こんにちは、シンガポールのプライベートバンカーN.Sです。
大それたタイトルをつけてみましたが、普段生活をして感じていることについてざっくばらんに書いてみました。

金融センターやアジアのハブとしての華やかな一面が語られることが多いシンガポールは、日本の富裕層にとっての人気の移住先でもあるようですね。税制は富裕層に対して日本とは比較にもならないほど好意的ですし、ビジネス環境、生活環境ともに大変素晴らしく整っている国です。私は商売柄、実際に大物を含む様々な日本の富裕層が検討のためにシンガポールを訪問しているのを目の当たりにしています。

しかし、当然ながら、シンガポールにも明るい面だけではなく様々な側面が存在します。今回はいつもと少し趣向を変えて、教育や社会の姿についてなどの角度から、シンガポールについて思うことをお届けしたいと思います。

参考: 海外移住って、実際どうなの?〜シンガポール移住の注意点〜

◉公立学校の激しい競争

まずは子供の教育制度について触れてみます。

シンガポールにて我々日本人が取ることができる選択肢は、日本人学校やインターナショナルスクール、そして現地の公立学校など複数に分かれます。しかし、私が知り得る限り、現地のシンガポール人の多くは子供を公立学校に通わせます。

参考: 加速する子女教育のグローバル化〜海外移住の新潮流 前編~

そしてこの公立学校ですが、日本人の一般的なイメージとは裏腹に、その内部で行われる競争の苛烈さというと信じ難いものがあります。
(ちなみに私も日本で中学受験を経験しており、まだ自我も確立されないうちに詰め込みでやらされる勉強の苦しさは、自身の経験として身に染みております。)

この国ではほぼ無条件に、どの子供も3歳くらいの小さいうちからプレスクールに通います。そして英語や中国語、また数字などの読み書きに関する事が日中のカリキュラムにしっかり組込まれています。
そんなにも早くから勉強をさせなければいけない理由ですが、中学に上がる段階で全国一斉試験が行われるからです。そして、その成績に応じて入れる学校が振り分けられてしまうのです。つまり、日本のように私立の入試ではなく公立の学校に入るために、上から下まで順位付けされてしまうというシステムです。