不動産投資には「マンション一棟買い」や「区分所有」といった投資方法があります。各投資方法は、どのような違いがあるのでしょうか。本記事では、マンション一棟買いのメリットと区分所有の違いや一棟マンションの物件を選ぶポイントについて紹介します。
マンション一棟買いと区分所有の違い
はじめにマンション一棟買いと区分所有の違いを確認しておきましょう。一棟買いは、一棟のマンションを丸ごと購入するため、物件のすべての部屋と土地を所有することができます。一方の区分所有は、マンションの1室を購入して所有する投資方法です。部屋の売却は自由ですが、土地は共有財産となるため、売却することはできません。
また区分所有で購入する物件は、分譲マンションのため、管理組合があります。居住者のなかから数名が役員になるため、自分だけの方針でマンションを運営することはできません。一方の一棟買いは、マンションすべてがオーナーの所有のため、管理組合はありません。自分の方針に沿って運営できることから自由度の高いマンション経営が可能です。
一棟買いと区分所有では、事業規模の認定にも差があります。マンション経営をする人が青色申告制度を利用し65万円の「青色申告特別控除」を受けるには「おおむね5棟10室(一戸建てなら5棟、アパート・マンションなら10室)」という事業規模の基準を満たすことが必要です。そのため区分所有で1~2室所有しているだけでは、事業規模として認められません。
しかし一棟買いで10室以上所有していれば基準を満たすことができます。
マンション一棟買いのメリット、区分所有より有利な点
マンション一棟買いのメリットは、区分所有よりも空室リスクが少ないことです。区分所有の場合、1室分の賃料しか入らず、空室が出ると家賃収入が途絶えてしまうため、複数の物件を経営しないと大きな収益を上げることができません。しかし一棟所有では、空室が出ても他の部屋は稼働しているため、家賃収入が途絶えることはありません。また一棟マンションの購入は、銀行融資を受ける際にも高く評価されます。
一棟投資では、建物と土地を一括所有となるため、土地を売却できない区分所有よりも投資対象の担保価値が高く評価される傾向です。建物は、経年劣化で評価が下がっていきますが土地は劣化しないため、評価が下がりにくいメリットもあります。利回りに関しては、不動産サイト「健美家」がまとめた「収益物件市場動向マンスリーレポート<2021/12>」が参考になります。
同レポートによると2021年11月時点で区分マンションの利回りは、7.56%でした。一方一棟マンションの利回りは7.99%と区分マンションよりも優位です。
マンション一棟買いは新築と中古のどちらが有利?
マンション一棟買いをする場合、新築と中古のどちらを購入したほうが有利なのでしょうか。まず新築は、「開業時の入居者募集で入居者を集めやすい」という点で有利です。新築物件には「新築プレミアム」という中古にはない魅力があるため、「きれいな部屋に住みたい」という需要を取り込めます。新築は、そもそも数が少ないので希少性が高くその意味でもプレミアムな物件といえるのです。
一方で中古一棟マンションは、すでに入居者が付いていることが多いため、投資してすぐに家賃収入が見込める点で有利といえます。ただし空室が出た場合は、新築に比べて次の入居者が決まるタイミングは遅くなる可能性がある点は不利です。また同じ間取りであっても新築のほうが家賃を高く設定できます。
また収益の規模も大きく異なるため、一棟所有する場合、コンパクトなマンションでも10室程度のまとまった家賃収入が入るのでキャッシュフローが大きくなります。
マンション一棟買いの物件を選ぶポイント
マンションを一棟買いするときの物件選びのポイントを確認しておきましょう。
フルローンの目安は年収の10倍
はじめに物件を購入するために必要な資金の問題です。一般的にマンションを一棟買いするときは、不動産投資ローン(アパートローン)を利用します。金融機関によっても異なりますが借入可能金額や適用金利は、用意できる頭金や年収によって決まる傾向です。頭金なしのフルローンで物件を購入する場合は、年収の10倍までの金額が限度といわれています。
まずは用意できる頭金と年収で購入可能な物件をピックアップします。
投資ターゲットにマッチングした立地を選ぶ
次に立地の選定です。メリットでも述べた通り一棟マンションは、区分所有に比べて空室リスクは低下します。それでも満室経営を目指そうと思えば東京23区内など都市部の物件を選ぶのが必須です。ワンルームの一棟マンションなら単身の会社員や学生が顧客の中心のため、駅徒歩10分以内の物件が理想的でしょう。
ファミリー向けの場合は、学校や公園などが近いなどの理由で駅徒歩20分程度のエリアにも需要が見込めます。
物件が適正な利回りになっている
最後のポイントは、利回りです。賃貸経営において投資物件からどの程度の利回りを得られるかは極めて重要となります。一般社団法人日本不動産研究所が公表している「第45回不動産投資家調査」(2021年10月現在)によると賃貸住宅一棟の期待利回り(投資家が不動産から期待する利益)は、以下の通りです。
全国主要都市 (東京城南、札幌、仙台、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡) | 期待利回り |
---|---|
ワンルームタイプ | 4.0~5.5% |
ファミリータイプ | 4.2~5.6% |
上記を踏まえるとおおむね4~5%の利回りが期待できれば十分といえるでしょう。物件選びの大事なポイントは「家賃収入が支出を上回ること」です。では、具体的に物件の一例を見てみましょう。
【一棟マンションの一例】LEAGALAND祐天寺
・所在地:東京都目黒区中央町
・交通:東急東横線「祐天寺」駅徒歩約8分
・延べ床面積:526.92平方メートル
・構造・規模:鉄筋コンクリート、地下1階付地上4階建
・総戸数:14戸(1R9戸、1LDK4戸、2DK1戸)
引用:株式会社LeTech
2021年9月8日に上棟した物件です。東京23区駅徒歩10分以内の条件に当てはまり総戸数も14戸と手ごろです。需要の多い単身者向けワンルームを多めにとっていますが「夫婦2人向けの1LDK)「ファミリー向けの2DK」も含んだオールラウンドの間取り構成が特徴の物件といえるでしょう。
マンション一棟買いで不動産経営のモチベーションが上がる
マンション一棟買いは、一つの物件をすべて所有することで「一国一城の主」になったような充実感があり不動産経営のモチベーションが上がる可能性があります。心配な管理も販売した不動産会社がそのまま管理を請け負うトータルサポートを実施しているケースがあるので相談してみるとよいでしょう。
またすでに広い土地を所有している場合は、土地の有効活用のためにマンションを建築することも有効な方法といえます。その場合は、仲介と管理のみを行う中小の不動産会社では難しいので開発まで手がける大手不動産会社に依頼することが必要です。販売されている新築一棟マンションの場合は、人気の物件はすぐに売り切れになりますが自分が施主であれば売り切れの心配もありません。
マンション経営を事業として本格的に行う場合は、一棟所有が王道です。「売り出されている一棟マンションを買う」「土地活用や相続税節税対策のために私有地にマンションを建築する」といった判断は、オーナーの事情によって異なります。自分に合った最適な一棟所有の形を検討しマンション経営を成功に導くことが望まれます。
(提供:YANUSY)
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