ウイスキーに力を入れているバーや酒屋に行くと、ユニークなデザインの「ボトラーズウイスキー」を見かけることがあります。

ボトラーズウイスキーは、蒸留所がリリースするオフィシャルボトルとは異なる魅力を持っており、今後ウイスキーの知識をより深めていきたい人が絶対に知っておきたい知識の1つです。

今回の記事では、そんなボトラーズウイスキーに焦点を当て、特徴やオフィシャルボトルとの違い・有名なボトラーズブランドをご紹介します。

面白いウイスキーを探している人は、ボトラーズウイスキーを飲むことで新たな体験ができるに違いありません。

ボトラーズウイスキーとは

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(画像=「whiskeen」より引用)

ボトラーズは「インディペンデントボトラー」とも呼ばれ、蒸留所から原酒を買い付け、熟成から瓶詰めまでを独自の製法で行う業者のことを指します。

ボトラーズが販売するボトラーズウイスキーは、蒸留所自身がリリースする「オフィシャルボトル」と対になる存在です。

ボトラーズの大多数はスコッチウイスキーを主に製造していますが、まれに他の国のウイスキーや、ジン・ラムのようなスピリッツ類を造るボトラーズも存在します。

ボトラーズウイスキーの特徴・魅力

ボトラーズウイスキーの最大の特徴は、なんといってもオフィシャルボトルにはない独自性です。

熟成やブレンドなどの工程をすべて自由に行えるため、「オフィシャルボトルはこの味だが、熟成方法を変えたらどのような味になるのだろうか」といった消費者の好奇心を満たすウイスキーを生み出せます。

安定供給されるウイスキーは少なく、ほとんどの商品が少量生産です。

おいしい銘柄を見つけたと思っても、翌年のリリースでは熟成方法や原酒が異なっていることもしばしば。

基本的にボトラーズウイスキーとの出合いは一期一会だと思っておきましょう。

ボトラーズとオフィシャルボトルの違い

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(画像=「whiskeen」より引用)

ボトラーズのウイスキーの理解をさらに深めるために、オフィシャルボトルとの違いも理解しておきましょう。

ボトラーズとオフィシャルボトルに見られる違いは以下のとおりです。

  • 使用される原酒
  • 熟成に使用する樽
  • 熟成年数
  • アルコール度数
  • 蒸留所名の公開・非公開

蒸留所特有の味わいを一貫して提供するオフィシャルボトルに対し、ボトラーズは多方面から独自のアプローチを加えて商品ごとに個性的な味を生み出しています。

双方の具体的な違いを詳しく見ていきましょう。

使用される原酒

ボトラーズウイスキーには、オフィシャルボトルでは見かけることのない蒸留所の原酒が使われる場合があります。

  • ブレンデッド用にしか造られていない蒸留所の原酒
  • 閉鎖蒸留所の原酒

聞きなじみのない「ダルユーイン」や「マノックモア」など、オフィシャルボトルでシングルモルトを販売しない蒸留所の原酒は、ボトラーズウイスキーでしか味わえません。

流通量は少ないものの、ボトラーズなら閉鎖蒸留所の希少な原酒が飲めることもあります。

熟成に使用する樽

ボトラーズのウイスキーは、オフィシャルボトルとは異なる熟成樽を使用する場合があります。

スペイサイドモルトの1つ「モートラック」を例に、オフィシャルの現行ラインナップを熟成に使用される樽と一緒にまとめました。

オフィシャルのラインナップ熟成樽
モートラック 12年ヨーロピアンオーク樽・アメリカンオーク樽
モートラック 16年1stフィルおよびリフィルのヨーロピアンオーク樽
モートラック 20年1stフィルおよびリフィルのヨーロピアンオーク樽

現行ラインナップの中にバーボン樽のみで熟成された商品は存在しませんが、ボトラーズからはバーボン樽のみで熟成された商品もリリースされています。

このように、蒸留所が本来得意とする熟成樽以外の樽での熟成は、ボトラーズウイスキーならではです。

熟成年数

オフィシャルボトルの熟成年数は12年・15年・18年・21年などが主流ですが、ボトラーズではまったく異なる年数でのリリースもあります。

アイラモルトの1つ「カリラ」を例に出すと、通常リリースのオフィシャルボトルであれば12年熟成の商品がもっとも短熟です。

しかし、ボトラーズであればさらに短熟である6年熟成の商品も販売されています。

ウイスキーは短熟の方がパワフルな味わいになることが多いため、飲みごたえのある銘柄が好みの方は、オフィシャルボトルよりも短熟のボトラーズウイスキーを選ぶといった選択も可能です。

アルコール度数

オフィシャルボトルは、無加水で瓶詰めされるカスクストレングス商品を除き、アルコール度数40%・43%・46%で瓶詰めされるのが主流です。

一方ボトラーズでは、オフィシャルボトルと同じ蒸留所の原酒でも、度数の違う商品がリリースされています。

カスクストレングスの商品が特に多いため、オフィシャルボトルとの度数違いで飲み比べしても面白いでしょう。

蒸留所名の公開・非公開

ボトラーズは蒸留所や蒸留所を保有する企業との契約上、使っている原酒の蒸留所名を非公開にしていることが多々あります。

特にブレンデッドモルトウイスキーを造る場合は、ボトラーズは競合他社同士のモルト原酒を使用して造るため、基本的に原酒の蒸留所名は非公開。

対して、オフィシャルボトルである「モンキーショルダー」は、ブレンド(ヴァッテッド)している自社のモルトウイスキーの蒸留所名を公開しています。

さらにボトラーズでは他の蒸留所のモルトウイスキーをティースプーン1杯程度入れてブレンデッドモルトとする「ティースプーンモルト」が存在しますが、同様に原酒は非公開となっています。