主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年5月26日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼25日(木)の為替相場
(1):フィッチ 米格付け見直し示唆
(2):ドイツ 景気後退入りへ
(3):植田日銀総裁の発言を受けて円買い
(4):米利上げ織り込み度が上昇
(5):米債務上限問題「合意に近付きつつある」
▼25日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:ポジション調整による反落にも警戒/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
25日(木)の為替相場
期間:25日(木)午前6時10分~26日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):フィッチ 米格付け見直し示唆
大手格付け会社フィッチは米国の「AAA」格付けについて、引き下げ方向で見直す「ウォッチ・ネガティブ」に指定したと発表。債務上限問題を巡る不透明感からドル/円は一時139円台を割り込んで下落した。クロス円もドル円につれて一時軟化した。
(2):ドイツ 景気後退入りへ
独1-3月期国内総生産(GDP)・改定値は前期比-0.3%と速報値の±0.0%から下方修正された。2022年10-12月期の-0.5%に続く2四半期連続のマイナスで、ドイツは定義上の景気後退(リセッション)入りとなった。
(3):植田日銀総裁の発言を受けて円買い
植田日銀総裁は各メディアとのインタビューで「基調的な物価上昇率が少しずつ上がってきているのは事実だが、2%目標にはまだ届いていない」「あまり急いで引き締めると、雇用等に大きなマイナスの影響が及ぶ」と従来の見解を繰り返した。他方、イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正について、「誘導対象を10年金利から5年金利に短期化するのもひとつのオプション」と発言。これを受けて一時的に円が買われる場面があった。
(4):米利上げ織り込み度が上昇
米新規失業保険申請件数は22.9万件と市場予想(24.5万件)を下回った。前週分も24.2万件から22.5万件に修正された。また、米1-3月期GDP・改定値は前期比年率+1.3%と速報値(+1.1%)から上方修正された。これらを受けて米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを継続するとの見方が強まりドルが上昇した。
(5):米債務上限問題「合意に近付きつつある」
米国のバイデン大統領は債務上限問題を巡り、共和党のマッカーシー下院議長と「生産的な会談を数回行った」とし、交渉担当者は午後も協議を続けていると明らかにした。なお、この日はホワイトハウス広報部長がテレビ番組で「合意に近づきつつある」と述べた他、共和党の最大会派を率いるケビン・ハーン下院議員は「26日にも合意する可能性がある」との見解を示した。
25日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:ポジション調整による反落にも警戒
昨日のドル/円は半年ぶりに140円台へと上伸。大手格付け会社による米国の格付け見通し引き下げで138.80円台に下落する場面もあったが、ドルは米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを継続するとの見方が強まる中で切り返した。
NY市場では米新規失業保険申請件数の減少などを受けてドル高が加速。一時140.23円前後まで上値を伸ばして昨年11月23日以来の高値を付けた。昨年高値(151.94円前後)から今年安値(127.23円前後)への下げ幅に対する半値戻し(139.59円前後)と、心理的節目の140.00円を突破したことで、少なくとも142円台までは上昇余地が拡大したと考えられる。
米債務上限問題を巡るホワイトハウスと共和党の協議が「ある程度進展した」とのことで、本日中にも合意に達するのではないかとの期待も出ている。
もっとも、米金利先物は昨日の上昇によって6月と7月のどちらかで25bp(0.25%)の利上げが行われることを完全に織り込んだ。この点からはドル/円の上昇余地は小さいように思える。本日は週末前の取引となることもあって、ポジション調整による反落にも一定の警戒が必要だろう。
注目の経済指標:米PCEデフレーター
注目のイベント:特になし
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1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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