2020年の確定申告期間は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、4月17日以降であっても所轄の税務署へ申し出ることで、申告書を受け付けることが国税庁から発表された(※)。申告書の作成が可能となった時点で、悩みのタネは早めに済ませて本業に力を入れてはいかがだろう。
本記事では2020年からの変更ポイント、基礎的な知識、フリーランスの方向けのコツ等を徹底解説する。
※国税庁から確定申告の期間が延長されることが発表されましたが、記事内容では一部、記事執筆時点の情報で「3月16日」となっている箇所がございます。何卒、ご了承ください(2020年5月修正) ※本ページをブックマークして頂くことをお勧めします ※目次の文字をクリックすると、その章に移動します
<参考> ・【確定申告書等作成コーナー】申告・納付期限の個別延長手続きについて(国税庁ホームページに飛びます)
目次
2020年の確定申告の変更点は?
CHECK POINT 1 源泉徴収票などの添付が不要に これまで紙の書類で確定申告をする場合、源泉徴収票などの添付が必須だった。 これが、平成31年度の税制改正により、平成31年4月1日以後に提出する申告、届け出については書類添付が省略できるようになったのだ。
CHECK POINT 2 仮想通貨は「移動平均法」と「総平均法」で算出 仮想通貨の損益を計算する方法は、「移動平均法」と「総平均法」の2つ。移動平均法を使う場合は確定申告期限までに、税務署に届け出をする必要があり、届け出をしなければ総平均法として扱われる。
総平均法の方が計算は簡単だが、移動平均法の方が実態に近い数字が出る。自分に合ったほうを選ぼう。
CHECK POINT 3 住宅ローン控除が13年に延長 住宅ローンを利用したときは住宅ローン控除が不可決。控除の適用期間は通常10年だが、増税による駆け込み需要や反動減を抑える目的で、令和元年10月~令和2年12月に契約・引き渡しを終えて、居住した人については、住宅ローン減税を受けられる期間が13年に延長される。(中略)令和3年1月1日以降は、元の住宅ローン減税制度に戻る予定だ。
確定申告の基礎
確定申告のスケジュールは?
まず知っておかなければならないのがスケジュール。令和2年の1月下旬までには各種の必要な書類をそろえ、2月上旬以降に申告書を作成。用紙は国税庁のホームページや、税務署で入手することができる。そして、2月17日から3月16日までに、住所地を管轄する税務署に提出。提出は税務署への持参や郵送、電子申告のいずれでも可能だ。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【準備編】より引用)
確定申告が必要な人とは?
確定申告とは、所得にかかる税額を計算し、税務署に申告する制度。まず自分は確定申告をする必要があるかをフロー図でチェック。年収2000万円超の人や副業などで年間20万円超の所得がある人は、確定申告が必要になる。(中略)
また、確定申告をすれば税金が戻ってくる可能性のある人もいる。たとえば、医療費を家族全体で年間10万円超支払った人や令和元年に住宅ローンを組んで住宅を購入・リフォームした人。また、株式や投資信託、債券、FX(外国為替証拠金取引)で儲けた人や損した人も対象だ。
さらに、地震などの災害や盗難に遭った人は、税金が被害に応じて軽減される。「ふるさと納税」などで寄付をした人も寄附金控除を受ければ税金が取り戻せる。そのほか、年末調整で必要な書類を出し忘れた人も、確定申告をすることで税金が戻ってくる。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【準備編】より引用)
申告書類、どうやって書く?
