投資信託は、投資家から集めた資金をまとめて専門家が運用する金融商品です。本記事では毎月分配金が支払われるファンドについて解説します。
投資信託における分配金の特徴
投資信託には、決算という仕組みがあり、その決算のタイミングで、利益や相場状況などを鑑みて、分配金を支払うことが可能になっています。
現在、銀行や証券会社で販売されている投資信託のほとんどは年に1回以上の頻度で決算があり、決算日に分配方針に基づいて収益の分配を決定しています。よく一部のメディアなどで投資信託を「分配金あり/なし」という分け方で呼ぶ表現を見かけますが、厳密には、商品ごとに分配金の有無が明確に定められているわけではありません。
投資信託では、定期的に決算があり、その決算の内容を鑑みて、分配をするかどうか決めることになり、決算の頻度は年1回・年2回・年4回・年6回・毎月など、商品ごとに異なります。
毎月決算型では、基本的に毎月の決算時に分配を行う方針でファンドを運営しているものが多い状況があり、結果として毎月分配金を受け取れることが多いです。一方で、年1回決算型は基本的に分配しない方針のファンドが多く、分配金は支払われない傾向があります。
分配金の種類と受け取り方について
決算時に分配を行う投資信託は、ファンドから投資家に分配金が支払われます。分配金の受け取り方には2種類あります。分配金が実際に投資家の指定口座に支払われる受取型投資信託の場合、投資家は定期的にインカムを得られるため、生活費の補填などで活用ができます。
分配金には、運用成果(運用益)を投資家に配分する普通分配金(配当所得として課税)と、運用益が出ていなくても元本部分を取り崩して投資家に配分する特別分配金(非課税)があります。
分配金はファンドが決算時に運用成績などを踏まえて、支払いの有無や金額を判断します。そのため、分配金の1口あたりの金額は事前に保証されたものではないことに注意が必要です。
・分配金再投資について
分配金の受け取り方のもう一つとして、分配金を実際には受け取らずに、自動的に再投資に回す再投資型投資信託もあります。再投資されると元本が増加するため、受取型に比べると運用益が大きくなりやすくなるメリットがあります。
その反面、分配金を自由に使うことができず、投資資金が長期間拘束されてしまう点はデメリットといえます。また、投資家が実際に分配金を手にすることはありませんが、利益が生じている部分には課税されており、再投資に回されるのは税引き後の金額となる点も資金効率悪化の一因となります。
無分配型の特徴
運用中は投資家に分配金が支払われず、償還時や売却時などに分配金が支払われる無分配型投資信託もあります。運用益が自動的に元本に組み込まれていくので、複利効果を享受できる点がメリットです。
一方で、分配金がないので、再投資型の分配型投資信託と同様に資金が拘束されてしまいます。
分配金を毎月受け取れる投資信託とは
投資信託は定期的な決算が義務付けられており、分配金が支払われるのは決算のタイミングとなります。1年に1回、3ヶ月に1回、半年に1回など商品ラインナップはさまざまですが、中でも1年に12回、つまり毎月決算が行われ、毎月分配金が出ている投資信託が投資家の関心を集めてきました。
毎月決算型の投資信託のメリット
毎月決算型で、毎月分配金を出す投資信託の場合は、定期的にお金を受け取れることがメリットです。毎月受け取る分配金が公的年金や労働収入の上乗せとなり、生活費に充てられます。他の投資商品に投資するなど、さまざまな用途で分配金を活用できる選択肢が広がるのもメリットといえるでしょう。
投資信託協会の「投資信託に関するアンケート調査報告書(※)」によると、毎月分配金を出す投資信託の魅⼒は、1位が「分配⾦を受け取ることで安心できる」(59.7%)、2位が「毎月利益を確定したい」(55.0%)になっていました。
(※)合計2万人がアンケートに回答。
お金を毎月受け取れることによって将来の収支をイメージしやすくなるので、アンケート結果の「分配⾦を受け取ることで安心できる」となったのかもしれません。
毎月分配金を出す投資信託のデメリット
分配金は投資信託の純資産を切り崩して支払われるため、分配金を支払うと、その分の純資産が減少し、基準価額が下落します。また、分配金は運用益が源泉となっている普通分配金だけではありません。運用成績が低下している状況でも分配金を支払うと、特別配当金として元本を取り崩し支払うことになります。
毎月分配金を出す投資信託は受取型でも再投資型でも、運用による利益が投資家に還元される普通分配金は配当所得として課税対象(税率20.315%)となります。分配金を再投資する場合、税引き後の金額となります。
なお、元本部分を取り崩して投資家に配分する特別分配金については、利益還元ではなく元本の一部を投資家に戻すと解釈されるため、非課税の扱いとなります。
投資の目的に合う商品選択が重要
投資信託は、株式や公社債などの資産を組み入れて組成されています。全ての組入資産を時価評価し、それらの資産から得られる利息や配当金を加え、信託報酬などの必要費用を差し引いたものが純資産総額となります。純資産総額を、投資信託として保有されている口数で割ったものが基準価額です。
分配金の仕組みを理解せず、見かけ上の分配金利回りだけを見て、再投資型で毎月分配金を出している投資信託を購入する、ということは避けましょう。分配金を受け取って使いたいなら受取型で毎月分配金を出している投資信託、再投資して運用したいなら決算頻度が少なく分配していない投資信託を選ぶと良いのではないでしょうか。
いずれにしても、投資家によって資産運用の期間や目的は異なるので、トータルリターンの増減を確認し、ご自身の投資方法や目的に合う商品を選択する必要があると考えます。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、ファンドの売買や投資を推奨するものではありません。
(提供:Wealth Road)