この記事は2022年11月28日に「月刊暗号資産」で公開された「バイナンス、業界回復基金「IRI」を正式発表 10億ドルを拠出へ」を一部編集し、転載したものです。


BINANCE
(画像=DenPhoto/stock.adobe.com)

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)は25日、暗号資産業界の復興を目的とした「業界復興イニシアチブ(Industry Recovery Initiative:IRI)」を設立し、10億ドル(約1,387億円)を投じると発表した。また、必要であれば投資資金を20億ドル(約2,778億円)にまで引き上げることも可能だとしている。

現時点で、Jump Crypto、Polygon Ventures、Aptos Labs、Animoca Brands、GSR、Kronos、Brooker Groupらも計5,000万ドル(約69億円)を拠出するとしており、今後さらに参加者は増える可能性あると説明している。

バイナンスの業界復興イニシアチブを通じて支援を希望する企業・プロジェクトはすでに150社にのぼり、資金を拠出した各企業らが案件ごとに支援を行うか判断するという。

バイナンスのCEOであるチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao=CZ)氏は24日、Bloombergテレビのインタビューで、「FTXの崩壊は問題ではない」との考えを明らかにした。また業界復興イニシアチブについても触れ、「以前発表した暗号資産領域の不良債権を購入するための回復基金を通じて、10億ドル以上の支援を行うことを目標としている。それが十分でない場合にはさらに割り当てることもできる」と強調した。

CZ氏は今月9日、流動性危機に陥ったFTXを買収する計画を発表。しかし、FTXの内部状況を調査した結果、すでにバイナンスが支援できるレベルを超えているとして、買収に関する基本合意を結んでからわずか1日で撤回する結果となっていた。

その後、CZ氏はFTXの破綻による連鎖的な影響を軽減する目的で業界回復基金を設立する方針を明らかにした。その際には、バイナンスと共に支援を行う意志がある企業の参加を呼びかけている。今回発表された業界復興イニシアチブは、まさにその呼びかけに賛同した企業らが集まり立ち上げられた形だ。

業界復興イニシアチブでの取り組みは約6ヵ月にわたって行われ、個々の状況に合わせてトークン、フィアット、株式、転換社債、負債、クレジットラインなど、投資構造を柔軟に対応する予定だとしている。(提供:月刊暗号資産