本記事は、ディーン・グラジオーシ氏の著書『億万長者に学ぶ 自分の磨き方』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています
返報性の原理を知る
返報性の原理とはどういう意味で、アフターフォローとどんな関係があるのだろうか?
辞書の定義はさておき、私は返報性の原理について少し異なる定義をしている。すなわち相手に見返りを求めずに価値を提供すること、あるいは相手が何かをする前に自分から何かをすることである。
ほとんどの人は「自分の利益になるなら助けてあげよう。もしここであの人を助けたら、あの人はいつか助けてくれるんじゃないか」と考える。だが、私は相手に見返りを求めずに何かをすることによって、素晴らしい人たちと良好な関係を築くことができた。
相手に見返りを求めずに何かを与えると、驚異的なことが起こる。
「自分がしてほしいことを相手にしなさい」という伝統的な教えのとおり、すすんで寛容的な精神を発揮しよう。そして、それを自分の性格の一部にしよう。その結果、突破口が開け、チャンスが次々と舞い込み、大きな成果を得ることができる。
返報性の原理をアフターフォローとして活用しよう。
つまり、相手のよい振る舞いに対して、なんらかの報酬を与えるのだ。よく考えてみよう。配偶者や子供、友人、従業員に対して、「あなたにはがっかりした」と何回くらい言っただろうか? そして、その人たちに「あなたのせいでうまくいかない」と何回くらい愚痴り、「それに対する懲罰を覚悟しなさい」と何回くらい脅しただろうか?
逆に、よいことをした人たちに優しい言葉をかけたりプレゼントを贈ったりしたことは何回くらいあるだろうか? 配偶者に「いつも世話をしてくれてありがとう」と言ったのはいつだろうか? 子供に「部屋の片づけをしてくれてありがとう」とか「レストランで行儀よく振る舞ってくれてありがとう」と言ったのはいつだろうか?
これは仕事でも同じことだ。顧客に対して「いつもご愛顧ありがとうございます。お買い上げいただき心から感謝します。これはお礼のしるしです」と言ったのはいつだろうか?
たとえば、私の扱っている400戸の物件のどれかを借りて、月々の家賃を半年間きちんと支払ってくれた入居者に対して、私は50ドル相当のスターバックスカードを手紙に同封して贈ることにしている。その手紙には「家賃を期日どおりに支払っていただき、誠にありがとうございます」と書いてある。
入居者はそういう手紙やプレゼントを期待していないが、いつも好意的に対応してくれる。実際、より長く住んでくれるし、クレームをあまり言わなくなる。気前よく家を買ってくれる人もいる。
このように感謝の手紙はきずなをつくるのだ。これは見せかけだけの優しさではなく、私は入居者に対して心から感謝しているし、それを誠実な気持ちで入居者に伝えている。そうすることで、大家と入居者の関係を超えて本物の人間関係を築いているのだ。
たしかに入居者は私に家賃を払い、私は入居者に住宅を提供している。だが、私の投資収益率は業界の標準をはるかに超えているし、入居者はアフターフォローに気づかいを感じてくれている。
あなたがすべきことは、仕事やプライベートで世話になっている人たちへのアフターフォローだ。
こんなやり方はどうだろうか? 今週、世話になった人たちに手書きで5通の感謝の手紙を送るのだ。これはあなたの予想を超える大きな効果をもたらすに違いない。
最後に感謝の手紙を書いたのはいつだろうか? 字が上手く書けないならメールでもいい。いずれにせよ、感謝の手紙(またはお礼のメール)の力は計り知れないほど大きい。それを顧客や従業員、上司、社長、配偶者、親、子供、兄弟に送ろう。
具体的な文面を紹介しよう。
「私は自分の人生を振り返って、あなたのお力添えがなかったらここまでやってこられなかったと思っています。ご厚情に心より感謝いたします」
「平素よりご愛顧いただき誠にありがとうございます。当社がここまでやってこられたのも、お客さまのご支援があったからです」
お世話になっている人たちに感謝の手紙を送ろう。プレゼントを添えると、さらにいい。花束にカードを添えるのも一案である。それを受け取った相手がどんなに感謝するか想像してほしい。これが私の言うところの返報性の原理である。
これを実行すれば、大きな愛があなたを包み込むだろう。もしプライベートでこの無私の精神を貫いているなら、仕事でもそれを実行すべきだ。顧客や同僚にそれを実行しよう。上司や部下に対してもためらってはいけない。
返報性の原理は、長期にわたる良好な関係を築くのに役立つ。つまり、人びとは末永くあなたの製品やサービスを利用し、好意に感謝し、いつまでも引き立ててくれる。これは一度きりの取引や短期的な関係とは対極をなす。長期にわたって良好な関係を築くことは、大成功を収めている人たちに共通する重要な成功習慣である。
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