主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年6月30日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼29日(木)の為替相場
(1):豪小売売上高 市場予想を上回る
(2):パウエルFRB議長 タカ派発言を繰り返す
(3):鈴木財務相 円安けん制発言
(4):独CPIは再加速
(5):ドル円144.90円前後まで上昇
(6):テンレイロMPC委員 退任前に警告
▼29日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:不規則に変動する場面増えそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
29日(木)の為替相場
期間:29日(木)午前6時10分~30日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪小売売上高 市場予想を上回る
豪5月小売売上高は前月比+0.7%と市場予想(+0.1%)を上回った。豪ドルは中国人民元が上昇して始まった影響もあって買いが優勢となった。
(2):パウエルFRB議長 タカ派発言を繰り返す
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「メンバーの大半が年末までに2回かそれ以上の利上げ実施を予想している」「インフレ率が2%に戻るプロセスはまだ長い道のりがある」などと発言。前日の欧州中銀(ECB)フォーラムでのパネルディスカッションと同様の見解を繰り返した。
(3):鈴木財務相 円安けん制発言
鈴木財務相は円安について「より緊張感を持って市場の動きを見ている」「行き過ぎた動きがあるなら必要な対応を取る考えに変更はない」と述べて市場の動きをあらためてけん制した。
(4):独CPIは再加速
独6月消費者物価指数(CPI)・速報値は前年比+6.4%と予想(+6.3%)を上回り前回(+6.1%)から再加速した。欧州連合(EU)基準CPIは前年比+6.8%だった(予想+6.8%、前回+6.3%)。なお、この日発表されたスペインの6月CPIは前年比+1.9%へ大幅に減速(前回+3.2%)。ユーロ圏域内でインフレ格差が拡大していることが明らかになった。
(5):ドル円144.90円前後まで上昇
米1-3月期国内総生産(GDP)・確定値は前期比年率+2.0%となり、個人消費や輸出の上振れを反映して改定値(+1.3%)から大幅に上方修正された。同時に発表された米新規失業保険申請件数は23.9万件と予想(26.5万件)を下回り、5月第4週以来の水準に減少した。これらを受けて米7月利上げへの期待が高まるとドルが急伸。ドル/円はその後、昨年11月10日以来の高値となる144.90円前後まで上昇した。
(6):テンレイロMPC委員 退任前に警告
7月4日付で退任する英中銀(BOE)のテンレイロ金融政策委員会(MPC)委員は「すでに進行中の引き締めはインフレ率を目標値まで回帰させるのに十分だ。インフレ率は目標値を下回る可能性が高い」との見解を示し「現時点で金利を上げれば上げるほど、最終的に早い段階で急速な利下げが必要になる」と警告した。
29日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:不規則に変動する場面増えそう
ドル/円は3日連続で年初来高値を更新。昨日は米経済指標の好結果を受けて7カ月半ぶりに144.90円前後まで上値を伸ばした。米1-3月期国内総生産(GDP)・確定値は個人消費の上振れなどを反映して前期比年率+2.0%へと上方修正された。これを受けて米金利先物は7月の利上げを9割方織り込んだ水準へと上昇している。
本日のドル/円は昨日届かなかった心理的節目の145.00円を巡る攻防となりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測と日銀の緩和維持観測で続伸が期待できる一方、引き続き本邦当局による円買い介入への警戒感が上値を抑える可能性もある。昨年9月に24年ぶりの円買い・ドル売り介入が行われた145円台に乗せれば、市場の介入警戒ムードが一層高まることも考えられる。
本日は、週末・月末・四半期末・半期末が重なる特異日。加えて145.00円の攻防戦が予想される上に、本邦当局者による口先介入の円安けん制も想定されることから不規則に変動する場面が増えそうだ。
注目の経済指標:米PCEデフレーター
注目のイベント:特になし
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1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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