

年収1000万円は、多くのビジネスパーソンにとって一つの大きな節目といえるでしょう。
そんな年収1000万円の水準を、30代というキャリア形成の重要な時期に達成している人は一体どのくらい存在するのでしょうか。
この記事では、公的な統計データを基に、30代で年収1000万円を稼ぐ人の割合を明らかにします。さらに、その目標を現実にするための具体的なキャリアパスや戦略について、多角的に解説していきます。
目次
30代で年収1000万円を達成している人の割合

公的な統計データをもとに、30代で年収1000万円を達成している人がどれほどいるのか、その実態を見ていきましょう。結論から言うと、その割合は極めて低いのが現実です。
30代で年収1000万円を達成している人の割合
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、月額の賃金階級ごとの労働者割合は以下のようになっています。
30代の平均賃金(月額) 構成割合
月額賃金 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
30万円未満 | 55.7% | 79.3% |
30万円〜50万円未満 | 39.8% | 19.3% |
50万円〜80万円未満 | 4.2% | 1.3% |
80万円以上 | 0.6% | 0.3% |
※表中の割合は、公表統計における「30~34歳」と「35~39歳」のデータを基に、各階級の割合を単純平均して算出した参考値です。算出後に小数点第2位で四捨五入しているため、内訳の合計は100%にならない場合があります。
賞与の金額が月給の1~2ヶ月が一般的であることを考えると、毎月の賃金が80万円(年間960万円)以上の層は、賞与を含めると年収1000万円に到達している可能性が非常に高いと考えられます。
このデータを基にすると、30代の一般労働者で年収1000万を達成しているであろう人の割合は男性で全体の約0.6%、女性で約0.3%です。
これは、30代の男性であれば約167人に1人、女性であれば約333人に1人という計算になり、極めて希少な存在であることがわかります。
30代前半と後半で年収1000万の達成割合はどう変わる?
30代と一括りにしても、キャリアのステージが変化することで状況は異なってきます。ここでは、30代を前半・後半に分けて、年収1000万円の達成割合をより詳しく見ていきましょう。
男性
区分 | 割合 |
---|---|
30代前半(30~34歳) | 0.4% |
30代後半(35~39歳) | 0.8% |
女性
区分 | 割合 |
---|---|
30代前半(30~34歳) | 0.2% |
30代後半(35~39歳) | 0.3% |
30代前半から後半にかけて、男性で2倍、女性でも1.5倍と割合は増加します。これはキャリアアップに伴う昇進・昇給が影響していると考えられます。しかし、それでもなお達成割合は1%に満たず、30代で年収1000万円に到達することが、いかに希少なことであるかがわかります。
平均年収との比較で見る「1000万円の壁」
年収1000万円の希少性を、別のデータからも見てみましょう。国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」によると、30代の平均年収は以下の通りです。
- 30~34歳:平均年収 431万円
- 35~39歳:平均年収 466万円
平均年収と1000万円との間には、倍以上の大きな隔たりがあることがわかります。これらの数字からも、30代で年収1000万円を得る層はごく一握りの存在であると言えるでしょう。
30代で年収1000万円を実現しやすい業種、職種

