主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年6月2日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼1日(木)の為替相場
(1):中国財新製造業PMI 予想を上回る
(2):ユーロ圏CPI 大幅に鈍化
(3):ECB議事要旨「ほぼ全員が25bp利上げを支持」
(4):ADP雇用統計は予想を上回る
(5):ISM製造業景況指数 インフレ圧力緩和を示唆
▼1日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:雇用統計発表後は値動きが大きくなる/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
1日(木)の為替相場
期間:1日(木)午前6時10分~2日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国財新製造業PMI 予想を上回る
豪1-3月期民間設備投資は前期比+2.4%と市場予想(+1.0%)を上回った。続いて発表された中国5月財新製造業PMIも50.9と予想および前回(49.5)を上回った。
(2):ユーロ圏CPI 大幅に鈍化
ユーロ圏5月消費者物価指数(CPI)・速報値は前年比+6.1%と前月の+7.0%から大幅に鈍化。市場予想(+6.3%)も下回った。エネルギーや食品などを除いたコアCPIも前年比+5.3%に鈍化した(予想+5.5%、前回+5.6%)。ただ、直後に欧州中銀(ECB)のラガルド総裁は「インフレ率が2%目標に戻る軌道に乗っていると十分に確信できるまで、利上げを続ける必要がある」「インフレは高過ぎる。またその状態が長く続くことが予想される」との見解を示した。
(3):ECB議事要旨「ほぼ全員が25bp利上げを支持」
ECBは5月理事会の議事録を公表。「さらなる金利引き上げによる金融政策スタンスの引き締めが正当化されるとの認識で一致」「ほぼ全員のメンバーが25bpの利上げを支持」とし、「利上げ幅の縮小は理事会が金融政策引き締めサイクルの一時停止への扉を開いたと解釈すべきではない」と指摘した。
(4):ADP雇用統計は予想を上回る
米5月ADP全国雇用者数は27.8万人増と市場予想(17.0万人増)を上回った。米新規失業保険申請件数も23.2万件と市場予想(23.5万件)より少なかった。ただ、市場は米1-3月期単位労働コスト(人件費)・改定値が前期比+4.2%と速報値の+6.3%から大幅に下方修正された点を重視。インフレ圧力が緩和したとの見方から米長期金利が低下するとドル売りが強まった。
(5):ISM製造業景況指数 インフレ圧力緩和を示唆
米5月ISM製造業景況指数は46.9と市場予想(47.0)を僅かに下回り、前月(47.1)からやや低下した。個別項目指数では雇用が前月から上昇した一方、新規受注が低下。支払価格に至っては前月の53.2から44.2へと大幅に低下した。これもインフレ圧力緩和の見方を強める材料となり、ドルが下げ幅を拡大した。ただ、一巡後は米長期金利の低下が一服したことで買戻しが入りドルはやや値を戻した。
1日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:雇用統計発表後は値動きが大きくなる
昨日のドル/円は138円台へと反落。一時139.95円前後まで上昇したが、NY市場で米長期金利が低下すると138.39円前後まで軟化した。米1-3月期単位労働コスト(人件費)の下方修正や米5月ISM製造業景況指数の個別項目である支払価格指数の大幅低下などから、インフレ圧力が緩和したとの見方が広がった。これを受けて米金利先物が織り込む6月の25bp(0.25%ポイント)利上げの確率は20%程度まで低下している。
本日の米5月雇用統計でも、インフレ関連指標として平均時給の結果に注目が集まりそうだ。市場予想は前月比+0.3%(前回+0.5%)、前年比+4.4%(前回+4.4%)となっている。その他の項目については、非農業部門雇用者数が19.5万人増(前回25.3万人増)、失業率は3.5%(前回3.4%)と予想されている。これらの結果を受けて6月利上げを巡る市場の見方がどのように変化するかがドル/円相場のカギとなろう。市場の注目度がきわめて高いだけに、米5月雇用統計の発表後はドル/円の値動きが大きくなる公算が大きい。
注目の経済指標:米雇用統計
注目のイベント:特になし
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1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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