主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年6月14日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼13日(火)の為替相場
(1):中国景気刺激策を検討
(2):英雇用統計 平均賃金が予想以上の伸び
(3):独ZEWはやや持ち直し
(4):米CPIはマチマチの結果
▼13日(火)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:年初来高値の更新も見えてきそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
13日(火)の為替相場
期間:13日(火)午前6時10分~14日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国景気刺激策を検討
中国人民銀行(PBOC)は1週間物リバースレポ金利を2.0%から1.90%に引き下げると発表。人民元相場の下落につれて豪ドルも一時弱含んだ。しかしその後、「中国は景気浮揚のために広範囲の対策パッケージを検討している」と伝わると政策期待から人民元が下げ幅を縮小。日本株の大幅高もあって豪ドルは上昇に転じた。なお、豪ドル/円はこの日のNY市場終盤に2022年11月以来の95円台へと上昇した。
(2):英雇用統計 平均賃金が予想以上の伸び
英5月失業率は3.9%、同失業保険申請件数は1.36万件減少した(前回:3.9%、2.34万件増)。英2-4月の国際労働機関(ILO)基準失業率は3.8%と予想(4.0%)に反して前月の3.9%から低下。同週平均賃金は前年同期比+6.5%と市場予想ならびに1-3月の+6.1%を上回る伸びとなった。これを受けて英中銀(BOE)の利上げが長期化するとの見方が強まりポンドが上昇した。その後BOEのベイリー総裁は、労働市場が非常にタイトであるとした上で「インフレは低下すると今でも考えているが、予想よりずっと時間がかかっている」との見解を示した。なお、この日ポンド/円はNY市場終盤に176.88円前後まで上伸。2016年1月以来7年5カ月ぶりの高値を付けた。
(3):独ZEWはやや持ち直し
独6月ZEW景気期待指数は-8.5と、市場予想(-13.5)に反して前月の-10.7からやや持ち直した。ユーロ圏6月ZEW景気期待指数は-10.0だった(前回-9.4)。
(4):米CPIはマチマチの結果
米5月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.0%と予想+(+4.1%)を下回り前月の+4.9%から伸びが鈍化。前月比でも+0.1%と予想通りに前月の+0.4%から減速した。一方、食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+5.3%と前月の+5.5%から鈍化したものの、予想(+5.2%)を上回った。マチマチの内容にドルは乱高下したが、ドル/円は139.00円台で下げ渋ると上昇に転じた。CPIの鈍化を受けて翌日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが見送られるとの観測が一段と高まったが、FOMCは7月にも利上げを再開するとの見方は維持された。CPIの発表直後に低下していた米長期金利が、米株高もあって上昇に転じたことがドル/円を押し上げた。
13日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:年初来高値の更新も見えてきそう
昨日のドル/円は140円台を回復。米5月消費者物価指数(CPI)の鈍化を受けて、連邦準備制度理事会(FRB)はこの日から始まった連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置くとの見方が一段と強まった。ただ、市場はコアCPIの高止まりを背景に7月以降の利上げ観測を維持。CPIの発表直後に139.01円前後まで下落したドル/円は、米長期金利の持ち直しを眺めてその後140.30円前後まで反発した。
本日のFOMCによる政策発表では、市場の織り込みに沿って政策金利は5.00-5.25%に据え置かれる公算が大きい。焦点は政策金利見通しを示すドットチャートで年末時点の予測がどこまで引き上げられるかであろう。3月FOMCにおける予測は5.125%(5.00-5.25%)であった。5.375%(5.25-5.50%)への引き上げはある程度織り込み済みと見られ、それ以上の上方修正があるか注目したい。大幅に上方修正されれば年初来高値(140.93円前後)の更新も見えてきそうだ。一方、想定内の小幅な引き上げにとどまれば138円台に反落する可能性もある。パウエルFRB議長の会見にも注目が集まるだろう。
注目の経済指標:FOMC政策金利
注目のイベント:パウエルFRB議長会見
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1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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