マレーシア第2の都市を目指し政府主導で進められている「イスカンダル」計画をご存知だろうか。シンガポールの国境沿いのジョホール州の土地を開発して先進都市をつくるという、投資総額10兆円超えのビックプロジェクトだ。開発は2006年から20年間を予定している。

目次

  1. シンガポールの国境沿いのジョホールバル
  2. イスカンダル地区の不動産マーケットの状況は
  3. 治安について

シンガポールの国境沿いのジョホールバル

ジョホールバルは、マレーシア最南端にあるジョホール州の州都である。国境を超えるとすぐシンガポールであり、気軽に行き来できるので、週末はジョホールバルに買い出しに訪れるシンガポーリアンの姿が後を絶たない。物価が安くシンガポールは目と鼻の先とあって、シンガポールのベットタウンとしても知名度を上げている街だ。そして立地面から経済成長を見込まれている地域である。

IMFが2018年10月に発表したマレーシアの2018年の経済成長推計は4.7%だ。一方、ジョホール州で実施されているイスカンダル計画では7%〜8%の経済成長を見込んでいる。経済が成熟期に突入しているマレーシアにとって、この数値は大きな期待がかかっていることのあらわれといえるだろう。

マレーシアでは急成長都市地域としてジョホールバル、ジョージタウン、クアンタンの3都市が指定されており開発拠点としても注目の場だ。ジョホールバルは場所柄か、外国人投資家たちも注目している地域であり、今後の行方が気になるところだ。

イスカンダル地区の不動産マーケットの状況は

イスカンダル地区に建設されたコンドミニアムは2014年あたりから完成を迎え、入居者が入り始めているが「思ったよりも需要が乏しい」といった現地の声が後を絶たない。

実際に購入したのは外国人投資家たちが多いというが、イスカンダルでの雇用状況から実際にこのエリアに住む人は増加しているとは言えない状況だ。シンガポールからの移住も増えていないという。将来性を狙って移住する人はいるが目立った動きは出ていない。日本人移住者はどうか?というと教育目当てで移住する人の姿が若干ある程度だ。

マレーシア国家不動産情報センター(Napic)が発表した「2014年次報告書」によると、2014年に1万3690戸の住居が供給されたのに対し、空室は約26%(3572戸)と空室率が高い。現在も建設は進められているが急ピッチで入居者を増やすのは非常に困難であり、すでにバブル崩壊か?といった声が上がっているという。

商業施設や工業施設についても供給がスタートしている。こちらの需要が増えない限り雇用の伸びも期待できない。また住居についても需要の伸びが厳しいところだ。

治安について