4シリーズ・グランクーペはスタイルと居住性が高次元融合
現在、BMWは、8/4/2という偶数シリーズにグランクーペをラインアップしている。中堅となる4シリーズは、サイズ設定とドアが4枚あることから3シリーズセダンと迷うユーザーは少なくないだろう。
グランクーペは、美しいスタイリングはもちろん、大きく開口するテールゲートが与えられているのが大きな違い。さらにドアはサッシュレス式でドアノブがフラップ式とされている点も異なる。
魅力は、流れるようなルーフラインを描きながら居住性にも配慮されている点。後席に平均的な成人男性+αのパッセンジャーが座っても広さは十分。頭上には隙間ができるほどの余裕がある。ひざ前や横方向にも狭さは感じない。
4シリーズは他のBMW車と一線を画すフロントデザインも大きな個性だ。インパクトが強いせいか、街を走っているとかなり目で追われる。大型キドニーグリルには賛否がある。
個人的には1960年代に特徴的なフロントデザインで話題を集めたという「2000CS」に通じる味わいに魅力を感じている。歴史的な整合性もあってアリだと思っている。
M440iのパフォーマンスは魅力たっぷり。まさにオールマイティな1台
Mモデルの一員となるM440iに搭載される、3リッター直6ターボ(387ps/500Nm)は期待どおり「絶品」だ。BMWのストレートシックスならではの、調律されたエグゾーストサウンドとともに、軽やかで伸びやかな吹き上がりを味わわせてくれる。パワーの余裕も印象的なレベルにある。
走りは絶妙。3シリーズとパワートレーンとプラットフォームを共有しながら、味付けはより積極的にドライビングを楽しみたいユーザー向けである。全体的にマイルドな調律の3シリーズに対し、4シリーズはダイナミックな運動性能とシャープなハンドリングが与えられた。
ボディも強靭。下回りに補強を入れたり、エンジンルームにタワーバーを配するなどして、高い剛性を獲得。大開口のハッチゲート付きながら実にしっかりとしている。
4シリーズが圧倒的にリアの追従性に優れることは、一般道を普通に走っているだけでわかる。適度に引き締まった足回りも効いて走りに一体感があり、クルマが軽く感じられる。
電子制御4WDのxDriveなのでトラクションにも優れ、天候を問わず優れたパフォーマンスを堪能できるのも強み。先進運転支援装備も、一定条件下でのハンズオフドライブを可能にするなど充実度は高い。
M440iグランクーペは、印象的な美しいスタイリングと極めて高い走行性能に加えて、実用性や安全性にも優れる、実にオールマイティな1台である。高価だが、得られるものは大きい。
BMW・M440i・xドライブ・グランクーペ主要諸元
グレード=M440i xドライブ・グランクーペ
価格=8SAT 1,006万円
全長×全幅×全高=4,785×1,850×1,450mm
ホイールベース=2,855mm
トレッド=フロント:1,590/リア:1,600mm
車重=1,840kg
エンジン=2,997cc直6DOHC24Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=285kW(387ps)/5,800rpm
最大トルク=500Nm(51.0kgm)/1,800〜5,000rpm
WLTCモード燃費=10.8km/リッター(燃料タンク容量59リッター)
(市街地/郊外/高速道路:7.4/11.1/13.1km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:245/40R19/リア:255/40R19+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.7m
(提供:CAR and DRIVER)