私自身の強みや皆さまの関心、そして他の寄稿者の方とのバランスを考え主に中国語ソースを参考に、中国の経済・投資環境や台頭著しい中国人富裕層に関する話題をお届けする予定ですので宜しくお願いします。

さて、今回は日本でも話題になっている中国人富裕層の国外脱出(投資移住)の増加についてお届けします。
日本では比較的中国に取ってネガティブな文脈で報道されるこのニュースですが、実は中国内では楽観論も報道されています。
「これは、どういうことなのでしょうか?」、下記に解説していきたいと思います。

参照:中国有钱人移民三大动因

【参考:過去の海外移住関連記事】

閉じ込められる個人金融資産1500兆円
海外移住って、実際どうなの?〜シンガポール移住の注意点〜
加速する子女教育のグローバル化〜海外移住の新潮流 前編~
出国税導入?繰返される富裕層と当局のいたちごっこ~海外移住の新潮流 後編~
沈没する日本、興隆するアジア諸国〜海外移住の増加がもたらすもの〜
富裕層を魅了するシンガポール~教育問題・言論の自由…その魅力の裏に潜む影~

【参考:過去の中国人富裕層関連記事】

中国でのビリオネアや富裕層の最新事情[前編]
中国でのビリオネアや富裕層の最新事情[後編]


◉増加傾向にある中国人富裕層の投資移住


実は戦後の中国には、2度の海外移住ブームが起こっていました。
1970年代に起こった労働移住ブームと1980年代〜1990年代の技術・留学移住ブームです。
そして今、これらに続いて中国で大規模な投資移民ブームが起きています。

2013年1月に発表された「中国国際移民報告(2012)」によりますと、1億元(約13億4600万円)以上の個人資産を保有する企業オーナーのうち、「すでに海外に移住している」人は27%に達し、47%が「移住を検討中」、70%以上もの人が「投資移住を完了、あるいは検討中」だったというのです。
また、この3年間で少なくとも170億元(約2288億4400万円)の資産が海外に流出したそうです。

なお、今回の移民者はその多くが富裕層と知的エリート層で構成されており、過去の(特に1970年代の労働移住ブーム)とはその内容が大きく異なります。


◉富裕層が移住する理由① 子供に高品質な教育を届けたい


「2012年中国財富報告」によると、85%の中国人富裕層は子供に国際教育をさせているそうです。
そして、このうち中学校から留学をさせている割合が56%にも達しています。このように子供を幼い段階から海外に移住させようと決心した理由として、「中国の教育レベルが欧米先進国より低い」や「中国で教育を受けた学生は、想像力や創造性に乏しい」、「世界トップ500大学のうち、中国の大学でランクインしたのはわずか12校」などを富裕層が考慮した結果だと思われます。

なお、中華系の教育による「想像力や創造性」への影響についてですが、ZUU-ONLINEの寄稿者N.Sさんの記事で、同じ中華系の国であるシンガポールの教育事情に関する記事がありました。
そちらをお読み頂くと、ご理解頂きやすいと思います。

参考: 富裕層を魅了するシンガポール~教育問題・言論の自由…その魅力の裏に潜む影~