これまでのデータで、30代で年収1000万円を達成するのがいかに難しいか、という実態が見えてきました。この非常に狭い門を突破するには、どの「業種」や「職種」に身を置くかという戦略的なキャリア設計が不可欠です。
ここからは、高い給与水準が期待できる業種と職種について解説していきます。
30代の平均給与が高い業種
国税庁が公表している「民間給与実態統計調査」を基に、30代の業種別平均給与を紹介します。
業種 | 30~34歳の平均給与 | 35~39歳の平均給与 |
---|---|---|
建設業 | 493.3万円 | 518.1万円 |
製造業 | 464.3万円 | 521.0万円 |
卸売業・小売業 | 375.7万円 | 411.6万円 |
宿泊業・飲食サービス業 | 309.6万円 | 311.3万円 |
金融業・保険業 | 575.3万円 | 665.7万円 |
不動産業・物品賃貸業 | 458.9万円 | 472.6万円 |
運輸業・郵便業 | 474.4万円 | 502.4万円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 612.8万円 | 755.1万円 |
情報通信業 | 534.9万円 | 624.9万円 |
学術研究、専門技術サービス業・教育、学習支援業 | 491.8万円 | 534.2万円 |
医療・福祉 | 380.4万円 | 385.1万円 |
複合サービス事業 | 432.8万円 | 491.2万円 |
サービス業 | 380.2万円 | 405.4万円 |
農林水産・鉱業 | 357.1万円 | 386.0万円 |
この表はあくまで「平均」の給与額ですが、「電気・ガス」といったインフラ業種や、「金融・保険」「情報通信」といった専門性の高い業種は、給与水準が高いことがわかります。こうした業種で高いパフォーマンスを発揮することが、30代での年収1000万円達成への近道と言えるでしょう。
30代で年収1000万円を目指せる職種
次に、より具体的に年収1000万円を狙える職種を6つ紹介します。業種選びと合わせ、どのような専門性を磨くべきかの参考にしてください。
コンサルタント(戦略・ITなど)
企業の経営課題を解決に導く専門職です。特にマッキンゼーやBCGに代表される「戦略系」や、BIG4(デロイト、PwC、KPMG、EY)などの「総合系」外資ファームでは、30代前半でマネージャーに昇進し、年収1000万円を超えるケースが多数存在します。
金融専門職
M&Aアドバイザリーや企業の資金調達を担う「投資銀行部門」も、高年収の代名詞的存在です。近年では、企業の買収・再生を手掛けるPE(プライベート・エクイティ)ファンドなども、高い専門性と引き換えに高額な報酬が期待できます。
IT専門職(AIエンジニア・プロダクトマネージャーなど)
デジタル化の加速に伴い、IT専門職の価値は急上昇しています。特に、AI開発を担うエンジニアや、データ分析から事業戦略を導くデータサイエンティスト、サービスの全体責任者であるプロダクトマネージャーなどは、30代で年収1000万円を超える人材も増えています。
高付加価値営業(M&A仲介など)
高い専門知識を要する営業職も高年収が期待できます。代表例は、圧倒的な営業利益率を誇る「キーエンス」のコンサルティングセールスや、企業の合併・買収を仲介するM&Aアドバイザーです。顧客の課題を深く理解し、高額な製品やサービスを的確に提案する能力が求められます。
難関資格専門職(弁護士・医師・会計士など)
弁護士、医師、公認会計士といった難関国家資格を要する職種も、依然として高年収が期待できます。特に、五大法律事務所に所属する弁護士や、大手監査法人で管理職を務める会計士は、30代で年収1000万円に到達することが一般的です。
海外駐在員(総合商社・大手メーカーなど)
総合商社や大手メーカーなどで海外に駐在する場合、海外勤務手当や住居・教育費の補助などが上乗せされ、30代で年収1000万円を超えることも珍しくありません。語学力はもちろん、異文化に適応するタフさが求められます。
本業に「資産運用」を加えて年収1000万円を目指す視点

ここまで紹介した高年収の業種や職種は、高い専門性やスキルを求められる場合も多く、誰にでもできる仕事ではありません。しかし、本業の収入を着実に伸ばしつつ、資産にも働いてもらうことで、合計で年収1000万円の実現を目指すアプローチもあります。
ここでは、多忙な30代のビジネスパーソンでも始めやすい、代表的な資産運用の方法を紹介します。
投資信託
投資信託とは、複数の投資家から集めた資金を1つにまとめ、専門家が株式や債券などで運用する金融商品です。初心者でも購入しやすく、本業に集中したい30代に最適な手法です。
まずは「全世界株式」(オール・カントリー=オルカン)や「S&P500」といった、世界経済の成長に連動しやすいインデックスファンドを、毎月決まった額を自動で積み立てる設定から始めるのがおすすめです。一度仕組みを作れば、日々の値動きに一喜一憂することなく、本業に集中しながら着実な資産形成が期待できます。
株式投資
個別企業の株式を売買する方法です。投資信託に比べてリスクは高まりますが、大きなリターンも期待できます。30代のビジネスパーソンにとっては、自身の専門分野や得意な業界の知識を活かせる点が大きな強みになります。高配当株で「第二の給料」となる配当収入を増やすことも可能で、戦略の自由度が高いのも特徴です。
不動産投資
マンションやアパートを購入し、家賃収入を得る投資方法です。金融機関からの融資、いわゆる「レバレッジ」を効かせられるのが他の投資との最大の違いです。
30代は社会的信用が高まり、ローン審査に通りやすいという大きなメリットがあります。この利点を活かし、将来の安定収入源となる不動産資産を築くことは、有効な選択肢の一つです。ただし、空室リスクや維持コストも考慮し、都心の駅近物件など、資産価値が落ちにくい物件を慎重に選ぶ必要があります。
30代の年収1000万円は、戦略と行動で実現できる

30代で年収1000万円を達成することは、統計上、簡単なことではありません。
重要なのは、「現在地を客観的に把握し、正しい戦略を立て、今日から行動に移すこと」。
平均年収の高い業種への転職を目指すのか、専門性を磨き市場価値を高めるのか、あるいは本業と並行して資産運用で収入の柱を育てるのか、その道筋は一つではありません。
本記事が、あなたのキャリアとライフプランを考える上での「次の一歩」を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
(提供:Dear Reicious Online)
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