主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年6月28日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼27日(火)の為替相場
(1):中国当局が元高誘導
(2):財務大臣の円安けん制には限定的な反応
(3):ECB高官 利上げ長期化を示唆
(4):米耐久財受注 予想を大幅に上回る
(5):ドル/円 昨年11月以来の144円台乗せ
▼27日(火)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:節目145円に向けた上伸期待感が大きい/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
27日(火)の為替相場
期間:27日(火)午前6時10分~28日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国当局が元高誘導
中国人民銀行(PBOC)は人民元相場の対ドル基準値を予想以上に元高方向に設定。当局の元高誘導で相対的にドルが下落するとドル/円は143.20円台へと弱含んだ。豪ドルは人民元につれ高する形で上昇した。
(2):財務大臣の円安けん制には限定的な反応
鈴木財務相は為替相場について「急速で一方的な動きが見られる」「強い緊張感を持って注視、行き過ぎた動きには適切に対応」として円安をけん制したが、連日の口先介入に市場の反応は限定的だった。
(3):ECB高官 利上げ長期化を示唆
欧州中銀(ECB)のラガルド総裁は「昨年からの利上げの累積的効果は未確認」として「ECBが近い将来に完全な自信を持ってピーク金利に達したと宣言できる可能性は低い」と発言した。ECBの利上げ長期化観測が強まり、ユーロが上昇。ユーロ/円はNY市場終盤に2008年9月以来の高値となる157.93円前後まで上伸した。なお、この日はベルギー中銀のウンシュ総裁も「利上げを停止するためには、コアインフレ減速の確証が必要」として当面利上げを継続する考えを示した。
(4):米耐久財受注 予想を大幅に上回る
米5月耐久財受注は前月比+1.7%と予想(-0.9%)に反して増加。輸送用機器を除いた受注も前月比+0.6%と予想(±0.0%)を大幅に上回った。
(5):ドル/円 昨年11月以来の144円台乗せ
米6月消費者信頼感指数は109.7と予想(104.0)を上回り、1年5カ月ぶりの高水準を記録。同時に発表された米5月新築住宅販売件数は年率換算76.3万件となり、市場予想(67.5万件)を上回った。インフレや金利の上昇でも米経済が堅調を維持しているとの見方からドルに買戻しが入った。ドル/円は米長期金利の上昇につれて、昨年11月10日以来の高値となる144.17円前後までその後上値を伸ばした。
27日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:節目145円に向けた上伸期待感が大きい
昨日のドル/円は7カ月半ぶりに144円台へ上伸。中国人民元やユーロに対してドルが下落した影響から143.20円台に弱含む場面もあったが、相次ぐ経済指標の好結果で米国の景気減速懸念が後退すると144.17円前後まで切り返して年初来高値を更新した。ユーロ/円を筆頭にクロス円が大幅に上昇しており、円安地合いが継続。ドル/円は本日も堅調に推移しそうだ。
今朝は早速、財務官が「過度な動きがあれば適切に対応」として円安をけん制しているが、「口先介入」の効力は持続性に乏しいと考えられる。昨日同様、介入への警戒感がやや薄れる海外市場ではあらためて上値を試す可能性があろう。
なお、海外市場では欧州中銀(ECB)主催のイベント(ECBフォーラム)で、日米英ユーロ圏の中銀総裁が揃ってパネルディスカッションを行う。インフレ抑制に向けて引き締め志向を維持する海外中銀と、インフレは一時的として緩和志向を維持する日銀とのスタンスの違いが際立てば円が売られやすくなりそうだ。市場では、心理的節目の145円に向けた上伸への期待感が、当局の円買い介入への警戒感を上回っているように思われる。
注目の経済指標:豪消費者物価指数
注目のイベント:日米英ユーロ圏 中央銀行総裁発言
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1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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