はじめに
富裕層の海外移住は、2015年より実施された所得税や相続税、贈与税などの対富裕層増税や、日本経済の先行きへの不安などから、活発になり出したといわれている。そして2018年、改めて海外移住の傾向を眺めてみると、過去に予側された通りに海外移住が静かに進行しているといっていいだろう。なかでもアジアへの移住は、長期滞在者・永住者ともに増加傾向である。移住するにはどこがいいか?また移住先でのビジネスチャンスなどについて調べてみた。
増加傾向の海外移住
まず実際のところ、富裕層の海外移住がどの程度起きているのかを確認してみよう。
外務省の「平成30年海外在留邦人数調査統計」によると、日本人の海外永住者数は2017年には約48万4150人と、5年前の2013年に比べて16%(6万5403人)増加している。なかでもアジアの永住者数は、前年比では約8.6%(2503人)増加していて、人気が高いことがわかる。
長期滞在者も増加トレンドにあり、2017年は86万7820人。国別でみると、1位アメリカの23万人、2位中国の12万人に続き、3位のタイに7万人のほか、アジアではシンガポール3万3834人(約3.9%)や、マレーシア2万2718人(約2.6%)などが上位である。
世界の長期滞在者のうち、アジアは約42%(36万1695人)を占め、平成18年以降一貫して首位である。近年はビジネス滞在などが活発であり、なかでも2017年度のアジア長期滞在者のうち、自由業関係者の増加率が目立ち、特に女性の進出が475人と前年度より3.9%増えている。国別では、カンボジア(156人、前年比30%)やベトナム(98人、前年比約15%)の伸びが顕著だ。アジアは、永住でもビジネス目的での長期滞在としても今一番ホットな場所だといえるだろう。