ウイスキーを探していると、終売・休売の情報を目にすることがありますよね。
では、「終売」や「休売」は、具体的にどういった状態を指すのでしょうか。
今回は、「終売」や「休売」の定義について、ウイスキー市場の動きを確認しながら、わかりやすく解説します。

この記事の監修者

浅野まむ
(画像=「whiskeen」より引用)

浅野まむ

お酒とBarを愛しています。バーテンダー歴8年、現在ライター。ウィスキーエキスパート資格持ち。 1人で飲むのも、大勢で飲むのも、2人で飲むのも、なんでも好きです。

【元バーテンダー監修】休売とは?

whiskeen
(画像=「whiskeen」より引用)

ウイスキーを探していると、目にする機会がある「終売」「休売」という悲しい情報。
ネットの情報だけでは、すでに売り切れなのか、実店舗にはまだ置いてあるのかなど、さまざまな憶測をしてしまいます。
実際に「休売」とは、どのような状態を指すのでしょうか。「休売」と発表されている銘柄の具体的な流通状態ついて、大きく3つに分けて解説します。

メーカー欠品として使われる

「休売」をメーカー欠品とする場合が考えられます。
特定銘柄の在庫が、ウイスキーを製造または輸入(インポート)しているメーカーに無いことを「メーカー欠品」といいます。取り扱いは続いていますが、売る商品がない状態です。

「メーカー欠品」は短期間で解消される場合もありますが、銘柄によっては欠品状態が長期に渡ることもあります。
長期間の「メーカー欠品」が予想される場合、メーカーは「休売」にすることがあります。
「長期欠品につき休売中」という状態です。「長期欠品につき休売中」という場合、メーカー側も流通の再開目処が立っていないことが多く、販売再開時期の問い合わせに対して明確な回答ができません。
そのため、「休売」にすることで、メーカーに問い合わせが殺到することを防ぐ目的もあります。

なお「メーカー欠品」は、欠品している製品が日本に届けば、流通が復活する可能性があります。
しかし、製品を運ぶ便やコンテナも限られているため、主力製品やシェアの高いアイテムが優先されることも考慮しなければなりません。
以上のことから、特定の銘柄だけ欠品し続けているという事態も、しばしば見受けられます。

メーカーも把握が困難という実情

「休売」については、流通再開の確かな情報が少ないことも原因の1つです。メーカー側も、製品を運ぶ輸入コンテナがいつ来るのか見通しが立っていないケースがあります。
最近では、新型コロナウイルスによる人手不足やウクライナ戦争の影響などにより、メーカー側も製品がいつ日本に届くのか把握が困難です。
そのため、輸入ウイスキーの全体的な流通も、不安定な状態が続いています。

流通困難を避けるために行われる「出荷調整」

タンカー座礁事故や世界情勢などによる不安定な流通状態と反比例するかのように、ウイスキーの需要は日本だけでなく世界でも急激に高まり、定番品とされる銘柄も欠品となることが増えてきました。
「メーカー欠品」や「休売」といった状態に陥ることを避けるために、酒類メーカーが出荷量を調整し、市場に流す数量をコントロール(出荷調整)することがあります。

ウイスキーの瓶不足も関係

ウイスキーは通常、瓶に詰められて出荷されますが、瓶不足により流通が滞るケースもあります。
先述の輸入目処が立たない理由とも重なりますが、主にコロナウイルスの流行やウクライナ戦争が要因となり、瓶の製造工場がストップしてしまったり、瓶の輸送ができなくなってしまったりする事態が発生してしまうのです。

特にスコットランドのシングルモルトウイスキーは、スコットランド国内で瓶詰することが厳しく定められていることに注目です。

「原酒はあるのに詰める瓶がない」という理由でコンテナへの荷積みが間に合わず、日本市場では欠品や休売になる場合もあります。