この記事は2022年8月15日に「月刊暗号資産」で公開された「MakerDAO創設者、ステーブルコイン・DAIの担保資産からUSDCの除外を検討」を一部編集し、転載したものです。
DeFi(分散型金融)プロジェクト・MakerDAOの共同創設者・ルーン・クリステンセン(Rune Christensen)氏が、ステーブルコイン「ダイ(DAI)」の担保資産からUSDコイン(USDC)の除外を検討している考えを明らかにした。
公式Discordのメッセージによると、クリステンセン氏は8日に米財務省の外国資産管理局(OFAC)がトルネードキャッシュ(Tornado Cash)に対して行った制裁が、MakerDAOを深刻な危険にさらしていると考えているという。
財務省の発表を受け、USDCの発行元である米サークル社は制裁リストにあるアドレスをブラックリスト化。7万5,000ドル相当(約1,000万円)のUSDCを凍結した。
DAIの担保資産において、USDCは32%以上に相当する約35億ドル(約4,670億円)を占めている。クリステンセン氏らは、今後も同様の事例が発生した際に何かしらのリスクが生じる可能性を極力排除したい狙いがある。
クリステンセン氏は、「私はトルネードキャッシュの制裁の結果について多くの検討をしてきたが、残念ながら当初考えていたよりも、はるかに深刻である。MakerDAOはDAIがドルに対してペッグを失う可能性があることも真剣に検討すべきで、準備をすることが現実的だろう」と述べている。
それでも、USDCを除外することはリスクも伴うため、クリステンセン氏は議論を行った上で、実行する際は時間をかけて行う考えを示した。
また、MakerDAOが「35億ドル相当のイーサリアム(ETH)を買うことも検討している」と指摘する声もあった。プロトコルはイーサリアム購入のためにUSDCを売却することを検討しているという。これにより、DAIは約50%がイーサリアムで裏打ちされることになるという。
主要担保資産をUSDCからイーサリアムへ変換するという意見に対しては、一部から批判の声も挙がっている。イーサリアムの創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は「イーサリアムの価格が下落した場合、システム全体が部分的な準備金となる危険性がある」と述べた。
その後、クリステンセン氏は「全てのステーブルコインの担保をイーサリアムに変更するのは悪いアイデアだ」と述べている。(提供:月刊暗号資産)