近年、特に東京・名古屋・大阪などの富裕層密集エリアでは、外資系金融機関を中心に海外への資産移転が積極的に斡旋されているようだ。

有名な所でも、この数年で、HOYAの鈴木CEOがシンガポールへ、ベネッセの福武会長がニュージーランドへ、サンスターの金田会長がスイスへ、バルスの髙島社長が香港へと、ビックネームが動いている。

また海外移住を仲介する会社というのも、あちこちで出てきている。Googleで検索すると、全部チェックすることを諦めるくらいの会社数がヒットし、全体の概要や有用な情報を把握する事も難しい。

そこで、特に富裕層向けの移住の候補として人気の高いシンガポールを例に、その実態と注意点をまとめてみた。 (最初に断っておくと、あくまでも私は海外移住は賛成の立場だ。ただ真実を理解して欲しいという想いで書いている。)

役立つものになると嬉しい。

目次

  1. 海外移住の斡旋は、誰が積極的に行っているのか?
  2. 斡旋業者は何をしているのか?
  3. どのように永住権を取得するか?〜シンガポールの例〜
    1. 重要視される審査基準
  4. シンガポール移住に落とし穴はあるのか?また注意点は?
    1. ①審査の厳格化
    2. ②子息への軍役義務
    3. ③税制に関する理解不足
    4. ④最終的に帰国を決断した場合のリスク

海外移住の斡旋は、誰が積極的に行っているのか?

海外に受け皿のある外資系の金融機関や海外にネットワークを持つ仲介会社が多い。特に話を持ってきているのは、UBSやクレディスイスなどの日本で積極的にビジネスを展開している外資系プライベートバンクだ。また日本にオフィスは無いが、シンガポール系のPBであるバンクオブシンガポールなどは、海外から日本へ積極外交していることで有名。

(しかし、2004年にシティバンクが金融庁より営業停止処分を受けたように、日本でビジネスを展開する金融機関は当局に目をつけられないように慎重にやっている。)

参考: プライベートバンクへの期待〜その幻想と真実〜

斡旋業者は何をしているのか?

大袈裟に言うと、富裕層達の不安を煽り、国内の税制の高さや国内に資金を置いておくことの危険性を語り、スイスやシンガポールや香港への資金移動と移住を薦める。その大きなセールストークとして、永住権を簡単に取得できるし、また全ての手配を手伝うと謳う。

参考: 海外逃避したい日本人VS規制を強化する日本政府

どのように永住権を取得するか?〜シンガポールの例〜