欧米に負けじとアジアでも勃興するスタートアップ。特に東南アジアの勢いが凄すさまじく、インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシアなどから、興味深いスタートアップが続々登場している。
テックインアジアの調査 によると、2016年東南アジアのスタートアップに前年から60%増の26億ドルが投じられた。そのうち14億ドルがシンガポール、9.47億ドルがインドネシアに流れている。取引件数は365件と過去5年で初めて落ち込んだ。
タイのハイブリッドロボアド、フィノミナやテクノロジーで都会の農業を効率化を狙うシンガポールのパケットグリーン、日本のウミトロンやシナモンなど、これからますます面白くなりそうなアジアのスタートアップ10社を、アジア地域のスタートアップの近況とともに紹介しよう。
目次
- アジア圏で最も加速する東南アジア 過去4年で投資総額が3倍以上に
- フィノミナ(タイ)――金融リテラシーも提供するハイブリッドロボアド
- オミセ(タイ)――アジアFinTechをリードする大型スタートアップ
- パケットグリーン(シンガポール)――テクノロジーで都会の農業を効率化
- アドアジア・ホールディングス(シンガポール)――広告とテクノロジーを融合させたAdTech(アドテック)の新星
- ジアーネクス(マレーシア)――NTTやSBIが出資する金融機関向けソフト企業
- オンライン・パジャック(インドネシア)――ファーウェイなど大手も利用するオンライン納税アプリ
- ビットコインCO.ID(インドネシア)――国内最大のビットコイン取引所に成長
- シナモン(シンガポール)―― AIが無駄な業務を減らしてくれる
- ウミトロン(日本)――水産養殖向け宇宙データサービス
- ツナイキタ(インドネシア)――ビッグデータと機械学習技術で無担保融資審査
アジア圏で最も加速する東南アジア 過去4年で投資総額が3倍以上に
2012年には取引件数133件、投資総額は5億ドルにも満たなかった東南アジアだが、2015年には380件、15億ドルを突破。2016年は306件、25億ドルで記録を更新した。常に新鮮な投資対象を物色している投資家にとって、東南アジアは様々な領域で未知の可能性を秘めた魅力的な市場である。
タイとシンガポールに次いでスタートアップへの投資額が大きかったのは、マレーシア(8480万ドル)、タイ(7930万ドル)、フィリピン(1460万ドル)。日本からもウミトロンやシナモンなどが、国際的に注目を浴びている。
アジア圏で最も期待されていたインドや中国は対照的に、若干静けさを取り戻した印象を受ける。
フィノミナ(タイ)――金融リテラシーも提供するハイブリッドロボアド
バンコク発のハイブリッド・ロボットアドバイザー・スタートアップ、フィノミナ(Finnomena)。タイの消費者の金融リテラシーと投資の知識を高める目的で、同国のトップ投資家軍団が立ち上げた。
最も人気の金融情報サイトのひとつで、10億タイバーツ(約34.5億円)を上回る資産を運用している。
タイのシード投資ファンド「500トゥクトゥク(500 tuktuks)」や大手商業銀行アユタヤ銀行の傘下、クルンシィ・フィノベート(Krungsri Finnovate)などから、総額320万ドルを調達。