こんにちは、今回から記事をお届けする日中の金融市場を追っている中国人S.Sです。
主に中国関連の金融や富裕層動向をお届けする予定です。
宜しくお願い致します。

さて、中国の経済は急激な発展を続け、中国人の余剰資金も増え続けています。現在中国ではまるで日本のバブル時代のように高級車やブラント品が飛ぶように売れ、中国人は海外旅行や海外不動産の投資にも非常に積極的になりました。
しかし、実際は、今の中国国内には経済の発展に反してあまり有望と思われている投資先がありません。その結果、意外な商品が投資対象として注目を集めています。

一体それはどのようなものなのでしょうか。
今回は、中国人個人投資家を取り巻く状況や、人気を集めている意外な投資商品についてのまとめをお届けしたいと思います。

参考:
意外と楽観的?止まらない中国人富裕層の海外移住と華僑モデルの未来
2013年版フォーブス億万長者ランキングトップ20[中国編]~華僑VS本土の歴史的拮抗~


◉投資手段不足の理由① 政府による不動産投資規制


ここ何年か、中国で多くの投資家が注目し、唯一に収益を上げられた分野は不動産投資です。
しかし、近年政府は北京や上海などの中国の主要都市において、より厳格な不動産規制を導入しました。例えば、北京市の単身者は、現在2軒目の住宅購入が禁じられています。

また、2013年3月1日に不動産抑制に関する5項目の政策方針(新国五条)が発表されました。具体的にどういう政策内容かといいますと、まず二軒目の不動産を購入する際の頭金比率と金利の引き上げです。一軒目の不動産の場合、頭金は30%で金利も優遇を受けられました。しかし、二軒目以降は大幅に頭金比率が引き上げられ、金利優遇も小さくなります。
また、この政策の中でも不動産投資家にとって特に辛いのは、20%のキャピタルゲイン税が導入されたことかもしれません。具体的には不動産を購入した時の価格と売却した時の差額に対して、20%の税金が課されるようになりました。

このように、不動産の売り買いを通して収益を上げるタイプの投資家にとって、新しい住宅の購入は、以前ほど簡単ではなくなりました。

参考: ハゲタカは1年前に上昇を予測?〜不動産市場を支える主要プレイヤー達の実態〜


◉投資手段不足の理由② 長く続く株式市場の低迷


現在の中国株式市場は、まさに「九死に一生を得ている」状態です。

近年の中国株式市場は低謎が続いています。チャートからも分かる通り、2013年5月現在の上海総合株価指数は10年前の値とほぼ変わっていません。
また、2012年9月26日に指標の上海総合指数は、一時3年ぶりに2000ポイントを割って以来、ずっと2000台付近で徘徊しています。中国の個人投資家たちは中国株式市場への失望を隠せない状態です。

株式投資に対してネガティブなスタンスを示す個人投資家が増加し続けています。


◉投資手段不足の理由③ デリバティブ商品への投資制限


中国は厳格な外貨規制を採用しています。そのため一般の個人投資家はやや厳しいQDII制度の元で海外のデリバティブ商品を投資しています。

(編集注:QDIIとは「Qualified Domestic Institutional Investors」で 適格国内機関投資家制度のこと:一定の条件を満たした国内の機関投資家にのみ海外の証券投資を認める制度)

更に、人民元の非国際化により、FX(外国為替証拠金取引)などデリバティブ商品投資を行う際に、手元の人民元を米ドルなどに両替しなければ投資を行えなくなってしまいました。

なお、余談ですが、中国のネット証券会社はまだまだ発展途上で、個人の利用するネット証券会社はほぼ外資系(米国)の会社です。個人資産を国外へ預けるリスクも大きいと見られています。