主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年6月23日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼22日(木)の為替相場
(1):BOE予想以上の利上げ
(2):米新規失業保険申請件数は予想を上回る
(3):FRB高官 タカ派発言
(4):ドル/円 7カ月ぶりの水準へ上伸
▼22日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:どこまで上値を伸ばせるかが焦点/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
22日(木)の為替相場
期間:22日(木)午前6時10分~23日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):BOE予想以上の利上げ
英中銀(BOE)は政策金利を4.50%から5.00%へと引き上げた。利上げ幅は市場予想の25bp(0.25%ポイント)を上回った。声明では「直近の指標は大きく上振れして、よりしつこいインフレのプロセスを示している」と懸念を表明して追加利上げにも前向きな姿勢を示した。同時に公表した議事録では7対2の賛成多数で50bpの利上げを決めたことが明らかになった。反対の2人は据え置きを主張したとのこと。ポンドは大幅利上げを受けて急伸したが、引き締め過ぎによる景気後退への懸念で反落するなど一時乱高下した。その後、ベイリーBOE総裁は「今金利を引き上げなければ、後でもっと悪くなる可能性がある」「インフレは高すぎるし、今対処しなくてはならない」と述べた。
(2):米新規失業保険申請件数は予想を上回る
米新規失業保険申請件数は26.4万件と予想(25.9万件)を上回った。これを受けてドル売りに傾く場面もあったが、米長期金利がすぐに持ち直したためドル/円の下げは一時的だった。
(3):FRB高官 タカ派発言
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は米下院で証言を行った。前日の上院証言に続いて「インフレを持続的なベースで2%に戻す必要がある」として「今年あと2回の利上げが適切となるだろう」と発言。また、ボウマンFRB理事も「インフレ抑制のために追加利上げが必要」「インフレの水準はなお容認できないほど高い」との見解を示した。なお、米5月中古住宅販売件数は年率換算430万件と市場予想(425万件)を上回った。
(4):ドル/円 7カ月ぶりの水準へ上伸
スイス中銀、BOE、ノルウェー中銀などの相次ぐ利上げで日銀の大規模緩和を維持する姿勢があらためて際立ったとの見方から円が全面的に下落した。ドル/円が7カ月ぶりの高値となる143.23円前後まで上昇した他、ユーロ/円は2008年9月以来、およそ15年ぶりに156.93円前後まで上昇。ポンド/円は2015年12月以来、約7年半ぶりに182.56円前後まで上値を伸ばした。
22日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:どこまで上値を伸ばせるかが焦点
昨日のドル/円は7カ月半ぶりに143円台へと上昇した。スイス中銀(SNB)、英中銀(BOE)などの利上げを受けて円が全面的に下落。大規模緩和を維持する日銀と海外主要中銀との金融政策の方向性の違いが際立った。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が前日に続いて年内2回の追加利上げの可能性に言及したこともあって昨年11月10日以来の高値となる143.23円前後まで上伸した。なお、昨日の為替市場で円より弱かった主要通貨は南アフリカランドとトルコリラのみだった。
ドル/円は強い上値抵抗と見られていた142.50円前後を突破したことで上昇に弾みが付いており、さらなる上値模索の展開が見込めそうだ。チャート上の次の上値ポイントは145.00円と見られ、143円台から144円台にかけては抵抗が少ない真空地帯と言える。
本日はどこまで上値を伸ばせるかが焦点となりそうだ。仮に調整が入るとすれば、本邦当局による強い円安けん制が入った場合だろう。このケースでは、週末を控えた持ち高調整売りを誘発することも考えられる。昨日まで上値抵抗だった142.50円前後が下値支持となるか注目したい。
注目の経済指標:欧米製造業、サービス業PMI
注目のイベント:ラガルドECB総裁発言
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1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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