◉忙しいシンガポールの子供達

上記のような制度と教育に熱心な国柄のため、この国の子供達のスケジュールは驚くほど多忙です。大体朝6時過ぎには家を出て、夕方帰宅後にも習い事があるというのが一般的ではないでしょうか。

お子様に対して、スイミング、科学、数学、ピアノとそれぞれの教科で家庭教師をつけている方が私のお客さんにもいました。また別のお客さんのお孫さんは、3歳の頃から英語と中国語に加えて日本語も勉強しています。

また上記の成績に基づくエリート養成プログラム的なものは高校や大学、さらには国費留学へとつながる道です。これらは成績が優秀な人同士で戦うことが多いため、日本で言うところの内申書で差をつけるためにボランティア活動までやっていたりもしています。

当然、裕福な家庭ほど教育にお金をかけます。教育はお金で買えるという側面はやはり存在します。
しかし、中国の科挙制度ではないですが、このような一斉試験的なプロセスのフェアなところは、一応どんなに家庭が貧しくても勝ち上がれるチャンスがあるということでしょうか。

◉教育の成果に対して、「プライベートバンカー」「ビジネスパーソン」として感じる不満

さて、私自身に子供がいたとして、この教育システムに我が子を預けたいかどうかですが、結論は100%NOです。

色々と理由はあげられるのですが、確かにシンガポールのエリートは非常に優秀で、そういった人たちは政治家の職や国の関連機関での職にて働かれているのでしょう。しかし、私が普段相手にしているシンガポールでの同僚に対して、強い尊敬の念を抱いたことはまだ一度もありません(会社の格、職種や地位というものも関係があるとは思いますが)。
日本のオフィスワーカー、事務をしてくれるアシスタントであれば必ず気づくであろうことも、教えてあげなければいけません。例えば正しい電話の受け答えの仕方などが最たる例です。いわゆるEQというものに対して、訓練される機会や試される機会が無かったのかもしれません。
参考: 頭がよくてもEQ能力がないと成功できない nikkei BPnet

また、シンガポールは経済の調子は大変良いといえども、創業者やオーナーという人物の割合が極めて少ない国です。企業の多くが政府系、または2代目の経営者が取り仕切る会社ばかりです(ちなみにシンガポールに相続税はありませんので2代目への承継が非常に容易です)。
私のお客さんの中でも、たった一人本物のオーナー経営者がいるくらいです。

参考: 「創業社長VSサラリーマン社長」~アジアの富裕層ビジネスから見えてきたもの~

加えて、自国民が300万人ほどいるにも関わらず、有名なスポーツ選手も出てきていません。これは確率の問題では無いはずで、早い時期からスポーツに打ち込める環境が無いためではと推測しています。
実際にこの話題を友人にしてみても、「水泳は盛んだけども(軍隊における必須科目)、他のスポーツはあまりやらせないなあ」という返答を受けます。

これは決して「だから日本の教育システムの方が良い」という議論ではなく、少し他のシステムと折衷しても良いのではという意見です。