一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAは2023年末に新規の投資ができなくなり、2024年からは新しいNISAが始まります。投資枠や非課税期間などが拡充して、2つの投資枠を併用することが可能になるため、仕組みが少し分かりづらくなりました。何から始めたら良いのか分からない方に向けて、新NISAの始め方を紹介します。

新NISAの内容を復習

新NISAの始め方!投資1年目は何から始める?
(画像=umaruchan4678/stock.adobe.com)

これまでのNISAとは違い、新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠があり、それぞれに投資枠や非課税期間などが設定されています。

投資枠の種類つみたて投資枠成長投資枠
対象年齢18歳以上
投資枠年間120万円年間240万円
保有限度額1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)
非課税期間無期限化
対象商品長期・積立・分散投資(※)に適した投資信託やETF上場株式や投資信託など
口座開設期間恒久化
(※)投資先となる資産や地域、購入のタイミングを分散することでリスクを抑える手法のこと。

現行制度に比べると、新NISAでは1年間の投資枠が拡充され、非課税期間も無期限化される予定です。つみたて投資枠と成長投資枠は併用できますが、金融商品の保有限度額は2つの投資枠を合計して1,800万円までとなります。

投資例1.つみたて投資枠をメインに使う

損失のリスクを抑えて運用したい人は、成長投資枠よりもつみたて投資枠をメインに活用することを考えてみましょう。同じ金額・頻度の積立投資を続けると、平均購入単価を抑えやすくなるため、積立投資はリスクを抑えたい人に向いています。

また、つみたて投資枠で取引できる投資信託やETFは、金融庁が定めた基準をクリアした、長期・積立・分散投資に適した銘柄に限られています。このように分散投資ができる金融商品を選ぶと、損失のリスクを抑えやすくなります。

注意点

一般的に投資期間が長くなるほどリスクが抑えやすく、収益が安定するといわれています。また、1度で積み立てる金額が多すぎたり頻度が短すぎたりすると、家計が圧迫されるかもしれません。途中で辞めなくても済むように、積立金額や頻度は無理のない範囲に留めましょう。

投資例2.成長投資枠をメインに使う

成長投資枠をメインに活用すると、つみたて投資枠(120万円)よりも1年間の投資枠(240万円)を多く使うことができます。ただし、投資対象によって特性が異なるため、金融商品の違いは確認しておきましょう。

以下は2023年3月時点で、成長投資枠で投資対象になる可能性がある金融商品です。

上場株式の特徴

株式を売買することで得られる譲渡益や、株式を保有していることで得られる配当金と株主優待を狙えます。配当金と株主優待は企業によって有無が異なるので、企業の決算などを確認する必要があります。

新NISAでは、上場廃止基準を満たす可能性がある監理銘柄や、すでに廃止が決まっている整理銘柄が投資対象から除外されます。

投資信託の特徴

投資家から集めた資金で、専門家が株式や債券などを運用する金融商品です。ETFよりも銘柄数が多く、一つの銘柄でさまざまな地域や資産に分散投資ができます。

つみたて投資枠では200銘柄強(2023年3月時点)が投資対象に定められていますが、成長投資枠であれば1000銘柄以上の投資信託の中から購入したいものを選べます。

ETF(上場投資信託)の特徴

証券取引所に上場している投資信託です。市場が空いている時間はリアルタイムで基準価額が変動し、取引することができます。

REIT(不動産投資信託)の特徴

不動産を対象にした上場投資信託です。数万円~数十万円の資金で、オフィスやホテル、倉庫などさまざまな不動産に間接的に投資できます。不動産の運用や売買によって得られた収益は、管理手数料などを差し引いてから分配金として支払われます。

注意点

特に上場株式は一つの銘柄で分散投資が行えていないため、投資信託よりもリスクが高くなりやすいといえます。リスクを抑えたい場合は、業種やビジネスを行う地域が異なる企業に分散して投資しても良いかもしれません。

また、年間240万円の投資枠を一度で全て使い切って特定の銘柄を購入すると、高値で購入してしまい、その後は下落が続いてしまうリスクがあります。このようなリスクを避けるために、同じ銘柄であっても購入するタイミングを複数回に分ける方法も検討してみましょう。

投資例3.つみたて投資枠と成長投資枠をバランスよく使う

以下のように、2つの投資枠をバランスよく使うのも選択の一つです。

<つみたて投資枠の活用例>
長期保有を前提として、継続できる無理のない範囲で金融商品を積み立てる。基本的に一定の金額と頻度で積み立てを行う。

<成長投資枠の活用例>
市場の動向に合わせて、上場株式や投資信託などの売買を通じて譲渡益を狙ったり、長期保有を前提に上場株式の配当金と株主優待、投資信託の分配金を受け取ったりする。

上記の方針を踏まえた上で、つみたて投資枠でリスクを抑えた投資を行いつつ、成長投資枠でリスクを考慮した上で大きなリターンが期待できる銘柄に投資する、といった投資枠の使い分けを行っても良いかもしれません。

注意点

2つの投資枠を併用すると、投資先の管理が複雑になることが考えられます。投資先の値動きや動向を定期的に確認して、リスクを見落とさないようにしましょう。

また、ポートフォリオの資産構成に偏りがあると、特定の資産が大幅に値下がりしたときに大きな損失を被ってしまうかもしれません。このようなリスクを抑えるために、ポートフォリオの資産構成が偏らないように調節することが大切です。

新NISAは無理のない金額から始めよう

新NISAでは2つの投資枠を合わせて年間360万円まで投資できますが、まずは無理のない範囲から投資を始めましょう。各投資枠の特徴を活かして、ご自身に適した活用方法を考えることが大切です。

なお、新NISAの概要は2023年3月時点のものであり、制度開始までに見直される可能性があります。実際に新NISAを活用する際は、最新の情報を確認しましょう。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。

(提供:Wealth Road