データ分析会社Altrataのレポートによると、2022年に入ってから世界の富裕層人口は減少しています。その中でも日本は減少幅が大きく、主要国との格差が広がる結果となりました。本記事では同レポートを参考にしながら、世界の富裕層事情を紹介します。

2022年上半期の超富裕層人口は6%減少

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(画像=Art.disini/stock.adobe.com)

Altrataが2022年11月9日に公開した「World Ultra Wealth Report 2022」によると、2022年上半期における世界の超富裕層(※)の人口は39万2,410人であり、前年に比べて6%ほど減少しています。

(※)純資産が3,000万ドル(約42億円)以上の人を指す。

Altrata
(出典:Altrata「World Ultra Wealth Report 2022」)

世界の超富裕層人口が減少した要因としては、ロシアによるウクライナ侵攻が挙げられます。この出来事は世界経済にダメージを与え、超富裕層が保有する資産を減らしたと考えられます。

その結果として、世界の超富裕層人口は2018年以来初めての減少となり、合計の純資産も11%の減少となりました。

超富裕層人口のうち女性はわずか1割

次に、超富裕層の性別や年齢に関するデータを紹介します。

項目男性女性
超富裕層の割合89.2%10.8%
超富裕層の平均年齢64.8歳63.6歳
年齢層の分布50歳未満:10.2%
50歳~70歳:55.6%
70歳超:34.2%
50歳未満:13.9%
50歳~70歳:55.3%
70歳超:30.8%
(参考:Altrata「World Ultra Wealth Report 2022」)

上記の通り、女性の超富裕層は全体のわずか1割です。超富裕層の平均年齢については、女性のほうがやや低いことが分かりました。

国別の超富裕層人口では米国がトップに

次に、2022年上半期における国・地域ごとの超富裕層人口を見てみましょう。

国・地域超富裕層人口直近6ヵ月間の推移
1位米国12万1,465人-10.3%
2位中国5万1,145人+2.3%
3位ドイツ1万9,870人-7.2%
4位日本1万6,585人-13.3%
5位香港1万5,235人-6.8%
6位英国1万4,885人-3.0%
7位カナダ1万3,060人-3.3%
8位フランス1万2,150人-10.0%
9位スイス9,090人-6.2%
10位イタリア8,500人-1.2%
(参考:Altrata「World Ultra Wealth Report 2022」)

超富裕層人口が最も多かったのは米国で、その総資産は合計13兆4,040億ドル(約1,877兆円)となりました。

超富裕層人口が多い国TOP10の多くは先進国が占めており、日本の超富裕層人口は第4位とされています。米国・日本・フランスの3ヵ国は10%以上の減少となっており、中でも日本は最も大きな減少幅となりました。

その要因の一つとして挙げられるのが為替レートです。上記のデータはドルベースになっているので、ドル高・円安になると日本円ベースの金額が変わらなければ、そのまま超富裕層人口が減る要因になります。

実際に2022年1月は1ドル=110円台だったのが、同年6月には1ドル=130円台まで円安が進んでいます。おおよそ18%の円安になっているので、その影響を大きく受けたと考えられます。

どれくらいの資産で国別トップ1%に入れる?

英国の大手不動産会社Knight Frankが、国・地域ごとで資産トップ1%に入るために必要な資産を紹介しています。トップ1%になるために必要な資産が最も多かったのはモナコで、1240万ドル(約17億3,6000万円)でした。

国・地域必要な資産
1位モナコ1240万ドル
2位スイス660万ドル
3位オーストラリア550万ドル
4位ニュージーランド520万ドル
5位米国510万ドル
6位アイルランド430万ドル
7位シンガポール350万ドル
7位フランス350万ドル
9位香港340万ドル
10位英国330万ドル
11位イタリア260万ドル
12位スペイン250万ドル
13位日本170万ドル
14位UAE160万ドル
15位中国96万ドル
16位チェコ88万ドル
17 位サウジアラビア74万ドル
18位ルーマニア59万ドル
19位マレーシア49万ドル
20位ブラジル43万ドル
(参照:Knight Frank「How much wealth gets you into the global top 1%?」)

日本の場合は13位で、トップ1%以内に入るために170万ドル(約2億3,800万円)が必要になるというデータが出ています。日本はモナコの約7分の1の金額になっているので、大きな差が開いています。

主要国との格差がさらに広がる可能性もある

一部の国を除き、2022年に入ってからは世界の富裕層人口が減少しています。中でも日本の減少幅は大きく、超富裕層人口でTOP10に入っている国の中では、直近6ヵ月間の減少率が最も高くなりました。

世界のデータと比較すると、富裕層の傾向にも違いがあるので、日本と主要国の格差はさらに広がるかもしれません。どのような状況になっても資産を大きく減らさないためにも、リスクを抑えた資産運用が行えるように準備しておきましょう。

※為替レート:1ドル=140円
※本記事は資産運用に関わる基礎知識を解説することを目的としており、資産運用を推奨するものではありません。

(提供:Wealth Road