いざ確定申告〜日常編〜
医療費控除の申告
家族全員の1年間の医療費が10万円を超えた、特定の医薬品を1万2000円超購入した、そんな人は確定申告をしよう!面倒がらずに申告すれば税金が戻ってくる。
医療費控除とは、ケガや病気で手術・入院をしたり、歯の治療で高額な医療費がかかったりした場合、年間10万円を超えた分を所得から差し引くことができるというもの。
同じ家で暮らしていなくても、生活費を仕送りしている子供や実家の親、単身赴任中の夫など「生計を一にする」家族全員(6親等内の血族および3親等内の姻族)の医療費を合算して申告できる。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【日常編】より引用)
住宅ローン控除の申告
住宅ローンでマイホームの購入やリフォームをした人などは税金が戻るチャンス!-マイホームの買い替えで損失が出た人も忘れずに申告しよう。
住宅ローンを組んでマイホームの購入やリフォームをしたら、住宅ローン控除を受けることで税金が還付される。このメリットを享受するためには、購入して居住を始めた翌年に確定申告が必要だ。面倒だと思うかもしれないが、会社員などの給与所得者なら2年目以降は年末調整で手続きができるので、確定申告は1年目の分だけでいい。
対象は令和3年12月末までに入居した人で、毎年末の住宅ローン残高または住宅の取得価額のうち、いずれか少ないほうの金額の1%(上限40万円)が10年間にわたって控除される。ただし、令和元年10月から消費税が増税されたことを受けて、消費税率10%が適用される住宅を取得し、令和元年10月1日から令和2年12月31日までに入居した場合は、控除期間が3年延長されて13年になる。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【日常編】より引用)
寄附金控除・ふるさと納税の申告
個人が国や地方公共団体などに寄付をしたり、義援金を払ったりすると寄附金控除が受けられる。人気の「ふるさと納税」も寄付金のひとつなので、確定申告をすれば税金が戻ってくる。
個人が国や地方公共団体、特定の法人などに2000円を超える寄付をすると、寄付金額(その年の総所得金額等の40%相当額が限度)から2000円を引いた分が寄附金控除の対象となり、確定申告をすると還付を受けられる。寄附金控除の対象は国や地方自治体、公益法人、学校法人など国が認定した団体のみで、募金などは対象外だ。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【日常編】より引用)
副業収入の申告
副業を容認するどころか推奨する企業さえ現れる時代。会社員にも副業をしやすい環境が整ってきている。そこで忘れてはならないのが確定申告。20万円超の所得があったら正しく申告して納税しよう。
本業の給与所得以外の所得金額が20万円を超えた場合は、会社員でも確定申告をして税金を納めなくてはいけない。ただ、副業の内容によって所得の区分が異なるため、申告の要不要も変わってくる。
アルバイトやパート収入は「給与所得」で、給与が20万円を超えたら本業の給与と合算して申告する。アフィリエイトや原稿料は「雑所得」、小規模な家賃収入は「不動産所得」。これらは収入ではなく、下の図にあるように収入から必要経費を差し引いた所得が20万円を超えた場合、確定申告をしなくてはならない。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【日常編】より引用)
イデコの申告
会社員なら所得税の過不足を調整するための年末調整で自分で払った保険料や2年目以降の住宅ローンなどの控除を受ける。この手続きを行わなかった場合は確定申告をすることで還付が受けられる。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【日常編】より引用)
いざ確定申告〜投資編〜
投資商品の確定申告、基礎知識
証券取引をした人は基本的には確定申告が必要。口座の種類や投資商品ごとの損益通算などのルールが違うので基本を確認して正しく申告しよう。
確定申告の必要があるのは「特定口座(源泉なし)」と「一般口座」を保有する人。「特定口座(源泉あり)」の人も損失が出ている場合は確定申告をすることで翌年以降の税金を軽減できる可能性がある。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【投資編】)
株・投資信託・債券の損益通算の申告
