アジア新興国の中でも、有望な投資先として注目が集まるベトナム市場。新型コロナウイルス禍においても経済成長率はプラスを維持し、堅調な回復を見せている。成長余地が依然として大きく残るベトナム市場の魅力や、投資の有望性について解説していく。

世界経済は不透明感が募るが・・・

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(画像=hit1912/adobestock.com)

ロシアによるウクライナ侵攻により、足元では世界的な資源高や食料高に拍車が掛かっている。アジア市場も例外ではない。ベトナムを含む東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国では、消費者物価指数(CPI)が軒並み上昇傾向にある。

世界経済の先行きに不透明感が高まる一方で、ベトナム市場が投資先として注目を集めている。なぜベトナムなのか。その理由を紐解いていきたい。

そもそも、ベトナムとはどのような国?

本題に入る前にまず、ベトナムがどのような国か簡単に紹介しておこう。

正式名称は「ベトナム社会主義共和国」で、インドシナ半島の東に位置する。中国、ラオス、カンボジアと国境を接し、南シナ海に面している。国土は南北に細長く、面積は日本よりやや狭い約33万平方キロメートル。人口は9,850万人を超え、2020年の1人当たり国内総生産(GDP)は2,779ドル(約38万円)だった。

主要産業別のGDPに占める割合は、サービス業が約4割と最も大きく、鉱工業・建築業、農林水産業がこれに続く。日本や韓国など製造大手、世界各国の衣料メーカーの進出が後押しし、電話機、コンピューター、繊維・縫製品などが貿易品目で輸出額の上位を占めている。

飛行機の直行便で5~6時間という距離の近さから、日本との関わりも深い。在留邦人は2021年10月時点で2万2,185人。進出企業は約1,970社に上る。 外交面では日越関係が安定して良好であり、親日的な国民性でも知られている。

注目度が高まっている3つの理由

では、ベトナムが投資先として注目が集まっている3つの理由を紹介していこう。

理由1:加速するGDP成長率

1つ目は、高い経済成長率だ。ベトナム総計当局によると、2022年第2四半期(4~6月)の実質GDPは前年同期比7.72%増だった。 四半期としては2009年以降、最も高い伸び率となった。

新型コロナウイルス禍においてもプラス成長を維持した。2020年のGDP成長率は前年比2.9%、2021年には感染者急増に見舞われたものの、2.6%に収まった。

<世界各国・地域の経済成長率>

国・地域2019年2020年2021年
日本0.7▲4.71.7
アメリカ2.2▲3.45.7
欧州1.3▲6.55.3
インドネシア5.0▲2.13.7
マレーシア4.4▲5.63.1
フィリピン6.1▲9.65.6
シンガポール1.1▲4.17.6
タイ2.2▲6.21.6
ベトナム7.02.92.6
▲はマイナス、数値は%

アジア開発銀行(ADB)は、ベトナムの2022年のGDP成長率を6.5%と予測。伸び率はASEAN主要6カ国でフィリピンと並び最大になるとの見方を示す。

新型コロナの感染が一服し、関連する規制撤廃により内需は回復傾向にある。6月の小売売上高は前年同期比27.3%増と大幅に増え、前月比でも1.4%増となった。 もともと外需依存は高く、新型コロナの回復が進む米国を中心とした先進国への輸出拡大が景気を押し上げている。

経済成長率の高さに加え、個人消費や生産活動が拡大し、企業収益の成長が見込まれる。長期的には株式市場もさらなる上昇を続けるとの見方も強い。

理由2:平均年齢が31歳と若い

ベトナムは現在、人口ボーナス期を迎えている。15歳以上65歳未満の生産年齢人口は約6,700万人と、全人口の7割弱を占めている。 平均年齢は31歳 だ。

独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、総人口は2030年に1億人を突破し、2050年には1億1,000万人に上る見通し。その中でも、生産年齢人口は大幅に低下することなく6割以上を維持していくとみられている。

日本の高度経済成長期である1960年の人口は9,340万人と、現在のベトナムの人口規模に近い。当初日本の生産年齢人口は約6,000万人に上り、全人口の6割強を占めていた。 総人口は1967年にはじめて1億人に達し、15歳未満人口は 1978年にピークとなっている。

ベトナムは日本を上回るスピードで、企業活動や消費を支える若年層の数が著しく伸びていくことも考えられる。所得水準が今後さらに上昇すれば、さらなる経済成長や内需拡大にも期待できるだろう。

理由3:国は発展途上、不動産開発に潜在力

高い経済成長を誇るベトナムだが、依然として発展途上の段階にある。発展の余地はまだまだ大きく、企業の成長期待も高まっている。

都市部の不動産開発も投資を後押しする要因となりそうだ。ベトナム外国投資庁によると、2022年1~6月期の対内直接投資の認可額で不動産は20億151万ドルに上り、首位の製造業に次いで2番目に多かった。 近年は日系不動産各社が都市開発や住宅開発に参画する動きも活発だ。

都市部のマンションを中心に相場は上昇傾向にある一方、近隣都市であるシンガポールや上海、深センと比べても、ハノイやホーチミンといった市場は比較的競争力があるといえる。

中間層の増加が需要の押し上げ要因となることから、不動産市場は国の経済成長が反映されやすい。外資誘致により国際的な金融市場の確立に成功したシンガポールのように、金融や不動産が整備・発展すれば、経済大国に躍進する可能性もある。

成長余地の大きいベトナム

市場の成長性や、平均年齢の低さから労働人口の活性化に期待できるベトナムは、日本の高度成長期にも例えられる。今後さらに経済発展が進めば、中間所得層が増加し、消費市場の拡大も見込まれる。

成長余地の大きいベトナムは株式市場のポテンシャルも高い、有望な投資先の1つといえるだろう。長期的な視野で投資を検討してみるといいかもしれない。

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