・コルベット・コンバーチブル 価格:8DCT 1550万円 試乗記

新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
シボレー・コルベット・コンバーチブル 価格:8DCT 1550万円 8thコルベットは伝統のFRからMRに大変身 日本仕様はコルベット初の右ハンドル 0〜96km/h加速を3秒以下でクリアするパフォーマンスは鮮烈

C8コルベットが日本上陸! コンバーチブルとクーペを設定

 最新シボレー・コルベットのデリバリーが開始された。アメリカの伝統スポーツ、コルベットが第8世代のC8へとフルモデルチェンジしたのは2019年半ばだった。翌年早々に日本仕様の概要が発表され、今年になって日本仕様の右ハンドル車を披露するなど、準備を着々と進めてきた。すでに多くの予約が入り、今回、日本に上陸した300台は、オーナーがすべて決定済み。ちなみに右ハンドル仕様は、いまのところ日本専売だという。

 まずC8の劇的なモデルチェンジ内容を紹介しておこう。最大のポイントは、エンジン搭載位置の変更だ。70年近くに及ぶFRアメリカンスポーツの伝統を捨てて、ミッドシップスーパースポーツの仲間入りを果たした。
 このニュースを聞いて、どうして?と思った読者も多かったはず。よりいっそうの高性能を求めるためにMRをチョイスした、という説明では物足りない。FRでも高性能は十分に成立する。以前のコルベットも圧倒的なパフォーマンスの持ち主だった。

 コルベットの歴史に詳しいファンなら、ミッドシップ化は悲願だったというかもしれない。確かにそれは正解だ。1stコルベットの誕生と同時に自ら売り込んでシボレーのエンジニアとなり、後に「コルベットの父」と呼ばれた元レーシングドライバーのゾーラ・アーカス―ダントフは、早くからミッドシップの可能性に気づいており、1950年代後半には第2世代コルベットを開発する傍ら、ミッドシップの実験車両CER―Ⅰを製作した。その後も半世紀以上にわたりさまざまなアイデアやプロトタイプが登場した。だが、結局、ダントフはもちろん後継のエンジニアたちもコルベットのミッドシップ化を実現できなかった。

 ではなぜいまになって、GMシボレーは伝統を捨てる決心をしたのか。性能だけでないことは明白だ。ミッドシップシャシーはコルベット電動化の序章なのである。
 世界のスポーツブランドがいま再びミッドシップ熱に取り憑かれているように見えるのは、重いバッテリーを(エンジンの代わりにミッドに)積んで高性能を引き出す最良の方法のひとつだからだ。コルベットは今後、OHVではない最新V8ユニットを開発し、プラグインハイブリッドやフル電動へと発展を重ねていくだろう。現在のC8は完成形ではない。近未来のコルベットのプロローグ、新たな伝説の幕開けといっていい。

新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
日本仕様はブレンボブレーキ/専用エギゾースト/スポーツサスペンション/電子制御LSDなどをセットしたZ51パッケージ標準 コンバーチブルのパワーウェイトレシオは3.39kg/ps
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
C8の前後重量配分は40対60 サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン式 電子制御ダンパーシステム標準

刺激的なエンジンサウンド。パフォーマンス鮮烈

 まずは気筒休止機構を備えたスモールブロックの進化型LT2・6.2リッター・V8OHV(502ps/637Nm)ユニットを搭載した新型を楽しもうではないか。日本仕様のラインアップは、電動リトラクタブルトップのコンバーチブルとクーペの2タイプ。クーペはラグジュアリー指向の2LTと、スポーティな3LTから選べる。コンバーチブルのリトラクタブルハードトップは16秒で開閉が完了。48km/h以下なら走行中でも操作できる。なお、クーペのルーフは脱着可能なタルガトップである。

 V8OHVプッシュロッドエンジンは、実は重量バランスがよく、スポーツカー向き。1970年代のイタリアンスーパーカー・ブランドがこぞってアメリカンV8OHVを選んだ理由は軽量かつコンパクト、高性能で安かったから。最新テクノロジーを詰め込んだオールアルミ製LT2もコンパクトで軽量に仕上げられたうえ、ドライサンプ方式を採用するなど低重心化にも余念がない。

 パフォーマンスは刺激たっぷり。コルベット初の8速DCTと組み合わせ、0〜96km/h加速は3秒以下とスーパースポーツの性能条件を立派に満たす。
 新型はサウンドが大きく変化した。従来の「ドロドロ」したV8の咆哮ではなく、フェラーリにも似た引き締まった快音を奏でる。エンジンのミッド搭載で、排気系の取り回しが変化したからだろう。新型はエンジン音を聞くだけでドライバーを刺激的な世界に誘う。

