総括
FX「3つのペソ円下落要因が集中したが、ファンダメンタルズは変わらず」メキシコペソ見通し
予想レンジ 6.8-7.3
(ポイント)
*3つのペソ円下落要因が集中し、7円を割った
*23日振りに陰線となった。昨年の高値更新直後
*次回政策金利は利上げ減速か、ただFOMCも気になるところ
*SVB破たん、CS金融不安でのリスク回避もペソを下げた
*2024年に大統領選挙がある
*メキシコのファンダメンタルズは強い
*円高にも注意
*2月消費者物価低下
*来週の3月前半消費者物価も低下予想
*ボルサ株価指数は年初来8.34%高に上げ幅縮小
*4Qの経常収支は赤字から黒字へ転換
*郷里送金とニアショア投資がペソを支える
*国内経済は2022年に約3%拡大
(SVBとCSの金融不安でリスク回避、メキシコの利上げ減速論、円高がペソ円下落の要因)
ペソ円は3月8日に昨年来高値を更新し7.643円をつけた直後の3月9日は23日ぶりに急落した。要因としては2月のメキシコのインフレが低下し利上げ減速論が現実化してきたことがある。次回は1月の0.5%利上げから0.25%利上げに縮小する予想が出てきた。
2月消費者物価は前年比で7.62%、前月の7.91%、予想の7.68%を下回った。コアは8.29%で、前月の8.45%、予想の8.35%を下回ったからだ。
(SVB破たん、CS経営不安説でのリスク回避でペソ安)
その後、米国でシリコンバレー銀行(SVB)の破たんが起こり、有事の円買いも出てペソ円は一時7円を割り込んだ。ボリバン2σ上限から3σ下限へ一気に下落した。米国市場は混乱して、FRBの3月FOMCでの0.5%利上げ予想が、0.25%利上げ予想や据え置き予想と変わってしまった。メキシコ中銀も、この事態で0.25%利上げより据え置きを選ぶ可能性が出てきたが、FOMCを見てからの決定となる。ただ昨日3月14日はSVB事件の詳細が明らかになり不安感は薄れ、ペソ円は7.20へ戻している。
さらにはスイスの金融大手クレディ・スイスの経営不安が再燃し、再びリスク回避の動きとなり再び7円を割り込んだ。ただ昨日はSVB関連、クレディ・スイス関連での当局の資金供与があり7円台に回復。
(メキシコのファンダメンタルズは強い)
引き続きメキシコの経済指標は強い。ニアショアリングの好影響だ。2月消費者信頼感、1月失業率、2月自動車生産台数が改善したのは前回述べた通りだ。さらに1月鉱工業生産は前年比2.8%増となり、前月の3%より低下も予想の2.5%を上回った。
(円高にも注意)
メキシコのファンダメンタルズ相変わらず強いが、これまでペソ円を支えてきた円に異変がある。大規模な貿易赤字が円安を生み出してきたが、原材料価格の急落に伴い、日本の輸入額も減少してきている。まだ貿易赤字が続くが去年程の大きさはなく円安も一服してきた。貿易黒字に戻ったら大きなペソ円下落要因となる。
(来週の3月前半消費者物価も低下予想)
3月前半消費者物価は6.57%の予想だ。前回は7.76%。利上げ減速論がさらに高まってくる。
テクニカル分析
日足、5日線下向き、20日線を下抜く、ボリバン2σ上限から3σ下限へ下落
日足、3月9日は23日ぶり急落。前日の3月8日に昨年の高値も上抜き7.643をつけた直後であった。ボリバン2σ上限から3σ下限へ下落。ただ雲に入らず。1月20日-3月16日の上昇ラインがサポート。3月15日-16日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き、20日線を下抜く。
週足、3月6日週は8週ぶり陰線、今週もここまで陰線。ただ下ヒゲは長い。ボリバン2σ上限から下落し中位を割り込む。5週線、20週線下向き。8月1日週-12月19日週の上昇ラインがサポート。3月6日週-13日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、1月、2月は陽線。今月はここまで陰線。22年3月-23年1月の上昇ラインがサポート。5か月線下向く、20か月線は上向き。
年足、一時22年の長い上ヒゲを上抜くも、その後23年も長い上ヒゲに転じる。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
メキシコ大統領選挙も2024年
メキシコの次期大統領選挙まであと1年、最も注目を集めている候補者はメキシコシティの市長でノーベル賞受賞歴のある環境科学者のクラウディア・シェインバウム氏である。初の女性リーダー誕生となるかどうか。シェインバウム氏は、ロペス オブラドール大統領の左派の理想を共有している。ロペス・オブラドールと同様に、過去の大統領のネオリベラル経済政策が不平等を悪化させたと非難している。
科学の専門家としての主張の一つは「再生可能エネルギーの分野でさらに成長し始め、自動車の電動化を進め未来に至るまで、エネルギーのほとんどは再生可能エネルギーに関連していなければならない」である。
与党モレナ党の他の候補者は、外務大臣のマルセロ・エブラド氏と内務大臣のアダン・アウグスト・ロペス氏。2018年後半にロペスオブラドール大統領の任期が始まったとき、エブラド氏は最も可能性の高い後継者と見なされていたが、世論調査会社エンコールが2月4日から7日に行った調査では、シェインバウム氏はエブラド氏を18ポイントリードしている。
シェインバウム氏は、世界最大の都市の 1 つメキシコシティ安定的に運営したことで比較的高い評価を得ている。(メキシコでは2024年7月に総選挙が予定されている。有権者は、6年の任期を務める新しい大統領、下院議員500人、上院議員128人を選出する。メキシコ憲法第83条は、現職のアンドレス マヌエル ロペス オブラドール大統領が再選を求めることを禁じている)