本記事は、ディーン・グラジオーシ氏の著書『億万長者に学ぶ 自分の磨き方』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています

周囲の人の間違ったアドバイスに気をつける

アドバイス
(画像=amnaj/stock.adobe.com)

世の中で最も大きな代償をともなうアドバイスはなんだろうか?

その答えは、間違ったアドバイスだ。ここでまた、質問しよう。

儲かりそうな発明やアイデアを思いついて、家族や友人、恋人にその話をしたときに、それがうまくいかない理由をうんざりするほど聞かされた経験はないだろうか?

おそらく彼らはこんなふうに言ったはずだ。

「発明にはお金がかかるが、あなたには十分なお金がない」「きっとそれはもう誰かが考えている」「特許を申請しなければならないが、そんな時間はないだろう」「テレビで宣伝しようとしても、費用がかかりすぎるから無理に決まっている」

その結果、あなたは彼らのアドバイスに従い、自分のアイデアを無視するようになった。ところが数年後、まさにそのアイデアが世界を変えて、見ず知らずの誰かが億万長者になるのを目の当たりにした。

あなたがチャンスを生かせなかったのはなぜか?

周囲の人の間違ったアドバイスを聞き入れたからだ。

不幸なことに、私たちは独身の友人から夫婦生活についてのアドバイスを聞かされる。あるいは、無一文の友人からお金の稼ぎ方についてのアドバイスを聞かされる。

うまくいっていない人から学んでも得られるものは何もない。間違った人から学んだとしてもなんの役にも立たない。

困ったことに、間違ったアドバイスは内なる悪魔にエサを与え、私たちに「安全策」をとるように仕向ける。安全策とは、望んでいる人生を手に入れるための行動を起こさないことだ。私たちは夢をぶち壊す間違ったアドバイスをたびたび聞かされる。さらに具合の悪いことに、家族や友人がそれを愛情たっぷりにしてくれる。

具体例を紹介しよう。あなたが失敗するのを心配している親。あなたが変化を起こすと夫婦生活に支障をきたすことを不安に感じている配偶者。自分が人間関係で痛い目にあったので、あなたが同じ目にあわないように守ってあげたいと思っている友人。自分が事業で破産の憂き目にあったので、あなたが同じ経験をしないことを願っている親戚。

あなたの足を引っ張ろうとしている人もなかにはいるかもしれないが、ほとんどの人は善意でアドバイスしている。いずれにせよ、周囲の人の間違ったアドバイスは、あなたの心のなかに住み着いている内なる悪魔にエサを与えてしまう。そのせいで疑念が生じ、自信が損なわれ、それが後悔に満ちた人生の原因になっている。

だから私たちは間違ったアドバイスには常に用心し、それを聞き入れない習慣を身につけなければならない。もし誰かに間違ったアドバイスをされたら、笑みを浮かべてすぐにそれを心のなかのゴミ箱に捨てよう。

私は自分の経験から、周囲の人の間違ったアドバイスがあなたの人生に大きな害をおよぼしてきたと断言できる。だから今後は間違ったアドバイスから自分を守る術を身につけなければならない。

間違ったアドバイスに関するユーモラスなエピソードを紹介しよう。

数年前、私は本のプロモーションツアーで数人の受講者と一緒に、「望んでいるレベルの成功を収めていないのはなぜか?」というテーマで話し合った。

一人ひとりが自分の思いを打ち明けていたとき、彼らの話に共通点があることに気づいた。彼らが思うように成功を収めることができていない原因は、知識や経験、お金が不足していたことではなく、周囲の人から間違ったアドバイスを聞かされ、次のレベルをめざすための行動を起こす勇気を失っていたことだった。配偶者や親、友人、同僚の間違ったアドバイスのせいで自信をなくしていたのだ。

私は彼らと別れた後、飛行機で地元のオフィスに戻った。到着後すぐにチームに電話をし、「今すぐにスタジオをセットしてほしい。次の新刊書のためのプロモーションビデオを撮影したい。今、すごくやる気がわいていてワクワクしている」と言った。