 足回りの特筆点は、いまや高性能モデルの常識にもなったマグネティックライドコントロールの最新世代4.0の搭載だ。加えて日本仕様は全車Z51パッケージ付きとなる。ハイスペックのブレンボブレーキや専用エギゾースト、スポーツサスペンションに電子制御LSD、高性能冷却システム、前後エアロデバイスなどが標準で備わる。
 最後にもうひとつ。C8コルベットはトランクにゴルフバッグが2セット積める! ホンダNSXをも上回る実用性を備えたミッドシップスポーツでもある。

新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
(リア) リアランプは従来モデルのイメージを継承 排気エンドは大径左右4本出し
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
6153cc・V8OHV 502ps/6450rpm 637Nm/5150rpm 可変シリンダーシステム採用 オイル潤滑はドライサンプ式 写真はクーペ コンバーチブルはトップ格納の関係でエンジンは見えない
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
トップはフル電動 開閉所用時間は16秒以下 48km/h以下なら走行中でも操作できる 販売車両のトップはブラック仕上げになる
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
タイヤはフロント:245/35ZR19/リア:305/30ZR20ミシュランPS4S装着 写真のアルミはクーペ2LT用 本来は5トライデントスポーク形状
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
日本仕様は右ハンドル ミッドシップ化でシート位置が従来比で約400mm前方に移動 低く短いノーズ回りと相まって視界はワイド 本革巻きステアリングは小径スクエア形状 ハンドリングはシャープ 各部の作りは上質
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
シートは本格スポーツ走行に対応したバケット形状 レザーとファブリックのコンビ仕様 調節機構はフル電動 乗降性は意外に良好
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
メーターはフル液晶 速度はデジタル表示 タコメーターは5500rpm以上がイエローゾーン
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
シフトメインセレクターはボタン式 走行モードは全6種から選べる
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
8インチタッチディスプレイ標準 日本仕様はクラウドストリーミングナビ標準
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
前後にトランクスペースを用意 フロントは機内持ち込みトランクが積める リアはゴルフバッグ2個の収納に対応 容量は前後合わせ356.8リッター
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性

シボレー・コルベット 主要諸元と主要装備

新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性

グレード=コンバーチブル
価格=8DCT 1550万円
全長×全幅×全高=4630×1940×1220mm
ホイールベース=2450mm
トレッド=フロント:1630×リア:1570mm
車重=1700kg
エンジン=6153cc・V8OHV(プレミアム仕様)
最高出力=369kW(502ps)/6450rpm
最大トルク=637Nm(65.0kgm)/5150rpm
WLTCモード燃費=未公表(燃料タンク容量70リッター)
サスペンション=前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:245/35ZR19/リア:305/30ZR20+アルミ
駆動方式=MR
乗車定員=2名
最小回転半径=未公表
主な燃費改善対策=未公表
主要装備:Z51パフォーマンスパッケージ(ブレンボ4ピストンモノブロックキャリパー+大径ブレーキローター+パフォーマンスエギゾースト+パフォーマンスリアアクスルレシオ+電子制御LSD+フロントスプリッター&リアスポイラー+ミシュランパイロットスポーツ4Sランフラットタイヤ+強化クーリングシステム)/マグネティックセレクティブライドコントロール/ドライブモードセレクター(6モード)/フロントリフトハイトアジャスター/ローンチコントロール/フロント&サイドエアバッグ/サイドブラインドゾーンアラート/リアクロストラフィックアラート/リアパークアシスト/レッドペインテッドブレーキキャリパー/リトラクタブルHT/クオッドエギゾーストテールパイプ/LEDヘッドライト/リアカメラミラー/12インチカラークラスターディスプレイ/カラーヘッドアップディスプレイ/パフォーマンスデータレコーダー/クルーズコントロール/コンペティションバケットシート/シートヒーター&ベンチレーション/ヒーター付き本革巻きステアリング/ハイグロスカーボンファイバートリム/ワイヤレスチャージング/デュアルゾーンAC/8インチタッチスクリーンディスプレイ/クラウドストリーミングナビ/Bose14スピーカーサウンドシステム
ボディカラー:セブリングオレンジティンコート(op16万5000円)
※価格はすべて消費税込み

新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
コルベット・クーペ3LT 価格:8DCT 1400万円 クーペは2LT(1180万円)とスポーツ指向3LTを用意
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
クーペのルーフは脱着自在なタルガトップ仕様 クーペはリアウィンドウ回りのデザインがコンバーチブルと異なる
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
新型シボレー・C8コルベットが日本上陸!提唱するのはスーパースポーツの方向性
Writer:西川 淳 Photo:小久保昭彦+横田康志朗

(提供:CAR and DRIVER