総括
FX「ランドは下げ止まったが、停電、マネロン問題は残る。中国景気回復は好材料」南アランド見通し
「通貨最下位、株価8位」
「予想レンジ 南アランド7.2-7.7」
(ポイント)
*年初来最弱通貨、ただ2月半ばから下げ止まる
*ランドが売られる要因は停電とマネロン
*南アの最大貿易相手国は輸出入ともに中国
*中国PMI改善でランドが上昇
*最近の経済指標はマチマチ
*今週はGDPと経常収支
*インフレは低下傾向
*本日、新内閣発表
*中ロ・南アが合同演習
*電力不足で国家的な「災害事態」を宣言
*経済成長率について、中銀は2023年は0.3%、24年は0.7%になると予想
*政策金利は利上げ減速で0.25%引き上げ
*インフレ率は23年は5.4%、24年は4.8%と予想(中銀)
(下げ止まってボリバン2σ上限まで上昇)
南アランドは最弱通貨のままだが、2月半ばあたりの対円7.30から下げ止まった。ボリバン2σ下限から上昇、先週2σ上限に達し小反落している。上昇要因としては最大の貿易相手国の中国がゼロコロナ政策を解除し、中国の製造業PMIなどが1月、2月と改善してきたことがある。
(停電とマネロン)
国内問題はまだ不安だ。政府はエスコムの債務4230億ランドのうち、デフォルトの恐れがある2540億ランドを引き受け、債務と利息の返済を可能にし支援したが、その分は政府の財政赤字が増加し格付け会社にはネガティブにみられる。停電は続くがやや軽度なものになってきたこともランドを支えた。南ア株式市場は年初来7.18%の上昇となっており、為替ほど、停電については悲観的ではないようだ
南アの信用を落としたのは、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会 (FATF)によって「強化された監視下にある管轄区域」(グレーリスト)と決定されたことである。すぐには解決できる問題ではない。
(経済指標はマチマチ)
経済指標はマチマチだが貿易需給赤字に転じた。S&Pの2月のPMIは50.5で、1月の48.7から上昇した。ただアブサの2月の製造業PMIは48.8で、1月の53.0から大幅に低下した。深刻な停電が企業活動の打撃となった。22年の4Q失業率は32.7%と、4四半期連続で改善した。22年3Qは32.9%だった。1月貿易収支は230.05億ランドの赤字に転じた。1月消費者物価は前月の7.2%から6.9%へ低下。インフレ圧力が和らぎ、先月の利上げ幅は0.25%に縮小した。次回政策金利決定は3月30日。
(今週はGDPと経常収支)
今週は4Q・GDPや経常収支の発表がある。また新内閣改造案は本日発表される。
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン2σ上限から小反落
日足、ボリバン2σ上限から小反落。3月1日-3日の上昇ラインがサポート。3月2日-3日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。20日線下向き。
週足、雲の下、2σ下限だが3週連続陽線。2月20日週-27日週の上昇ラインがサポート。1月9日週-2月27日週の下降ラインが上値抵抗。5週、20週線下向き。
月足、4か月連続陰線も3月は陽線スタート。雲中から抜け出す、21年11月-23年2月の上昇ラインがサポート。22年11月-12月の下降ラインが上値抵抗。
年足、21年、22年は短い陽線。23年は陰転。20年-22年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
南アの国別輸出入
輸出は首位中国(11.2%)、2位米国(10.6%)、3位独(8.5%)、4位日本(6.7%)。
輸入は首位中国(20.6%)、2位独(8.2%)、3位米国(7%)、2021年