主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年8月9日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼8日(火)の為替相場
(1):本邦勤労統計を受けて円売り強まる
(2):中国貿易収支を受けて豪ドル売り
(3):ムーディーズ 米銀格下げ
(4):米貿易収支 輸入額が減少
(5):ハ―カー・フィラデルフィア連銀総裁発言
▼8日(火)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米7月CPI待ちの様相/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
8日(火)の為替相場
期間:8日(火)午前6時10分~9日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):本邦勤労統計を受けて円売り強まる
日本6月毎月勤労統計で現金給与総額は前年比+2.3%と市場予想(+3.0%)に反して前月(+2.9%)から鈍化。賃金の上昇を重視する日銀が当分は金融緩和を継続するとの観測が広がり円売りが強まった。
(2):中国貿易収支を受けて豪ドル売り
中国7月貿易収支は806.0億ドルの黒字と、黒字額は市場予想(700.0億ドル)を上回った。ただ、輸出入ともに前年比で10%以上減少しており、同国の経済活動が鈍っている様子が示された。中国を最大の輸出先とする豪州にとってもマイナス材料とみなされ豪ドルが弱含んだ。
(3):ムーディーズ 米銀格下げ
中国の経済活動鈍化を巡る不安に加え、ムーディーズによる米銀格下げ(主要6行の格付け見直しと中小10行の格下げ)を受けて欧州株や米国株先物が弱含む中、クロス円でリスク回避の円買いがやや優勢となった。
(4):米貿易収支 輸入額が減少
米7月貿易収支は655億ドルの赤字となり、赤字額は概ね予想通り(650億ドル)だった。ただ、輸入額が2021年11月以来の水準に減少するなど、財の需要が減速している様子が明らかになった。
(5):フィラデルフィア連銀総裁「来年の利下げ」について言及
フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は「恐らく来年に利下げを開始することになるだろう」と発言。同総裁はこれより前には、「インフレが再び急上昇する可能性は見込んでいない」とした上で「金利を据え置ける状況になった場合、その水準でしばらく維持する必要があるだろう」と述べていた。
8日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:米7月CPI待ちの様相
昨日のドル/円は143円台へ続伸。日本6月毎月勤労統計で賃金の伸びが予想に反して鈍化したことを受けて日銀の金融政策正常化への期待が後退すると円売りが強まった。もっとも、東京市場で143円台に乗せた後は円売りに一巡感が出て伸び悩むなど、海外勢はすでに明日の米7月消費者物価指数(CPI)待ちの様相だ。
そうした中で本日のドル/円は143円台を中心にもみ合う展開が見込まれる。ただし、本日発表予定の中国7月CPIは2年5カ月ぶりとなる前年比マイナスの予想となっており、市場が同国のデフレ懸念を強める可能性もある。アジア株やクロス円の下げにつながれば対ドルでも円の買い戻しが強まることも考えられる。本日もアジア時間の動きに注目したい。
注目の経済指標:中国CPI
注目のイベント:米10年債入札
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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