この記事は2023年2月2日に「CAR and DRIVER」で公開された「ベントレーのアイコニック「Rタイプ コンチネンタル」の誕生70周年を祝うワンオフモデルのコンチネンタルGTが登場」を一部編集し、転載したものです。
ベントレーが1953年式Rタイプ コンチネンタル(JAS949)をオマージュしたコンチネンタルGTのワンオフモデル「コンチネンタルGTアズール」を発表。エクステリアは1950年代の伝統的な塗装色に忠実なオールドイングリッシュホワイトでハンドペイント
英国ベントレーは2023年1月25日(現地時間)、往年の名車であるRタイプ コンチネンタルの誕生70周年を記念したコンチネンタルGTのワンオフモデル「コンチネンタルGTアズール(Continental GT Azure)」を発表した。
今回公開されたコンチネンタルGTアズールは、ベントレーのビスポーク部門であるマリナーが既存のコンチネンタルGT V8をベースに、ベントレーの43台のヘリテージコレクションの中でも最もシンボリックなモデルである1953年式Rタイプ コンチネンタル(JAS949)の内外装デザインを現代的に解釈して再現したスペシャルな1台である。
まずは元となったRタイプ コンチネンタルの概要から紹介していこう。同車は1952年6月に最初のオーナーのもとに届けられ、1955年の生産終了までに208台が生み出される。そのうち193台はH.J.マリナー社(H.J.Mulliner&Co.)製のアルミ製ボディを纏い、最高速度は115mph、0→62マイル加速は13.6秒と、当時の4名乗り高級サルーンとして世界最速を誇った。また、Rタイプ コンチネンタルのJAS949は1953年12月に最初のオーナーであるスイスのローランド・グエィニン博士に納車され、後にベントレーのマリナーによってレストアが施されて保管。アイボリーのボディカラーにレッド基調のインテリア、オリジナルの4566cc直列6気筒エンジン(153bhp)+4速クロスレシオギアボックスなどがオリジナルのまま今日まで受け継がれている。
今年で誕生70周年を迎えるRタイプ コンチネンタルを祝うために、ベントレーのマリナーは直系の子孫で、3996cc・V型8気筒DOHC32Vツインターボガソリンエンジン(542bhp)を搭載する既存のコンチネンタルGT V8を使って、同車の現代的な再現を目指す。まずボディカラーは、1950年代の伝統的な塗装色に忠実なアイボリー系のオールドイングリッシュホワイトでハンドペイント。足もとには、オリジナルの16インチホイールと同様にブラック&ポリッシュ仕上げを施した22インチハンドフィニッシングホイールを組み込んだ。
内包するインテリアは、JAS949のパテント仕上げに近い質感を実現したオープンポアのままのバーウォールナットや、ボックスウッドのインレイを施したオーストラリア産ストレートグレインウッドのクロスバンディングおよびリッチゴールドのオーバーレイなどを特別装備。また、インパネやトリム、シート表皮にはJAS949の皮革色を再現したクリケットボールレザーを張り、合わせてアクセントに手作業でベルーガレザーのパイピングを施す。シート自体には、6つのプログラム設定が可能なマッサージ機能や調整可能なサイドボルスター、電動シートベルト調整、快適志向のヘッドレストを採用したフロントシートコンフォートスペシフィケーションを標準装備する。さらに、フェイシアのパネルにはRタイプ コンチネンタルのシルエットを、ドアシルには“1952-2022 CELEBRATING 70 YEARS OF R-TYPE CONTINENTAL”と刻んだ専用プレートを配備した。
シャシー面では、48Vアクティブアンチロールコントロールシステムを組み込んで必要に応じてアンチロールバーを電子的に切り離して乗り心地を滑らかにし、コーナリング時には0.3秒で最大1300Nmのアンチロールトルクを加えて車体を平行に安定させ、ドライバーと同乗者を過度なロールから保護するベントレーダイナミックライドを標準装備。また、先進安全運転支援システムとしてドライバーアシスタンスシステムを含むツーリングスペシフィケーションを標準で採用している。
なお、コンチネンタルGTアズールはベントレーの英国プレス車両に加わり、JAS949を運転する機会とともにメディア向けに貸し出される予定だという。
(提供:CAR and DRIVER)