デサント<8114>とゴールドウイン<8111>のスポーツウエア大手2社が2期連続の増収増益を達成できる見込みだ。

デサントは期中に2度、ゴールドウインは期中に1度業績予想を上方修正しており、順調に数字を伸ばしている。

コロナ禍に伴う行動規制の緩和や、インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加などが追い風となっており、ゴールドウインはコロナ禍前の2020年3月期の業績を上回り、デサントはコロナ禍前の売上高には届かないが、営業利益はコロナ禍前を上回る。

2023年5月8日に新型コロナウイルスが感染力の強い2類相当から感染力の弱い5類に移行したこともあり、両社は日常を取り戻したと言ってよさそうだ。

当期利益は過去最高を更新

デサントは2022年11月に2023年3月期の業績予想を修正し、売上高は15億円多い1180億円に、営業利益は14億円多い81億円に引き上げた。

同社では2022年8月にも業績予想を修正しており、2度の上方修正によって当初発表時点よりも売上高は40億円、営業利益は21億円増えた。また、同期の当期利益は100億円を見込んでおり、過去最高を更新するという。

ゴールドウインは2023年2月に2023年3月期の業績予想を修正し、売上高は75億円多い1135億円に、営業利益は33億円多い203億円に引き上げた。同社は2022年8月に2023年3月期第2四半期決算の数字を引き上げ、同年11月にも再び同第2四半期の業績予想を上方修正した。

この2度の見直しの際に、コロナ禍や原材料高などを考慮して通期の見通しを据え置いており、実質は複数回の上方修正を行ったのに等しい。

デサントは日本と韓国で「デサント」ブランドなどの販売が好調に推移し、ゴールドウインは「THE NORTH FACE」や「Goldwin」などの高価格帯商品の販売が好調に推移したため上方修正に踏み切った。

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

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(画像=「M&A Online」より引用)


次世代の縫製工場に

デサントは2023年4月に水沢工場(岩手県奥州市)に30億円を投じて、将来を見据えた国内縫製工場に刷新することを決めた。新たな成長のための取り組みで、2025年7月の完成を目指すという。

一方のゴールドウインは遊びと学びが横断的に体験できる施設を目指す「GOLDWIN PLAY EARTH PARK事業構想」を掲げており、2023年1月に最初の造園予定地を富山県南砺市にすることを決めた。富山県は同社創業の地であり、2026年内の開業を目指す。

両社ともにコロナ禍後を見据えた動きが始まった。こうした取り組みがどこまで成長を牽引できるのか。コロナ禍後を見極めるうえで関心を集めそうだ。

文:M&A Online