bank-note-209104_640

欧州中央銀行(ECB)が10月26日に発表したユーロ圏の民間銀行130行に対する資産査定とストレステストの結果、2013年末時点で25行が不合格となった。ECBは域内銀行の再生には課題があるとしており、特に南欧銀行の経営状態が厳しいことは明らかになった。一方、ドイツ銀行などの大手銀行は健全とみなされた。

資本不足の総額は250億ユーロだったが、2014年に入ってから12行が150億ユーロの増資を実施したため、不足分の残りは100億ユーロとなる。つまり、13行は資本不足のままとなっている。資本不足が解消されていない13行については、2週間の猶予付きで資本増強の計画を提出しなければならない。その後、6~9ヶ月以内に計画を実施することになる。だが、場合によっては連鎖破綻が起きるのではないかとの見方も出ている。

ただ、ゴールドマン・サックスなどが事前に行っていた投資家調査で予想されていた資産不足額500億ユーロを大幅に下回ったため、投資家達はひとまずほっとした部分もあったかもしれない。


ECBが介入した背景

EUでは2010年と11年にストレステストを行ったが、その後合格したはずの銀行が破綻してしまったため、EUによるストレステストの信頼は失われた。その結果、銀行監督をECBに集約するなど、ECBの介入を招くことになった。そしてストレステストもECBが引き継ぎ、改めて信頼回復のために130行の審査に取り組んだ。その様な経緯があったため、ECBによるストレステストはそれまでよりも厳格な条件を実施している。その結果として480億ユーロもの銀行保有資産の過剰評価が発覚した。しかし、今回の査定ではまだ改善すべき点がいくつかあったため、市場の反応は冷ややかなものとなった。