コナミスポーツ、セントラルスポーツ、ルネサンスなどスポーツクラブ大手の2023年4~6月期(第1四半期)決算が出そろった。5月に新型コロナの感染症法上の位置付けが「5類」に移行したのに伴い、施設利用者数や入会者数が伸び、売上高を押し上げた。光熱費の高止まりがあったものの、本業のもうけを示す営業利益も総じて改善に向かった。
コナミ、売上高トップを維持
コナミグループ傘下のスポーツ事業(コナミスポーツ)の4~6月期の部門業績は売上高が前年同期比6.5%増の117億円、営業利益が同61%増の7億円。セントラルスポーツは売上高5.6%増、営業利益4.7倍の5億円だった。光熱費の上昇などによるコスト増に苦しんだものの、会員数が回復傾向をたどったうえ、会費値上げ、有料レッスンの導入などが奏功した。
業界トップの座を争うコナミ、セントラルの両社だが、コロナ禍を契機に事業戦略については方向性の違いが明確になっている。コナミが直営店舗を大幅に減らす代わりに自治体施設などの運営受託を拡大したのに対し、セントラルは直営重視の姿勢を変えず、その店舗数を維持してきた。
コナミはコロナ前に全国180超だった直営店舗を30以上閉鎖する一方、運営受託数は200店舗を超えるまでになった。施設を持たないビジネス形態に軸足を移し、固定費用負担の少ない利益重視の経営に舵を切った形だ。セントラルは直営181店舗、受託60店舗で、直営店舗数でコナミを大きくリードする。
ルネサンス、4年ぶりに100億円回復
ルネサンスの売上高は103億円(前年同期比6.6%増)と、新年度のスタートである第1四半期段階として2019年以来4年ぶりに100億円台を回復した。6月末の在籍会員数は37万8912人(同10.5%増、オンライン会員を含む)で、計画を上回ったという。会費の値上げは第2四半期入りした7月に実施した。
ティップネス(日本テレビホールディングス傘下)は売上高2.2%増の65億9800万円と、上位3社に比べて小幅な伸びにとどまった。営業損益は2100万円の赤字ながら、赤字幅は10分の1以上に縮小し、黒字圏を視野に入れる。
2024年3月期(通期)の売上高予想はコナミが8.9%増の495億円、セントラルが6%増の462億円、ルネサンスが7.9%増の440億円(ティップネスは非公表、2023年3月期実績は260億円)。
コロナの影響が本格化する前の2020年3月期の売上高と比べて、コナミが95億円、セントラルが71億円、ルネサンスが約10億円それぞれ下回る水準で、いぜん回復途上にあるのが実情だ。
また、ジム、スタジオ、プール、浴室を完備した総合型スポーツクラブにとって頭痛の種は運営コストに直結する光熱費関連の経費が高止まりしていること。「省エネ対策はもはや限界」(都内のスポーツクラブ)とする声もあがっており、各社の収支改善は一筋縄ではいきそうにない。
◎スポーツクラブ大手の2023年4~6月期業績(単位は億円、△は損失)
売上高 | 営業利益 | 直営店舗 | |
コナミスポーツ | 117(6.5%増) | 7(61%増) | 146 |
セントラルスポーツ | 109(5.6%増) | 5(4.7倍) | 181 |
ルネサンス | 103(6.6%増) | 0.43(-) | 104 |
ティップネス | 65(2.2%増) | △0.21(-) | 144 |
メガロス | 36(25%増) | ー | 44 |
ホリデイスポーツ | 30(3.3%増) | ー | 99 |
※コナミスポーツはコナミグループ、メガロスは野村不動産ホールディングス、ホリデイスポーツは東祥の部門業績。ティップネスの店舗数には24時間ジム「FASTGYM」91店舗を含む。
文:M&A Online