主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年6月26日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼23日(金)の為替相場
(1):本邦コアCPIは伸びが鈍化
(2):英小売売上高は増加
(3):仏独のPMI悪化を受けてユーロ急落
(4):英PMIも悪化
(5):リスク回避のドル買い
(6):ポンド約7年半ぶりの高値更新
▼23日(金)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:円が買われにくい地合い/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
23日(金)の為替相場
期間:23日(金)午前6時10分~24日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):本邦コアCPIは伸びが鈍化
日本5月消費者物価指数(CPI)は生鮮食料品を除いたコアベースで前年比+3.2%と市場予想(+3.1%)を上回ったが、電気代の低下などから前月(+3.4%)に比べると伸びが鈍化した。
(2):英小売売上高は増加
英5月小売売上高は前月比+0.3%と予想(-0.2%)に反して増加。金利の上昇やインフレの高止まりでも家計が消費を増やしていることが確認された。
(3):仏独のPMI悪化を受けてユーロ急落
仏6月購買担当者景気指数(PMI)は製造業が45.5、サービス業が48.0といずれも前月から低下。サービス業は2021年2月以来の低水準となった。これを受けてユーロは急落。その後に発表された独6月PMIが製造業41.0、サービス業54.1と揃って予想(43.5、56.3)を下回り前月から低下するとユーロ/円は155.06円前後まで下値を拡大した。なお、さらにその後に発表されたユーロ圏6月PMIは製造業43.6、サービス業52.4だった(予想44.8、54.5)。
(4):英PMIも悪化
英6月PMIは製造業が46.2、サービス業が53.7と市場予想(46.8、54.8)を下回った。
(5):リスク回避のドル買い
米6月PMIは製造業が46.3と予想(48.5)を下回った一方、サービス業は54.1と予想(54.0)を僅かに上回った。ドルは一時下落したが、米国株が下落する中でリスク回避の買いが強まると反発した。デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が「今年あと2回の利上げは非常に妥当な予測」などと発言したこともドルの支援材料になった。ドル/円は、その後143.87円前後まで上伸して昨年11月10日以来の高値を付けた。
(6):ポンド約7年半ぶりの高値更新
欧米PMIの低下を受けて世界的な景気後退への懸念が広がる中、質への逃避でドルが強含んだためドル/円は高止まりしたが、クロス円は総じて伸び悩んだ。ただ、英国については警戒したほど景気が軟化していないとの見方からポンドは買いが優勢となり、ポンド/円は2015年12月以来の高値となる182.95円前後まで上値を伸ばした。
23日(金)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:円が買われにくい地合い
23日のドル/円は143円台後半へ続伸して年初来高値を更新。NY市場でドル買いが強まると143.87円前後まで上昇して昨年11月10日以来の高値を付けた。米6月購買担当者景気指数(PMI)の悪化を受けて142.62円前後まで弱含む場面もあったが、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁のタカ派発言で米追加利上げが意識された他、欧米株安を背景とするリスク回避のドル買いで反発した。ユーロ圏6月PMIが米国以上に悪化したことで景況感格差からユーロ安・ドル高が進んだ影響もあった。金融政策の方向性の違いなどから、リスク回避の局面でも円が買われにくい地合いとなっていることが見て取れる。
世界的な景気後退への懸念から本日も主要国の株価は軟調に推移しそうだが、ドル/円は逆行高となる可能性もあろう。さらに円安が進めば本邦当局による円買い介入への警戒感が高まると見られるが、口先介入で水準を大きく切り下げる公算は小さいだろう。なお、神田財務官は今朝方、「足元の為替の動きは急速、行き過ぎには適切に対応したい」などと発言したがドル/円の下げは20銭余りにとどまっている。
注目の経済指標:独IFO企業景況感指数
注目のイベント:ラガルドECB総裁発言
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1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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