ウイスキー終売・休売の情報を追うのは根気が必要

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(画像=「whiskeen」より引用)

常にウイスキーの終売・休売情報を集めるには、時間と労力と根気が必要です。
ウイスキーの終売・休売はとても悲しいことですが、多くは流通再開の目処が立っていない状態がほとんどです。消費者としては、辛抱強く流通再開情報を待つしかありません。

また、終売や休売が発表されると買占めが行われ、市場から一気に消えてしまうこともあります。
流通数が減ると自ずと希少価値が上がるため、転売の対象になってしまうケースがあるのも事実です。

ときどき、製造・輸入メーカーが正式発表する前に情報がリークされることもありますが、その情報が正しいかどうかを精査することは、一般消費者にとっては困難といえます。

専門家が語る終売・休売パターン3つ

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(画像=「whiskeen」より引用)

ウイスキーが終売・休売してしまうケースには、いくつかの要因が複雑に絡んでいます。
終売・休売という状態に陥ってしまう理由について、3つのパターンに分けて具体例を交えながら解説します。

1. 蒸留所の原酒不足

ウイスキーを生産している蒸留所の原酒(ウイスキー)が不足し、出荷できないというのが大きな要因の1つです。
昨今の世界的なウイスキーブームにより消費が増える一方、生産が追いつかないことで原酒不足が起こります。

ウイスキーは樽で熟成を行うため、出荷までに非常に長い時間が必要です。
大手の蒸留所であれば、出荷量の増減から早めに手を打つことで対応できますが、中・小規模な蒸留所では原酒のストック規模が小さいため、原酒が足りなくなってきてから生産設備を増強しても、原酒不足に陥りやすいのです。

原酒不足を打開するために、ラインナップを更新する場合も

長期熟成の原酒が不足している場合、ラインナップを更新して製品をリリースすることがあります。
熟成年数の表記を辞め、ノンエイジ(年数表記無し)となるパターンです。ノンエイジ製品を定番として、既存の製品を終売や休売とすることもあります。

この他にも、シェリー酒において樽での運搬が認められなくなって以降、シェリー樽熟成のウイスキーも不足している傾向にあります。

【ラインナップ入れ替え例】ベンリアック

2020年9月にスコットランドのシングルモルトウイスキー「ベンリアック」が、ボトルやラベルデザインを刷新し、ラインナップを大きく変更しました。
変更後のラインナップには、今までリリースされていた100%シェリー樽熟成の「ベンリアック12年 シェリーウッド」の後継品となる銘柄がありませんでした。
そのため、シェリー樽熟成のみで構成されたベンリアックは無くなり、「ベンリアック12年 シェリーウッド」はラインナップ入れ替えとともに終売。
シェリーの空き樽が高騰したため手に入りにくくなり、シェリー樽熟成の原酒の確保が困難になったのではと考えられています。

ベンリアックのシェリー樽熟成モルトが全く無くなったということはなく、入れ替え後の10年、12年レンジのベンリアックにバランスよくブレンドされています。

2. 輸入元販売の契約が終了

輸入を行っているメーカーが販売元との契約が終了し、取り扱いがなくなるパターンです。取り扱いが終了したため、基本的に日本には流通しなくなります。
ただし、製品の製造自体は続いているということもあり、終売・休売というより日本への正規輸入がないという状態です。
この場合、正規とは別で、並行輸入や個人輸入で購入できる可能性があります。
また、別のメーカーが販売元と契約すれば、正規輸入による流通が再開するといったことも考えられます。

【輸入元販売の契約終了事例】アーリータイムズ

「アーリータイムズ」はもともと、アサヒビールが輸入販売を行っていました。
しかし、2022年6月14日にアサヒビールの輸入元販売契約が終了し、国内終売に。
その後、明治屋が「アーリータイムズ」をはじめとした、サゼラック社所有のアルコール7品の取り扱いを開始。
新製品「アーリータイムズ ホワイト」が日本で発売開始されました。これで「アーリータイムズ」ブランドが国内復活したといえます。

3. 製造元による製造中止

製造自体が終了し、終売となるパターンです。多くの場合、今後のウイスキー製造見込みがないため、現在庫しかありません。
輸入をしているメーカーが現在庫を卸や小売りに流すため、酒屋や百貨店、スーパーの酒販部門を探し回れば発見できる可能性が残されています。特に地方の酒屋では、終売品等の掘り出し物があるかもしれません。

【製造元が製造中止した事例】「アーリータイムズ イエローラベル」

前述のとおり、「アーリータイムズ」ブランドは代理店を明治屋に変更し、日本で販売されました。
その中でも「アーリータイムズ イエローラベル」は国内で再販されませんでした。
最終的にアメリカ本土でも製造中止となり、惜しまれつつ完全終売終売品となりました。