先日、久しぶりに祖父が遺した「切手アルバム」を開いた。天気のよい日、祖父は決まって縁側に座り、自慢の切手コレクションを整理していたものだった。幼い筆者は縁側にゴロリと寝そべって、祖父がピンセットで封筒から丁寧に切り取った切手を、そっとアルバムに貼る作業をみるのが大好きだった。

富裕層,資産
PIXTA、ZUU online

さて、切手といえば、2021年は世界最古の英オークションハウス(競売会社)のサザビーズで、世界一高価とされる切手が830万ドル(約10億1,678万円)で落札されたのをご存知だろうか。英BBCニュースによると1856年に発行した「英領ギアナ(現在のガイアナ)ワンセントマゼンタ」で「切手収集界のモナリザ」の異名をもつ作品だ。切手に興味のない人にとっては、思わず絶句してしまうような高額落札かもしれないが、立派な投資対象でもある。

切手に限らず、2021年の世界のラグジュアリー投資市場は総じて活況を呈したようだ。後段で詳述する通り、英不動産コンサルティング企業ナイトフランクが公表している「ラグジュアリー投資指数(luxury investment index)」は前年に比べ9.0%増加したという。世界のラグジュアリー投資市場は新型コロナ禍で失速した2020年から一転、本格的な回復基調を鮮明にしている。

今回はナイトフランクが公表している「ラグジュアリー投資指数」の最新版を読み解きながら、世界の富裕層が好む実物資産の傾向をみてみよう。