はっきり言って、私は待ち切れなかった。多くの人が周囲の人の善意による間違ったアドバイスのせいで挫折させられていることに気づいたからだ。

そこでスタジオに入り、ジャケットを着てネクタイを締め、撮影を開始した。そのとき初めて司会者やアナウンサーを交えず、直接カメラに向かって本の宣伝をしながら30分間ずっと話し続けた。

私はメモを使わずに純粋な情熱に駆られて話をした。人の役に立ちたいという気持ちからだ。私はそのとき何を考えていたか? 周囲の人の善意による間違ったアドバイスがセミナーの受講者たちの自信と幸福を奪い、成功する能力を台無しにしていたことだ。

撮影中に予定外のことを話したが、それは自分の思いが止めどなくあふれ出たものだった。私はカメラに向かってこう言った。

「成功していない人たちからアドバイスをもらっても意味がありません。彼らの間違いから教訓を学ぶことができると思っているかもしれないが、それはたいてい見当違いです。彼らは間違ったやり方しか知らないから、たとえ善意でも間違ったアドバイスをしてしまうのです。たとえば、私の父は4回、母は5回も結婚しているので合計9回も結婚していることになります。私は両親を心から愛していますが、現在はともかく子供のころは両親とも夫婦生活が大の苦手でした。もし私が円満な夫婦生活を送る方法についてアドバイスを求めるなら、結婚と離婚を繰り返している人たちに相談するのではなく、何年間もずっと仲睦まじく暮らしている夫婦に話を聞くでしょう」

私はそれを本音で言った。なぜなら真実だからだ。私は両親を愛しているし、彼らが経験した苦労を軽んじるつもりはないが、彼らから円満な夫婦生活についてのアドバイスを求めるのは見当違いだと思う。

この話には後日談がある。私は収録の最中に両親に言及していたことを忘れていた。このプロモーションビデオは私が撮影したなかで最も成功し、1年以上にわたって全米のテレビで放映された。放映開始から約3カ月が経ったある日、母が電話をしてきた。「どうしたの?」と私が尋ねると、「ディーン、自分の母親が5回も結婚したことを全国の人たちに話す必要があるかしら?」と母は言った。母は笑いながら言っていたので、幸いなことにユーモアが伝わっていたようだ。

もちろん私はそれについて謝り、台本を読まずにアドリブで話したことを説明した。そのときのやり取りで、母自身がそれまでの人生で得た間違ったアドバイスの大きな代償について話してくれた。2日後、私は謝罪のために母に新車を買ってあげた。

自分がこれまで得たすべてのアドバイスを振り返り、アドバイスをくれた人たちが適任だったかどうかを見きわめよう。そして、もし今後、たとえばテニスに関するアドバイスを受けたいなら、プロの試合をテレビで熱心に観戦しているズブの素人ではなく、プロの選手かコーチにアドバイスをしてもらうべきだ。

1枚の紙を用意し、この数年間で誰かから得た間違ったアドバイスをすべて書き、そのせいで自分がどんな被害を受けたかを書いてみよう。紙に書いて検証すると、周囲の人の間違ったアドバイスの恐ろしさが理解できるはずだ。不適任な人の間違ったアドバイスを無視し、適任者から正しいアドバイスを得る習慣を身につけよう。

間違ったアドバイスを無視すれば、内なる悪魔の影響力が軽減する。そのうえで正しいアドバイスを得ると自信がつく。

億万長者に学ぶ 自分の磨き方
ディーン・グラジオーシ(Dean Graziosi)
アメリカの実業家、セミナー講師、テレビタレント。不動産業界で頭角を現し、自己啓発の分野でも活躍している。「伝説のサクセスコーチ」として知られ、約15年にわたってテレビのトーク番組に出演するだけでなく、世界中でセミナーを開催し、オンラインサロンも好評を博す。6冊の著書のうち2冊がニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーとなり、全著作の累計発行部数は100万部を超える。現在、妻と2人の子供と一緒にアリゾナ州フェニックスで暮らす。

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