この記事は2022年12月1日に「月刊暗号資産」で公開された「関東財務局、エクシア・デジタル・アセットに業務停止命令 運転資金不足が判明」を一部編集し、転載したものです。
関東財務局は先月30日、暗号資産交換業を営むエクシア・デジタル・アセット(エクシア)に対し、資金決済に関する法律に基づき、1ヵ月の業務停止命令と、業務改善命令の行政処分を行ったと発表した。
業務停止命令では、12月1日から12月31日までの間、暗号資産交換業および利用者からの財産受け入れ業務を停止する。なお、暗号資産交換業を適正かつ確実に遂行する体制を維持するための具体的な態勢整備が図られ、それが当局に確認されるまでの間、業務は停止される。
また業務改善命令では、業務停止命令と同様に暗号資産取引業者としての態勢を構築することを命じており、利用者やその資産の把握をすることや、利用者の資産の保全、利用者への説明を行うことを挙げている。
関東財務局は行政処分の理由として、エクシアが外部からの資金援助がなければ11月30日に予定されている支払いが全て行えない状況にあり、業務継続に必要な運転資金が不足する事態となっていると指摘した。これは関東財務局が法律に基づき先月22日と28日に報告を求めた際、判明したという。
現在、エクシアは資金支援を得るために交渉をしているものの、具体的な資金確保の見通しは立っていないようだ。また、エクシアは暗号資産交換業に関する取引システムの開発・保守運用および受託暗号資産の管理を外部ベンダーに委託しており、11月中に支払いができない場合には取引システムの継続に支障が生じる可能性があるという。
資金調達にある程度の目途がたった段階で、支払いの遅延や業務継続に関する交渉に外部ベンダーが応じてものとエクシアは考えているとのことだが、先行きは見えていない。
関東財務局はこれらの状況を加味し、「取引システムが安全かつ安定的に稼働しない可能性があり、利用者の金銭・暗号資産の分別管理等、利用者保護のために必要な措置が行われないおそれがあるものと認められる」としている。
また、エクシアは住友不動産六本木グランドタワー15階に本社を登録しているが、親会社から11月末までに退去を要請されており、取締役を含む社員は11月28日からリモートワーク体制により業務を行っている状況にあるという。移転先については現時点で確保されていないようだ。
エクシアは1日、行政処分を受け声明を発表。暗号資産交換業に関する日本円や暗号資産について、自己資産とは分別して管理していると述べた。
エクシアは元々ラストルーツ(LastRoots)という社名でサービスを展開していたが、昨年1月に「エクシア・デジタル・アセット」へと社名を変更している。
同社では日本発の暗号資産「コバン(c0ban:RYO)」を開発し、サービスを提供していた。2019年11月には金融庁より暗号資産交換業者として登録されている。
なお、エクシアではコバンのみを取扱っている。(提供:月刊暗号資産)