株で儲かったけれど、投資信託で損失を出した。こうした異なる商品の損失と利益も相殺できるのが、証券取引ならではの節税策だ。ただし、なかには損益通算ができない商品や確定申告をすることでデメリットが出る場合もあるので、ルールを把握しよう。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【投資編】)
株・投資信託・債券の繰越控除の申告
譲渡損失が出たら税金を払う必要はないから、確定申告は不要と思う人は多いだろう。ところが損をしたときこそ、確定申告をしたほうがいい。
なぜなら株式や投資信託の譲渡損失は、譲渡損失の繰越控除の特例により翌年以降3年間にわたって譲渡益と相殺できる。譲渡損失の申告をすれば、翌年以降に利益が出ても税金がかからない、もしくは戻ってくる可能性がある。
では、具体的に「譲渡損失の繰越控除」とはどんな制度なのだろうか。下の図を例に説明していこう。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【投資編】)
株の配当金(配当控除)の申告
配当金とは、会社が得た利益の一部を株主に還元するもの。日本企業は年に1回または2回の配当を実施する企業が多いので、株を保有していればほとんどの人が受け取っているはずだ。
(中略)
なぜ、税金を取り戻せる可能性があるのか。それは上場株式等の配当所得は、必ず20%(復興特別所得税を除く。以下同)が税金として源泉徴収されているからだ。しかし、これにより納税は完結しているため、基本的に配当金については確定申告の必要がない(申告不要制度)。
では、どのようなときに確定申告が必要になるのだろう。たとえば、1年間で株の配当金を計10万円受け取ったとする。その一方で、取引は年間で計50万円の損失が出た場合。「申告分離課税」を選んで損益通算の申告をすれば、株の配当金と損失を損益通算することができ、源泉徴収された20%分の税金、約2万円が取り戻せる。また、3年以内に損失の申告をしていた場合は繰越控除との損益通算で税金を取り戻すことができる。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【投資編】)
FXの申告
FX(外国為替証拠金取引)で利益が出たら、原則として全員が確定申告をする必要がある。株式などのように、特定口座を使って源泉徴収する仕組みがないからだ。
FXには「取引所取引」と「店頭取引」があり、以前は課税方式が異なっていたが、現在は、いずれも申告分離課税の雑所得で税率も20%に統一されてわかりやすくなった。FXでの取引損益を通算し、まとめて申告すればいい。
また、FXは税法上「先物取引」に分類されているため、株式や投資信託などの取引とは別に申告しなくてはならない。FXと損益を通算できるのは、CFD(差金決済取引)、日経225先物、日経225先物ミニ、商品先物など。これらの損益を合算して、会社員は20万円超、専業主婦や学生は38万円超、年金生活者は年金所得と合わせて38万円超の儲けが出たら申告が必要だ。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【投資編】)
仮想通貨の申告
仮想通貨の取引は、株式などのように源泉徴収する仕組みがないので、原則として1円でも利益が出たら確定申告が必要だ。加えて給与所得などと合算する総合課税なので、仮想通貨の所得が同じでも給与所得が高い人ほど税額は高くなる。しかし、会社員などの給与所得者の場合、年収2000万円以下でほかの雑所得との合計が20万円以下、主婦や学生などの扶養親族は雑所得の合計、年金生活者なら年金所得との合計が38万円以下ならば申告の必要はない。(鬼速確定申告〜豊富な実例でスラスラ申告〜【投資編】)
今後の税制、変更ポイントは?
高所得者がターゲット?令和2年1月から適用される所得控除に関する改正とは?
近年、働き方改革の影響などから、正社員と同じような働き方をしながら、個人事業主やフリーランスとして請け負う人が増加しています。2018年度の税制改正では、こうした働き方の多様化をふまえた制度改正が行われ、実際に、2020年1月1日から、「基礎控除の引き上げ」「給与所得控除の引き下げ」「公的年金等控除の引き下げ」が実施されます。改正発表が一昨年だったため、あまり認知はされていませんが、収入の高い人には大きな影響がありますので、内容を確認していきましょう。(会社員の経費「給与所得控除」が減額へ。今度の分水嶺は年収850万円 )
「新NISA」は何が違う?令和初の税制改正大綱をおさらい
令和時代になって初めての「税制改正大綱」が発表となった。老後資金2000万円問題を背景に投資に関する非課税制度の改正がメインとなっている。(「新NISA」は何が違う?令和初の税制改正大綱をおさらいより引用)