メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「「23日振り急落。昨年の高値更新直後。米国との金融政策デカップリング観測で。その他メキシコの弱点はあるか」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.1-7.6

 (ポイント)
*23日振り急落。昨年の高値更新直後。米国との金融政策デカップリング観測で
*次回政策金利は利上げ減速か、ただFOMCも気になるところ
*その他 米墨間の課題は
*米国とのトラブルもないわけではない(バモスメヒコ参照)
*昨年の高値も更新し7.643をつけた
*2月消費者物価低下
*経済指標は強い
*ボルサ株価指数は年初来10.24%高
*4Qの経常収支は赤字から黒字へ転換
*上昇継続。郷里送金とニアショア投資、円安がペソを支える
*2022年郷里送金は13.4%増
*国内経済は2022年に約3%拡大

(昨年の高値も更新し7.643をつけた)
 23日ぶりに急落した。2月のメキシコのインフレが低下し利上げ減速論が現実化してきた。1月の0.5%利上げから0.25%利上げに縮小する予想。一方米パウエルFRB議長は利上げ拡大を証言した。これまでの米との利上げペースを共有からデカップリングとなれば、一時的にペソが売り込まれる。それが昨日起きたわけだが、結論は3月22日(FOMC)と3月30日のメキシコの政策金利決定を待つこととなる。

 昨日の急落でペソ円は年初来10.12%高となった。先週末は12.5%高。23年通貨最強は維持している。対ドルでは昨日は7.72%安で、北米市場のペソ安が大きかった。

 また常々、郷里送金とニアショア投資がペソ高の要因としているが、円安も忘れてはならない。ただ円安を生む日本の貿易赤字が黒字に転換する時には注意したい。

(2月消費者物価低下で金融政策は、米国とのデカップリングあれば不安定に)
 2月消費者物価は前年比で7.62%、前月の7.91%、予想の7.68%を下回った。コアは8.29%で、前月の8.45%、予想の8.35%を下回った。

 メキシコ中銀総裁は「米国の経済成長は鈍化すると予想され、それがメキシコ経済の減速につながるが、メキシコが不況に陥るとは予想されていない。ただ利上げのペースを遅くすることを検討する可能性がある」と発言している。中銀の2月決定会合の議事録では、政策担当者の多くが次回3月の会合で利上げ幅縮小を提案していた。
 ただメキシコ政策金利決定前にFOMCがあり利上げ幅拡大が予想されている。FOMCに配慮するか。米国とのデカップリングあればペソの動きは不安定になる

(経済指標は強い)
 引き続きメキシコの経済指標は強い。ニアショアリングの好影響だ。
2月消費者信頼感は44.8で前回44.3を上回った。

1月失業率は3%で前月の2.8%を上回ったが予想の3.1%を下回った。2月自動車生産台数は、29万5787台と前年同月比で9.85%増加。10カ月連続で前年同月の水準を上回った。半導体不足の影響で落ち込んでいた生産台数が回復している。メキシコでは30万台が通常の生産規模の目安とされ、2月はわずかに届かなかった。

テクニカル分析

日足、23日ぶり急落。昨年の高値も上抜き7.643をつけた後

日足、23日ぶり急落。昨年の高値も上抜き7.643をつけた後であった。 2月9日-3月9日の上昇ラインがサポート。3月8日-9日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向く、20日線上向き。
週足、7週連続陽線後、昨日は大きく下落で陰転。ボリバン2σ上限。5週線が20週線を上抜く。2月6日週-13日週の上昇ラインがサポート。2014年11月17日週-2023年3月6日週の下降ラインが上値抵抗。
 月足、1月、2月は陽線。今月は昨日の急落もありここまで寄り引き同時。1月-2月の上昇ラインがサポート。5か月線下向く、20か月線は上向き。
 年足、一時22年の長い上ヒゲを上抜いた。ただ昨日は上ヒゲ内に戻る。21年-22年の上昇ラインがサポート。14年-22年の下降ラインも上抜く。

メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

VAMOS MEXICO

米国とのトラブルはあるのか

 対米関係も概ね改善しているが、強いて上げれば不安も少しはある。経済共同体のUSMCAだが、米加墨の経済交流を市場主義に求めるところだが、経済格差があるのでメキシコは保守的となる。原油産業、リチウム産業を国有化しようとして自由化を目指す米国と摩擦が生じる。雇用では米国の論理でメキシコ労働者の待遇改善を求めるが、メキシコ側の対応は遅い。
 最近ではメキシコ政府による米国産遺伝子組み換えトウモロコシの輸入制限について米国から協議が要請されている。
 また、米国との国境に近いメキシコの都市マタモロスで米国人4人が拉致される事件があり、2人が殺害された。メキシコの治安の悪さは残っている。
 またテスラのメキシコ進出の報道で盛り上がっているが、EV軽減税率問題でメキシコから不満が出ている。メキシコの取り分が少なくなる。これからの議論すべき材料だ。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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